韓国のバドミントン選手が、“嘔吐の闘魂”で金メダルにあと一歩と迫った。
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8月2日(日本時間)、フランス・パリのポルト・ド・ラ・シャペル・アリーナで行われたパリ五輪・バドミントン混合ダブルス準決勝では、キム・ウォンホ(25)/チョン・ナウン(24)組がソ・スンジェ(26)/チェ・ユジョン(29)組との同国対決を2-1(21-16、20-22、23-21)で制し、決勝進出を決めた。
韓国勢同士の対戦で注目を集めた一戦は、文字通り“名勝負”となった。
各ゲームの所要時間は第1ゲームが19分、第2ゲームが25分、そして最終第3ゲームが28分だった。総試合時間は77分だ。
続けて行われたもう一方の準決勝がわずか39分で終了したことを考慮すれば、壮絶な死闘だったことがわかる。
第3ゲーム終盤には、キム・ウォンホ/チョン・ナウン組が16-13とリードした時点で、キム・ウォンホの顔面が蒼白になる場面があった。
キム・ウォンホは審判に事情を伝え、ベンチに戻って袋に嘔吐をした。その後、しばらく調子を整えて再び試合に臨み、最終的に勝利を手にした。
試合後、ミックスゾーンで報道陣の取材に応じたキム・ウォンホは、「後半に吐き気がした。プレー中にコートで吐きそうになったので、審判に話して袋に吐いた」とし、「コートでこんな風に見せてはいけないのに、五輪で見せてしまった」と苦笑いした。
キム・ウォンホはすでに体力の限界に到達し、危機的状況に陥っていたが、パートナーのチョン・ナウンの踏ん張りが勝利を手繰り寄せた。
「自分はバッテリーが切れた状態だった」と振り返るキム・ウォンホは、「ナウンに“任せた”と伝え、負担を与えてしまった。それでも、ナウンが負担を抱えながらも自分を励ましてくれた」とし、勝利の主役をチョン・ナウンに譲った。
そのチョン・ナウンは、「オッパ(兄さん/キム・ウォンホ)が私を信じてプレーすると言ったので負担になったが、その状況ではそうするしかなかった。自分がオッパを引っ張っていこうと思った」と話した。
キム・ウォンホは、韓国バドミントン界のレジェンド、キル・ヨンアの息子として有名だ。
キル・ヨンアは1996年アトランタ五輪の混合ダブルス金メダリストで、韓国を代表する女子バドミントン選手だった。息子のキム・ウォンホの立場としては、負担になる背景といえる。
それでも、キム・ウォンホは「幼い頃から母の五輪金メダルを見て自分も夢を見た。このように来ることになるとは思わなかった」とし。「母が“五輪メダルは天が与えてくれるものだから、最善を尽くして結果を受け入れろ”と話してくれた。これからは“キル・ヨンアの息子”を越えて、(キル・ヨンアが)“キム・ウォンホの母親”として暮らせるようにしてあげると伝えた。最後の挑戦を後悔なく戦いたい」と意気込みを語った。
ただ、キム・ウォンホとチョン・ナウンは決勝進出にも素直に笑うことができなかった。同じ韓国勢相手に勝利をしたからだ。
キム・ウォンホは「自分たちより一枚上手な実力を備えていると思い、もっと活気を与えた」とし、「金メダルを取らなければならない。自分たちが勝ったのだから、もっと責任感を持って勝利する」と話した。
なお、キム・ウォンホ/チョン・ナウン組は本日(2日)行われる決勝で、中国の黄雅瓊(30)/鄭思維(27)組と対戦する。
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