8月8日に日本全国で公開される映画『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』。本作で主演を務める俳優ジニョンがインタビューに応じ、作品や主題歌に込めた思い、青春を過ごす若者へ伝えたいメッセージを語ってくれた。
本作は2002年の韓国を舞台としたノスタルジック・ラブストーリー。ギデンズ・コーによる台湾映画『あの頃、君を追いかけた』(2011年)を原作としたリメイク作品で、ジニョンと映画初出演のTWICE・ダヒョンがW主演を務める。
作品自体は昨年夏に撮影が行われ、今年2月の韓国上映から約半年の月日が経った。それでも、ジニョンにとっては今もなお思い出深い作品として心の中に残っているという。
「私にとっては学生時代の思い出をもう一度呼び起こして、学生時代を2回経験させてくれるような作品でした。自分の中で淡く、とても良い思い出としてこれからもずっと残っていくと思います」
ジニョンが演じるジヌは、将来の夢もなく友達と遊んでばかりで、恋愛とは程遠い学生生活を謳歌していた“お調子者”な高校2年生。ただ、ある出来事をきっかけに同じクラスの優等生ソナ(演者ダヒョン)に想いを抱き、徐々に距離を縮めていく。
「ジヌというキャラクターを頑張って作り上げようというより、自分が幼かった頃をたくさん思い出しました。“あの時はどうしていたのだろう、どんな考えをしたのだろう”と考えながら撮影に臨んだのです。なので、役作りをするというよりは、自分が幼かった頃の考えや行動を上手く表現することにフォーカスを当てていました」
ソナは成績優秀な学級委員で、多くの男子生徒から好意を寄せられる高嶺の花のような存在だ。そんな彼女とジヌは少しずつ心を通わせ、甘酸っぱくもどこか儚い関係性を築いていくわけだが、もしジニョン自身が2人の友人で、ソナに対するジヌの“思い”を知っていたのであれば、彼にどんな声をかけたのだろうか。
「仲の良い親友であれば当然、たくさん応援してあげるでしょう。ジヌに声をかけるとすれば、 “好きなら勇気を一回出してみろ”、“勇気を出して告白してみろ”。そう言って、強く背中を押したと思います」
高校2年生から始まる物語では、2人が受験期や大学生活を経て「学生から大人」へ成長する様子も描かれる。環境が変わり、距離も離れる中でお互いの考えにもすれ違いが生じる様になるのだが…その過程でジヌとソナの関係性がどのように変化していくかは、ぜひ劇場でご覧いただきたい。
本作の英題と同名の主題歌『You Are The Apple of My Eye』は、W主演のジニョンとダヒョンが自ら作詞作曲を手掛け、2人で歌い上げた楽曲だ。本来はジニョン一人で担当する予定だったが、ダヒョンの強い希望もあって共同制作することになった。
「男女の主人公がどんな感情を抱いているかは、その役を演じる当事者の私たちが誰よりも知っているわけですよね。ならば、その2人で一緒に作れば違ったものが生まれるだろうと思いました。制作過程でも“どんな感情で歌うのが良いだろう?”などと色んなことをじっくり話し合いながら、一生懸命曲を作り上げました」
そんなジニョンが主題歌で好きな歌詞は、「아픈 만큼 울었다면 후련했을까(泣けば心が晴れただろうか)」「서로를 좀 더 알았다면 달랐을까(互いを知れば未来は違ったのか)」。終盤のサビでジニョンが一人歌う箇所だ。
「ある意味、少し後悔の思いが込められた歌詞ではあるのですが、この作品をしっかり表現している歌詞でもあると思います。本当に心が痛むほど、思い切り泣いていれば後悔しないで済んだのか、あるいは2人がまだ幼かったから、お互いについてもっとよく知っていれば状況は変わったのだろうか。そんな儚さが込められた言葉になっているので、私はとても好きです」
韓国で冬に公開された本作は、日本では夏休み真っ盛りの時期に上映される。ジヌやソナと同世代の高校生など、今まさに青春時代を生きる若者へ『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』を通じてどんなメッセージを伝えたいか。インタビューの最後にそう質問すると、ジニョンは優しい表情でこう語ってくれた。
「本作の登場人物たちはまだ本当に若い年齢ですよね。そんな彼らを見て、“自分は今この瞬間をどういう風に生きているのか”を感じてほしいですし、そう感じることができる映画だと思っています。“今この瞬間を大切に愛して生きよう”。そのような言葉をお伝えしたいです。
年を重ねて振り返ってみると、(青春という時期は)本当に素敵な思い出がたくさんあり、貴重で尊い時間だったと改めて感じます。なので、多くの方々に劇場でご覧いただき、“今この瞬間”というものをもう一度感じてほしい、そんな映画になってくれると嬉しいです」
すべての瞬間が愛おしく毎日だった“あの頃”が、甘くほろ苦い思い出とともに懐かしくも鮮明に蘇る『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』。ジニョンとダヒョンが描く青春物語を通じて、あなた自身の“あの夏”に再び想いを馳せてみてはいかがだろうか。
(取材・文=姜亨起/ピッチコミュニケーションズ)
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