チームの中心選手となる「欧州組」の招集をめぐり、なぜ韓国は拒否され、ライバルの日本は正常に行われたのだろうか。
世界記録更新の10大会連続五輪出場に挑むU-23韓国代表が、パリ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップ開幕前から始まる前から緊急事態に陥っている。チームの中核を担う複数の欧州組が、所属チームの“招集拒否”によって合流に失敗したのだ。
4月15日(日本時間)からカタールで開幕するU-23アジアカップでは、上位3カ国が今夏行われるパリ五輪本大会にストレートイン。4位国は5月9日にフランスで行われる大陸間プレーオフに進み、アフリカU-23ネイションズカップ4位国ギニアと本大会出場をかけて対戦する。
韓国はグループステージから優勝候補の日本をはじめ、UAEや中国と同じグループBに入った。大会序盤から厳しい戦いをしなければならない。
チームを率いるファン・ソンホン監督は、今大会に出場する最終メンバー23人にMFヤン・ヒョンジュン(21、セルティック)、MFペ・ジュノ(20、ストーク)、DFキム・ジス(19、ブレントフォード)、MFキム・ミヌ(22、デュッセルドルフⅡ)と4人の欧州組を選出した。
ところが、今月に入りヤン・ヒョンジュンとキム・ジスが各所属チームの事情によって招集を拒否され、代替選手としてMFホン・シフ(23、仁川ユナイテッド)とMFキム・ドンジン(20、浦項スティーラーズ)を急きょ招集する事態となった。
ストークで主力を張るペ・ジュノも、本日(11日)行われたチャンピオンシップ第42節スウォンジー戦で出場(0-3で敗戦)。未だU-23韓国代表への合流時期が確定しておらず、上記2人同様クラブが招集を拒否する可能性もある。
その一方で、大岩剛監督率いるU-23日本代表は、4月4日に発表したメンバー23人に含まれた欧州組5人全員がカタールに向かう。
同大会は国際サッカー連盟(FIFA)主管大会ではないため、各クラブに派遣義務がない。
にもかかわらず、欧州派の招集をめぐり韓日の悲喜が分かれたのは、それぞれ置かれた状況が明確に異なるためだ。
日本は今回、欧州組としてGK小久保玲央ブライアン(23、ベンフィカ)をはじめ、DF内野貴史(23、デュッセルドルフ)、MF山本理仁(22、シント=トロイデン)、MF藤田譲瑠チマ(22、シント=トロイデン)、FW佐藤恵允(22、ブレーメン)を招集した。
小久保や内野、佐藤はいずれも所属チームで非主力要員だ。
ベンフィカの守護神はウクライナ代表GKアナトリー・トルビン(22)が務めており、小久保は今季出場記録がなく、2軍で16試合に出場した。
佐藤も今季トップチームでの出場はない。内野はブンデスリーガ2部で15試合出場にとどまり、うち先発も3試合のみだ。
所属チームで主力としてプレーしているのは、リーグ戦30試合に出場中の山本と、同22試合に出場中の藤田だけだ。
それでも招集が可能だったのは、所属するシント=トロイデンの特殊性が伴う。日本人がオーナーを務めるシント=トロイデンでは長年、日本企業の後援を受けながら、多くの日本人有望株が経験を積み上げ、ベテランも最後の挑戦をするクラブとされている。今季も6人の日本人選手が所属している。
彼らに比べて、ヤン・ヒョンジュンはセルティックが“信じて起用する”ウィンガーであり、ジョーカー的存在だ。セルティックは現在、ライバルのレンジャーズと熾烈なリーグ戦優勝争いを繰り広げている。
ペ・ジュノもリーグ戦34試合に出場して2ゴール4アシストを記録するなど、イングランド2部の舞台で主力として活躍している。ストークが3部降格の危機に瀕しているだけに、クラブとしては派遣によるリスクを長期間抱えることは難しい。
唯一、キム・ジスはブレントフォードでトップチームでの出場がないが、よりによってここ最近、チーム内でセンターバックの選手に負傷者が続出している。そのため、キム・ジスも“万が一の事態”に備えなければならなくなった。
残り“唯一の欧州組”であるキム・ミヌは、デュッセルドルフⅡでプレーしていることもあり、今月6日にもU-23韓国代表に合流した。クラブ側としても、今大会の出場を通じて得られる経験値が大きいだけに、快く選手を送り出した。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.
前へ
次へ