「公権力はカルト宗教ではなく正義のために…」“宗教の闇”取り扱ったNetflix作品製作者の悲痛な訴え

2024年08月21日 話題

カルト宗教の闇に切り込んだ韓国のNetflixドキュメンタリー『すべては神のために:裏切られた信仰』を手がけたチョ・ソンヒョンPDが、検察送致に関して鬱憤を吐いた。

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チョPDは8月20日、立場文で「ソウル麻浦(マポ)警察署が『すべては神のために』を作った私を、性暴力犯罪の処罰などに関する特例法(性暴力処罰法)違反の疑いでソウル西部地検に送致したという便りに非常に驚いたと思う。私があたかも性犯罪者になったかのように作成された記事も見え、これに反応するJMS(キリスト教福音宣教会、通称:摂理、韓国ではJMS)信者たちのコメントと歓呼も目撃した」と話を切り出した。

昨年3月に公開された『すべては神のために』は、「摂理」「五大洋」「アガドンサン」「万民中央教会」の4つのカルト宗教にスポットライトを当てた、計8話のドキュメンタリーシリーズだ。カルト教団の弊害と実状を一つひとつ公開し、大きな反響が起こった。

すべては神のために:裏切られた信仰
(画像提供=Netflix)『すべては神のために:裏切られた信仰』

特に、摂理のチョン・ミョンソク総裁の性犯罪疑惑が、世間に大きな衝撃をもたらしたことは記憶に新しい。チョン総裁は2009年、信者への性暴行疑惑で懲役10年を宣告されて服役し、満期出所。しかし、出所直後の2018年から2021年まで女性信者などへの性的暴行疑惑により、2022年10月に再び拘束され、一審で懲役23年を宣告された。現在は拘束状態で控訴審を受けている状態だ。

そんななか、麻浦署がチョPDを性暴力処罰法違反の疑いでソウル西部地検に送致したというニュースが伝えられた。

裁判所は許可したのになぜ?

チョPDは、「麻浦署が言及したシーンは現代の作品で見られるように、顔に高水準の“ぼかし”が適用されている。JMSは作品の公開以前から当該映像が捏造されたと、絶えず主張したことがある。そこで、私はカルト宗教の非正常性を告発する公益的な目的と事実性のために、身体にはぼかしを適用しなかった。このように製作された『すべては神のために』は、映像物等級委員会の等級審査と決定を受けて公開された」と伝えた。

チョ・ソンヒョンPD
(画像=Netflix)チョ・ソンヒョンPD

続けて、「『すべては神のために』が世の中に出てから、1年と半分以上が過ぎた。JMSは作品の公開を防ぐために上映禁止仮処分申請をしたが、裁判所は作品の公開を許可した。その結果、JMSの実態を知らせ、大衆の怒りをかき立て、暗かった真実が世にあらわれた」とし、「時事教養番組のPDとして生きていることから、訴訟や悪質コメントは日常茶飯事だ。でも、こんな私も今度は心苦しい。私と妻の話を盗み聞きした7歳の息子の一言、“パパ、刑務所に行くの?”のせいだ。涙がこぼれそうなのを我慢して笑った」という。

チョPDは、撮影や公開後も家族の苦労が大きかったと吐露。妻は身辺保護用のスマートウォッチを着用しなければならず、息子と娘は父親と長い時間、一緒に過ごすことができなかったと伝えた。『すべては神のために』が韓国コンテンツ大賞で大統領表彰を受けた時も心が安らかではなかった理由は、家族の苦痛のためだと話した。

「時事告発物を作る理由は、力がなく、無念な誰かに代わって、“ささやかな反抗”でもしてあげられることだから」と説明したチョPDは、「このような反抗のおかげで世の中が変わることを目撃でき、次世代が生きていく世の中が良くなるという確信がある。『すべては神のために』は、父親を対象にしたテロ、自分の人生の利益を諦めてまで、30年間JMSと戦ってきたキム・ドヒョン教授、そしてメープルという香港人女性の決断と犠牲から始まった」と述べた。

「引き続き戦う」

さらに「『すべては神のために』公開以降、JMS全信者の半分が脱退し、チョン・ミョンソクはこれ以上、追加で性犯罪を犯すことができなくなるよう拘束された。韓国の社会は、カルト宗教問題の深刻さを改めて認識するようになった。本当に世の中が良くなったわけだ」として、「だが、麻浦署は『すべては神のために』が得た公益が微小で、顔と音声を変造したという場面を指し、JMS熱心な信者たちの私益がさらに大きいという比較をしている。JMS事件にスポットを当てたPDである私を性犯罪者として、『すべては神のために』にわいせつ物として烙印を押した。この主張通りならば、政府がわいせつ物に大統領賞を表彰したという意味になり、韓国検察と裁判所がわいせつ物を証拠として活用し、公開を許可したという意味になる」と吐露した。

メープル
(画像=予告編キャプチャ)『すべては神のために』に出演したJMSの被害者メープル

最後にチョPDは、「麻浦署の判断により、私が処された現状況を考えれば非常に惨憺だが、私は引き続き戦う」として、「2022年初めにメープルが撮影のために韓国に来る前、私は彼女の父親と約束した。メープルを安全に返すと、そして途中で諦めてやめないと約束した。その約束を守るためにも戦わなければならない。やがて、果たして誰が何を隠したかったのか、この社会が全て目撃することになるだろう。そして韓国の公権力はカルト宗教ではなく、公益のための正義の実現の先頭に立ってほしい」と締めくくった。

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