罪を憎んで人を憎まずという言葉がある。最近、芸能メディアが罪質と人間性の判断の境界線で危うい論理を展開している。あの人はもともとそういう人間だったので、今回の事件は偶然ではないという理屈なのだろうか。
ドラマ『サイコだけど大丈夫』で知られる女優ソ・イェジと、タレント兼女優のオ・ジョンヨンが渦中の人物となっている。
ソ・イェジは去る2月25日、ドラマ復帰の近況が公開されて話題になった。彼女は昨年、私生活のスキャンダルで議論の中心に立った。ソ・イェジは当時、沈黙を守った。しかし今年2月末、韓国tvNの新ドラマ『イブのスキャンダル』(原題)で復帰を宣言し、2日後に謝罪文を発表した。
それに対してドラマ復帰のための中身のない謝罪だという非難があふれた。
非難はソ・イェジの“過去”にまで拡張された。昨年、とあるコミュニティに上がってきたソ・イェジと彼女の両親が居住するヴィラ住民間の葛藤だ。ソ・イェジが両親の家を訪れるたびに、駐車の問題で住民との葛藤が長時間続いたという。
しかし該当文を載せたネットユーザーは「(ソ・イェジに)過去4年間、積み重なったことをすべて話し、最終的に謝罪を受けた」と明らかにした。
これに関連してソ・イェジの所属事務所ゴールドメダリストは、複数のメディアに「昨年5月、(ソ・イェジの)父親と近隣住民の方との間にトラブルがあった。小さなヴィラに住んでいるのだが、駐車スペースが狭いので、ソ・イェジが訪れるときに摩擦があり、その部分についてそれぞれの立場がある可能性があるが、当時、父親が間違った部分について当事者の方に直接謝罪されたという。その後も葛藤があり、両親は引越した」と伝えた。
この過去の駐車問題が発覚した際に話題になったのは、ソ・イェジの「(インターネットに)文章を上げたりはしていないでしょう?」という発言だった。
ソ・イェジは大衆の人気で生きる芸能人だ。ただでさえ私生活の論議で批判を受けており、有名人であるため身元が簡単に露出されることを恐れたのだろう。特に今回の事案は、芸能人の地位を利用した葛藤ではなく、“人間”ソ・イェジが親の家を訪れて起きた住民間のトラブルだ。それをドラマ復帰の際の「謝罪の中身」への不信と無理につなげ、ソ・イェジを「真正性のある謝罪ができない人」とするのは根拠が貧弱だ。
またオ・ジョンヨンは、去る3月4日に放送されたラジオ番組に出演した際の発言が問題となった。
知人の私的な恋愛史を公開したオ・ジョンヨンの発言に、軽率だという指摘があふれている。大衆が推定している最近破局したカップルの話でなかったとしても、有名人である自分の発言によって、すでに別れた多くの有名カップルが自分たちの意思とは無関係に再び話題に上がるのだから、指弾されても当然かもしれない。
しかし、その後に引き合いに出された過去にH.O.T.出身の歌手カンタとの話や、数日前にオ・ジョンヨンが俳優ヒョンビンと撮った写真を個人アカウントに投稿した話は、ラジオ番組での発言とどんな関連性があるのかがわからない。
特にカンタとの過去の恋愛史を暴露したのは、オ・ジョンヨンが当時、カンタの女性遍歴の被害者として自分のことを語ったことだ。今になってオ・ジョンヨンに「口が滑りやすい人」とレッテルを貼ることは容易に納得しづらい。
女性芸能人の私生活と関連して起きた“過去”は、彼女たちの弱点として作用する。2つの事件を社会的な文脈に拡張すれば、これまで大衆文化や韓国社会の根底に根付いてきた変わらない「女性嫌悪」ではないだろうか。
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