またひとつの星が満開にならないまま消えてしまった。
人気グループASTROのムンビンさんが4月19日20時10分頃、ソウル江南(カンナム)区の自宅で死亡したまま発見された。享年25歳。
4月20日未明、所属事務所ファンタジオは「ASTROメンバー、ムンビンが突然私たちのそばを離れて天の星になった」と明らかにした。
1998年1月26日生まれのムンビンさんは、2006年に東方神起の『風船』のミュージックビデオに出演し、“リトル東方神起”として注目を集めた。2009年にはドラマ『花より男子-Boys Over Flowers』で俳優キム・ボムの子役を演じて顔を知らせた。
その後、2016年に6人組ボーイズグループASTROのメンバーとして、K-POP界に正式デビュー。ASTROでメインダンサー兼サブボーカルを務め、『Baby』『あなたが吹いてくる』『Breathless』『Always You』『Knock』などの曲を発表した。
個人活動も活発だった。tvN『最新流行プログラム』シーズン1、2(2018~2019)、Coupang Play『SNLコリアシーズン2』などのバラエティ番組で頭角を現した。MBCの音楽番組『ショー!チャンピオン』ではMCを務め、見事な進行を見せたりもした。
また最近は、妹のムン・スアと共にMBC『DNAメイト』などのバラエティ番組に出演し、関心を集めた。ムン・スアは現在、ガールズグループBilllie(ビリー)のメンバーとして活動中だ。
2020年からはASTRO初のユニット『ムンビン&サナ』を結成し、活動を続けてきた。今年1月には3rdミニアルバム『INCENSE』を発売し、3月にはソウル、マニラ、バンコクなどで初の単独ファンコンを開催するなど、海外公演を続けてきた。ムンビン&サナは、来る5月に釜山(プサン)で開催されるドリームコンサートの出演リストにも名前を載せていた。
最近まで活発な活動を展開し、様々なコンサートの日程を控えていたムンビンさんの悲報は、ファンに大きな衝撃を与えた。いつも明るい笑顔を失わなかったムンビンさんだったため、悲しみは倍増した。
さらに、ムンビンさんが死亡した翌日の4月20日は、彼の母親の誕生日だと知られた。オンライン上では昨年4月20日、ムンビンさんが母親の誕生日なので電話をしたとファンに知らせた内容が注目を集め、切なさを加えた。
ムンビンさんの突然の悲報に、海外メディアも一斉に反応した。
アメリカの『ニューヨーク・タイムズ』『ニューヨーク・ポスト』『ビルボード』『ウィークリー』などは、「K-POPファンは自分たちにK-POPというジャンルを知らせてくれたムンビンの死亡に深い悲しみを表している」と速報を伝えた。
芸能メディア『TMZ』は「彼の年齢はわずか25歳だった」と残念がった。英メディアBBC、中国芸能メディア『シナドットコム』なども「ASTROとデュオ“ムンビン&サナ”のムンビンが亡くなった」と報じた。
世界的に愛されていたアイドルメンバーが“極端な選択”をしたのは今回が初めてではない。
最近数年間、K-POPアーティストが突然亡くなるニュースが相次いだ。2017年のSHINee・ジョンヒョンさんから、2018年の100%のミヌさん、2019年のf(x)・ソルリさんとKARAのク・ハラさんまで。突然の悲報が絶えない。
極限競争の育成システムを経て名前を知らせたスターたちが相次いで悲報を伝えていることに対しては、考えるべきことが多い。韓国を越えてアジアとヨーロッパ、ポップミュージック市場の本場である米英にまで広がったK-POPブームのなかで、まぶしいスポットライトを浴びるアイドルたちだが明らかに陰も存在する。
トップスターの座に上がった数多くのアイドルたちが深刻なうつ病を訴えるのは、韓国アイドル産業の素顔をそのまま見せてくれる。
大部分が10代の幼い頃に練習生生活を始めるK-POPアイドルたちは、長い間プライバシーを統制され、厳しい練習過程を経る。激しい競争を勝ち抜いてスターになった後も、未来に対する不安感はもちろん、悪質なコメント、デマなど、不特定多数からの評価にそのまま晒されるしかない。
一挙手一投足が大衆から関心を受ける対象であるため、応援も非難もすべて耐えなければならず、常にファンの前で毅然として明るい姿を見せなければならない人たちなのだ。
あまりにも早く育成され、消費されるK-POP産業のなかで、アイドルたちは息が切れても止まることができず、メンバー一人ひとりは使い果たされて枯渇する。先立って、ジョンヒョンさんの悲報にイギリスの日刊紙『ガーディアン』は「輝くスターが寛大ではないK-POP産業の真ん中で死ぬ」と批判したりもした。
今回のムンビンさんの悲報にも、多くの海外メディアがK-POPの闇に注目し、「ムンビンさんの死亡はK-POP市場の誤った点を示唆する」と指摘した。昨年は、BTSのリーダーRMが「K-POPとアイドルシステム自体が人を熟成させることはない。ずっと何かを撮らなければならないので、自分が成長する時間がない」とし、“バーンアウト”(燃え尽き症候群)が来たことを告白して衝撃を与えたことがある。
とある芸能事務所の関係者は、「K-POPが上昇しているなかでもアイドルの悲報が絶えず残念だ。華やかな芸能産業で、アイドルの精神健康管理に対する警戒心が着実に提起されており、大型企画会社を中心に以前よりもアイドルという職業の心理的ケアに努めている」と伝えた。
ただ、「企画会社の次元で問題を認知するのが先ではあるが、アイドルを眺める厳格な物差しやプライバシー侵害、非難のレベルなど、業界全般的な視線の転換が伴わなければならない。大衆の前に露出されるアイドルという職業の特殊性を考慮した、体系的で長期的な対処も必要だ」と声を高めた。
■うつ病や過食症を告白するK-POPアイドルたち…“残酷史”はいつまで続いてしまうのか
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