いよいよ本日(8月6日)開幕する夏の甲子園こと「第105回全国高校野球選手権記念大会」。47都道府県から計49校が出場し、夏の王者をかけて激闘を繰り広げる同大会だが、各地の予選時から物議を醸しているのが暑さ問題だ。
温暖化の影響もあり、年々深刻さを増す日本の猛暑。真夏の炎天下に高校生が試合をする光景はお隣・韓国でも注目されており、最近では『スポーツ朝鮮』が富山大会決勝で173球を投げた富山商業の投手・上田海翔と関連して、「殺人的な猛暑にもかかわらず、先発投手が173球の完投を披露した」と伝えていた。
そんな韓国でも、高校野球における暑さ対策を求める声は挙がっている。
韓国では今年7月、首都ソウルで「第78回青龍旗全国高校野球選手権大会(以下、青龍旗)」が開催された。
1946年から行われている同大会は「韓国で最も長い歴史を持つ高校野球大会」として知られている。韓国メディアの間でも、「韓国版甲子園」「日本に夏の甲子園があるなら、韓国には青龍旗がある」など、日本の甲子園と同等に報じられることが多い。
その「青龍旗」の決勝は7月27日に実施。結果は慶北(キョンブク)高校が4-1で勿禁(ムルグム)高校を破り、同大会30年ぶりの優勝を成し遂げた。
ただ、同大会決勝をめぐって『MHNスポーツ』が「35度の猛暑と戦った青龍戦士たち、来年も放置するのか?」と見出しを打ってとある指摘をした。それは、決勝の試合開始時間が「13時」だったことだ。
というのも、同大会では以前まで決勝を夕方に開催していた。実際、昨年の第77回大会の決勝は18時30分から行われていたし、それ以前の大会でも夕方以降開始の試合が設けられていた。
では、なぜ今年は決勝が最も暑い昼の時間帯に行われたのかというと、地域住民から「苦情」が届いたからだ。
決勝会場の木洞(モクドン)野球場のすぐ近くにはアパートが多く立ち並んでいる。そこで、夕方以降に球場から聞こえてくる試合中の音や応援の声が苦痛だとし、激しい苦情が寄せられたという。
そのため、「青龍旗」を主管する韓国野球ソフトボール協会がソウル市と協約を結び、今大会では夕方以降の試合を実施しないことで決定。これにより、決勝が日中に行われることになったようだ。
アパート住民からの苦情は今回だけではない。過去には、プロ野球のウリ・ヒーローズ(現キウム・ヒーローズ)が一時的に木洞野球場を本拠地として使用した際も、近隣からの苦情によって、現在の本拠地である高尺(コチョク)スカイドームへの移転を余儀なくされたことがあった。
騒音問題によって日常生活に支障が出るのであれば、住民たちが苦情を寄せるのも無理はない。とはいえ、真夏の昼に試合をしてしまえば学生たちの健康面に影響が及びかねない。
日本の甲子園同様、韓国の高校野球でも深刻化する夏の猛暑への早急な対策が求められている。
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