韓国カルト宗教の闇に迫ったNetflixドキュメンタリー『すべては神のために:裏切られた信仰』を製作したチョ・ソンヒョンPDが、性暴力処罰法違反容疑で送検されたことに対して論難が続いている。
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8月16日、ソウル麻浦(マポ)警察署は「キリスト教福音宣教会」(通称:摂理、韓国ではJMSと呼ばれている)信者の“裸体”映像を流した容疑(性暴行処罰法違反)で、チョPDをソウル西部地検に送致した。
チョPDは信者の顔を隠すなど身元がわからないようにし、公益的な目的で同映像を作品に含めたと主張しているが、警察は違法行為に該当すると判断したようだ。
だが、反JMS団体「エクソダス」の代表として『すべては神のために』にも登場した檀国(タングク)大学のキム・ドヒョン教授は18日、韓国ポータルサイトNAVERの反JMSカフェに長文を残して異を唱えている。
彼は「2023年2月、(ドキュメンタリー放送を控えたタイミングで)JMSが放送禁止仮処分訴訟を提起した時、Netflixはまだ未公開だった映像一切を裁判部に提出し、裁判部は映像を最初から最後まで視聴して確認し、JMSの訴訟を棄却した」と明らかにした。
続いて、「警察は“女性信者たちの裸体映像を流したのは犯罪”と説明しているが、その裸体映像を最初から最後まで事前に視聴した裁判所(ソウル西部地裁)は上映を許可した。警察の判断が正しければ、ソウル西部地裁・合議部の判事3人がわいせつ物を視聴し、わいせつ物の上映を許可したことになる」と主張した。
そして、「麻浦署は西部地裁の管轄下にあるが、麻浦署の捜査官らが西部地裁の判事たちの判断が間違っていると指摘するこの現象を、どのように理解すべきか」と指摘した。
またキム教授は、「数多くの性的暴行被害者の生々しい証言が盛り込まれた『すべては神のために』を見て、“性的欲望が刺激される”人間がいるならば、それが(8歳の女児に性暴行を働いた加害者)チョ・ドゥスンであり、人××か。麻浦署の決定に国民の一人としてうんざりする」と明らかにした。
なお、警察は『すべては神のために』が「性的欲望・羞恥心を誘発しうる身体を撮影した撮影物や複製物を撮影対象者の意思に反して頒布する場合」(性暴行処罰法14条2項)に該当すると見ている。
同法には、このような撮影物と複製物を所持・購入・保存したり、視聴した場合にも3年以下の懲役、3000万ウォン(約330万円)以下の罰金に処されるという条項もある。ただし、警察は視聴者に“故意性”があるとは見難いと判断したことが把握されている。
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