コロナ3年目で韓国の劇場が危機…それでもNetflixだけが選択肢になることはあり得ない理由

2022年03月13日 映画

オミクロン株の感染拡大のなかで、韓国映画の少なくない作品が未だに公開日を定められずにいる。中小規模の映画は時々封切られているが、韓国の劇場では現在、ハリウッド映画がシェアを高めている。

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新型コロナのパンデミックも3年目。韓国映画産業に起きた大きな変化が、次第に日常へと固定化されてきている。

劇場公開する韓国映画の本数が格段に減ると同時に、『狩りの時間』(2020)、『スペース・スウィーパーズ』(2021)、『楽園の夜』(2021)、『モラルセンス~君はご主人様~』(2022)などの映画がNetflixで公開された。

昨年は『SEOBOK/ソボク』『殺人鬼から逃げる夜』『ハッピーニューイヤー』が劇場と韓国OTTの「TVING」で同時公開された。そしてこの間、Netflix、TVING、WATCHA、wavveなど、OTT制作ドラマに対する需要と関心がより大きくなった。

(画像提供=Netflix)昨年公開された映画『スペース・スウィーパーズ』

劇場文化の解体

もちろん映画館鑑賞は、携帯電話や周囲の人に邪魔されずに作品に集中できるという点で長所も多い。家での鑑賞は障害が多く、中断せずに観るのが難しいうえ、様々な作品を手軽に消費していくため、残るものがないという結果になり得る。

それでも神聖視されていた劇場観覧の文化が少しずつ解体されているのが現実だ。「映画を観る」という概念自体に変化が訪れていることは否定できない。

自宅でも映画を鑑賞できることが多くなったため、劇場という空間が与える力を認めながらも、あえて行く必要がないという考えが増えているのだ。また劇場公開後、OTTに配信されるまでの期間が確実に短縮されているため、習慣的に劇場に訪れる必要もなくなった。

作品にとてつもない魅力が保障されていない限り、「必ず劇場で観なければならない」という暗黙的な信仰が崩れたのだ。これは新型コロナが終結しても変わらないだろう。

結局のところ現在の危機は、映画やドラマを楽しむ観客によるものではない。劇場を死守するのか、OTTのほうにさらにウエイトをかけるのかを判断する主体、つまり韓国映画制作者や劇場側が新型コロナ後も既存の方式に固執するかどうかという選択を迫られているのだ。

(画像提供=Netflix)今年2月に公開された映画『モラルセンス~君はご主人様~』

劇場の売り上げには及ばないOTT収益

劇場売り上げは、韓国映画産業の売り上げ全体の約70~80%を占める。観客が劇場でチケットを買うと、映画発展基金を除いた残りが劇場、制作者、配給会社、投資会社に配分される。劇場観客数が減ると、映画産業に属する資金の流れに打撃を受ける仕組みだ。

とある関係者は『OSEN』に、「現在劇場公開を遅らせている韓国映画が多く、投資家も限界にぶつかった。2~3年間、収益があってこそ新しい作品にも投資するわけだから」とし、「だから劇場公開のみを目指して新しい映画を作っている映画制作会社がいくつもない」と話した。

興行収益を着実に出してきた大型制作会社ではなければ、劇場公開用の映画を作ることが難しくなったという意味だ。それによって数多くの制作会社がお金になるドラマ制作に目を向けているのだ。

とはいえ、どこに行っても楽観的な状況ではない。劇場公開用に作った映画が、その後にOTTプラットフォームに進入することも難しいが、入ったとしても制作費を回収するほどの収益しか得られないことが大多数だ。劇場でヒットした際に得られる収益規模には、絶対に追いつけないということだ。

またNetflixなど複数のOTTも永遠に盤石というわけでもないため、事業初期とは異なり、分割公開方式や戦略的な作品公開で生きる道を模索している。

そのため新型コロナ以前と同じ文化が再現されることはないが、OTTプラットフォームが劇場を完全に崩すということもない。両者がそれぞれの方法で共存する。だからこそ主体の選択の問題なのだ。

重要なのは、良い作品はスマートフォンの小さな画面で観ようが、スクリーンで観ようが好評が続くという点だ。どちらがより利益を生むかが、難しいところだ。

(記事提供=OSEN)

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