「19.29」。これは背番号ではない。韓国人投手コ・ウソク(25)がマイナーリーグAAで記録した防御率だ。
マイアミ・マーリンズ傘下マイナーAAのペンサコーラ・ブルーワフーズに所属するコ・ウソクは7月29日(韓国時間)、米フロリダ州ペンサコーラの本拠地ブルーワフーズ・スタジアムで行われたビロクシ・シャッカーズ戦の9回表に登板した。
同日、コ・ウソクは4被安打、1四球、4失点(自責点3)と大きく崩れた。アウトカウントを一つも取れなかったわけだ。
9回表、チームが1-2とリードされた状況でマウンドに上がったコ・ウソクは、先頭打者ブロック・ウィルケン(22)に安打を打たれた。 以降、野手のミスと四球で満塁となった。
その後、エルネスト・マルティネス・ジュニア(25)、ザビエル・ウォーレン(25)、ニック・ケール(26)に3連続で安打を打たれ、4失点を喫した。結局、直後に降板を余儀なくされた。
コ・ウソクのMLB挑戦の道のりは厳しい。
かつて韓国プロ野球でセーブ王に輝き、韓国代表でも2019年プレミア12や2021年東京五輪への出場経験があるコ・ウソクは、今年1月にサンディエゴ・パドレスと契約し、悲願のメジャー進出を果たした。しかし、開幕直前にロースターを外れると、その後は昇格することなく、5月4日にルイス・アラエス(27)獲得のための1対4トレードによってマーリンズへ移籍した。
ただ、マーリンズでも出場機会はなく、同月31日に40人ロースターからDFAとなることが発表され、事実上の戦力外とされた。
結局、マーリンズ傘下マイナーに残留したコ・ウソクだが、AAAジャクソンビル・ジャンボシュリンプでは16試合に登板して2勝1セーブの防御率4.29を記録。そして7月12日、AAのブルーワフーズに降格することが発表されていた。
もっとも、ブルーワフーズでも「1回3失点」「0.2回3失点」と、不振な成績が続いている状況だ。
24日には1回1奪三振、26日には1回1被安打、1奪三振と好成績を記録していた。そのコ・ウソクが今回、たった一つのアウトカウントも取れず、4失点で降板することになった。
韓国プロ野球元セーブ王のコ・ウソクは、国内で最高の抑え投手と言っても過言ではなかった。そんな選手が、マイナーの舞台で激しい浮き沈みを繰り返している。
なお、コ・ウソクは昨年3月のWBC前、とある韓国メディアとのインタビュー内で大谷翔平(30、ロサンゼルス・ドジャース)との対戦可能性を問われた際、「真ん中に投げて(大谷が)ホームランを打つのかという考えが先に浮かんだ。本当にいざマウンドに上がったとき、投げるところがなければ、痛くないところに当てなければならない。(塁に)出して、次の打者と勝負する」と発言したことが“故意死球”を示唆すると捉えらえ、日韓で大きく批判が広がったことがあった。
ただ、コ・ウソク自身はその後、別の韓国メディアとのインタビューで「(最初は)“真ん中に強く投げたい”と話したら、(当時の記者から)“もう少し面白く話してほしい”と伝えられた。誤解の余地がある発言をしたことは自分の過ちだったが、ただの一度も“誰かにわざと当てろ”と野球を習ったことはない。それが一番悔しい」と、当時の発言に誤解があったことを告白していた。
◇コ・ウソク プロフィール
1998年8月6日生まれ。韓国・仁川出身。身長180cm。韓国のプロ野球選手。マイアミ・マーリンズ傘下マイナーAAAジャクソンビル・ジャンボシュリンプ所属。高校卒業後の2017年にLGツインズでプロデビュー。2019年に韓国プロ野球史上最年少30セーブ(21歳1カ月7日)達成、2022年に42セーブでセーブ王に輝き、韓国プロ野球史上19人目の通算100セーブ到達。2024年1月にサンディエゴ・パドレスと契約するも、開幕直前にロースターを外れ、メジャー昇格なく同年5月にトレードでマイアミ・マーリンズに移籍。同月31日にDFA。韓国代表では2019年プレミア12、2021年東京五輪、2023年WBC、杭州アジア大会に出場。2023年1月、元中日ドラゴンズのイ・ジョンボム(李鍾範)の娘で、イ・ジョンフ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)の妹イ・ガヒョンと結婚した。
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