「世界7大禁足地」を描いた『コンジアム』に学ぶ韓国映画の“真髄”

2025年01月26日 映画

韓国心霊スポットの一つを題材にしたホラー映画『ヌルボムガーデン』が、1月24日より日本で公開となった。

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主人公は、突如夫が命を絶ったことで新婚生活が崩壊し、流産までしてしまう女性ソヒ。夫が生前に購入していた郊外の邸宅“ヌルボムガーデン”を相続し、移り住むことになるのだが、様々な怪現象に見舞われる。夫の死の真相を探るソヒに、家に棲みつく邪悪な存在が襲い掛かるという物語。

ホラー映画といえば、サイコ、スプラッター、オカルト、ゾンビ、ヒトコワなどジャンルが細分化されており、玉石混交な界隈として知られるが、『ヌルボムガーデン』は実在する韓国三大心霊スポットの一つが題材になっている点で特に期待値が高い。また、『チェイサー』(08)、『女神の継承』(21)といったスリラー、ホラー作品のプロデューサーを務めたク・テジンが監督を務める点も注目に値する。

ヌルボムガーデン
(画像=BY4Mスタジオ、JNCメディアグループ)『ヌルボムガーデン』韓国版

同作の公開を機に、同じく韓国三大心霊スポットを舞台としたホラー映画『コンジアム』(18)を改めて紹介したい。未見の方はもちろん、『ヌルボムガーデン』の前にウォーミングアップとして再鑑賞するのもおすすめだ。

世界レベルの恐怖スポット

『コンジアム』の舞台となるのは、韓国三大心霊スポットであるだけでなく、2012年に米『CNN』が発表した「世界7大禁足地」にも選ばれた「昆地岩(コンジアム)精神病院」。1992年12月に開院、1996年に廃墟となって以来、様々な都市伝説が生まれた韓国屈指の心霊スポットだ。

そんな廃病院に挑むのは、心霊系YouTubeチャンネル「ホラータイムズ」を運営するハジュンを中心とした男女7人。心霊スポットへの潜入を生配信して“バズり”を狙うというストーリーだ。

映画の前半は、まるで大学生の夏休みを描いた映像日記のようにも見える。この部分が退屈に感じる観客もいるかもしれないが、後半の恐怖を際立たせるために重要なセクションでもある。ホラーにおいて、陽キャは真っ先に恐怖の餌食となる。その皮肉さを思うと、ホラーファンなら思わずニヤリとするはずだ。

儀式を経て、恐怖が加速…

コンジアム
(写真=SHOWBOX AND HIVE MEDIA CORP)『コンジアム』

ワイワイと楽しみながら潜入の準備を終えた一行。廃病院内部に潜入すると、壁に描かれた謎の落書きや医療機器が散乱した部屋を見つけ、扉が勝手に閉まるなどの怪現象に直面する。

そして降霊の儀式を決行したことで物語は徐々に加速し始める。腕や衣服を引っ張られる、壁の落書きが変化するなどの現象に女性陣が激怒し、仲間同士の対立が生まれる。

潜入班が分裂し、ベースキャンプで指示を出すハジュンも異様な空気を察知。早く脱出したい潜入班と撮影続行を主張するハジュンの間で対立が深まり、ついに本格的な恐怖が牙を剥くのだ。

“韓国映画らしさ”が詰まった恐怖

『コンジアム』の恐怖の核は、その“容赦のなさ”にある。同じくファウンドフッテージ形式のホラー作品は多いが、ここまで直球で恐怖を突きつける作品は少ないだろう。一度や二度では終わらない徹底した恐怖演出が観客を圧倒し、息つく暇を与えない。

これは『コンジアム』に限らず、韓国映画全般に共通する特徴だと言えるだろう。日本映画に繊細さ、アメリカ映画にスケール感と特徴があるように、韓国映画は感情やテーマを容赦なく深掘りし、描き出す。その結果、観客の心を揺さぶり、強い印象を残す作品が生まれるのだ。

『コンジアム』はホラー映画としての枠を超え、韓国映画の魅力を存分に味わえる一本だと言える。ホラーが苦手な方でも、一度挑戦してみてほしい。韓国映画の新たな一面を発見できるかもしれない。

(文=スポーツソウル日本版編集部K)

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