韓国Kリーグ1(1部)の蔚山(ウルサン)HD FCに所属する韓国代表DFソル・ヨンウ(25)が、欧州進出の夢を叶えた。
蔚山は6月24日、ソル・ヨンウがセルビアのツルヴェナ・ズヴェズダに移籍することを発表した。
ソル・ヨンウは1998年12月5日生まれの25歳。蔚山生まれかつ蔚山ユース出身の生え抜き選手で、右サイドバックを主戦場に左SBでもプレーできる。
2020年のトップチーム・デビュー以降は着実に主力として活躍し、チームの2020年AFCチャンピオンズリーグ(ACL)優勝や2022~2023年のリーグ2連覇に貢献。自身も2021年にKリーグ1と韓国サッカー協会(KFA)の年間最優秀選手賞、2023年にKリーグ1年間ベストイレブンに輝いた。
代表ではアンダー世代から着実に招集され、2021年東京五輪に出場したほか、昨年の杭州アジア大会ではオーバーエイジ枠で出場し、金メダル獲得で兵役特例の恩恵を受けた。
A代表はユルゲン・クリンスマン前監督体制の昨年3月に初招集され、6月のエルサルバドル戦でデビュー。今年1~2月のアジアカップにも出場した。
2023-2024シーズンのセルビア・スーペルリーガで7連覇となる優勝を果たしたツルヴェナ・ズヴェズダには、同郷の韓国代表MFファン・インボム(27)が在籍。ファン・インボムは同年のリーグ年間MVPに輝いている。
ツルヴェナ・ズヴェズダは冬の移籍市場の時点からソル・ヨンウに注目していた。上述のファン・インボムの活躍ぶりもあり、韓国人選手に対する好感が高まった状況だった。
ただ、当時の蔚山はソル・ヨンウの代わりとなる選手がおらず、本人の残留を望んだ。
また、ツルヴェナ・ズヴェズダ側が最初に提示した100万ユーロ(日本円=約1億7066万円)程度の移籍金も、ユースから手塩にかけてソル・ヨンウを育成してきた蔚山としては、受け入れがたい金額だった。
それでも、今夏の移籍が実現したのは、ツルヴェナ・ズヴェズダ側がソル・ヨンウ獲得への熱意を見せたからだ。
実際、移籍金は150万ユーロ(約2億5606万円)に引き上げられた。併せて、ツルヴェナ・ズヴェズダが来季UEFAチャンピオンズリーグ(CL)にプレーオフから出場することもあり、同クラブのズヴェズダの欧州大会進出と結果次第で、一定ボーナスを蔚山に支給することで決まった。
近年の欧州移籍市場において、東アジアでプレーするサイドバックの獲得に2億円以上を費やすクラブはそう多くない。
何より、セルビアは欧州でも中小の規模で知られるリーグだ。
だが、頻繁に欧州大会へ出場しているツルヴェナ・ズヴェズダとしては、今後のさらなる成長への期待も込めてソル・ヨンウに投資した。
蔚山を率いるホン・ミョンボ監督としても、ツルヴェナ・ズヴェズダが提示した条件はもちろん、ソル・ヨンウ本人の強い欧州進出への思いもあり、移籍を受け入れるしかなかった。
結局、今夏の移籍を許した指揮官は、DFチャン・シヨン(22)やDFチェ・ガンミン(22)など若手の育成や、元横浜F・マリノスのFWユン・イルロク(32)の右SBコンバートを通じて、ソル・ヨンウの抜けた穴を埋める方針に転換した。
ソル・ヨンウは今年2月に行われたヴァンフォーレ甲府とのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦で右肩を脱臼。その後、3月に行われた全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースとのACL準々決勝でゴールパフォーマンスをした際に再び右肩が外れ、同月の代表戦でも同部位を脱臼するなど、慢性的な脱臼に悩まされていた。
以降は横浜F・マリノスとのACL準決勝にも出場し、リーグ戦では9試合1アシストを記録していたが、本格的な治療のために5月上旬から戦列離脱。右肩の手術を受け、現在までリハビリを進めてきた。そして今回、ツルヴェナ・ズヴェズダ移籍が実現した。
なお、ソル・ヨンウは来る6月26日にホームの蔚山文殊(ウルサン・ムンス)サッカー競技場で行われるKリーグ1第19節の大邱(テグ)FC戦で、蔚山のファン・サポーターに挨拶をする。
その後、メディカルチェックを経て、2024-2025シーズンへの準備を進めるツルヴェナ・ズヴェズダに合流する予定だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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