韓国プロ野球KBOリーグのFA市場が、史上初めて2年連続が総額800億ウォン(日本円=約80億円)を突破した。当分、“最後の狂風”として長く伝えられることになりそうだ。
FA投手チョン・チャンホン(33)は3月27日、前所属のキウム・ヒーローズと2年総額8億6000万ウォン(約8600万円)で契約した。内訳は契約金2億ウォン(約2000万円)、年俸2億円、オプション最大2億6000万ウォン(約2600万円)だ。
チョン・チャンホンの契約により、KBOの2023年FA市場は事実上の終了を迎えた。唯一、未契約で残ったFA投手カン・リホ(32)は、新天地を見つけることが難しい状況にある。
これで2023年のFA申請選手21人中20人が契約を終え、総額は803億1500万ウォン(約80億3150万円)に増加した。
歴代FA総額2位で最高額が出た2022年の総額989億ウォン(約98億9000万円/15人)に続き、再び800億ウォン以上の巨額が市場を埋め尽くした。FA総額が2年連続で800億ウォンを超えたのは今回が始めてだ。
今回のFA市場では、いつにも増して活発な移籍が行われた。
韓国代表として2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)にも出場したヤン・ウィジ(35/NCダイノス→斗山ベアーズ)をはじめ、11人がチームを変えた。サイン&トレードで移籍したイ・ミョンギ(35/NCダイノス→ハンファ・イーグルス)まで含めれば12人に上る。
これまでFA移籍が最も多く行われたのは2015~2016年の7人だったが、今回の“大移動”で市場の雰囲気も熱くなった。
4年以上の長期契約もあった。ヤン・ウィジとチェ・ウンソン(33/LGツインズ→ハンファ・イーグルス)が最大6年契約で移籍したなか、パク・ミンウ(30、NCダイノス)は5+3年とKBO史上最長となる8年超の長期契約を獲得した。
一方、FA契約の“貧富拡大”は相変わらずだった。30億ウォン(約3億円)以上の契約選手が8人だったが、10億ウォン(約1億円)未満の契約選手も8人に上った。
“FA迷子”が懸念されたイ・ミョンギ、クォン・ヒドン(32、NCダイノス)、チョン・チャンホンは、冬が過ぎ2~3月になってようやく契約できた。しかし、カン・リホは補償選手の用意が必要ないC等級だったにもかかわらず、半ば強制的に引退へと追い込まれた。
新型コロナウイルス感染症による悪影響をあざ笑うかのように、KBOではここ数年、予想を上回るFA市場加熱の様相を見せた。
しかし、今後しばらく“FA狂風”は吹きにくいものと予想される。今年から本格導入されたチーム年俸総額上限制のサラリーキャップによって、球団が大型投資をしにくい構造になった。
3大会連続1ラウンド敗退に終わったWBCを筆頭に、相次ぐ国際大会の不振で、FA高額年俸に対する“バブル論議”も過熱している。
何より、市場を揺るがすほどのFA選手があまりいないことが最大の要因だ。
非FA複数年契約の潮流が続くなかで、トップクラスのFA候補は市場に出る前にすでに縛られている。
昨冬もパク・セウン(27、ロッテ・ジャイアンツ)、ク・チャンモ(26、NCダイノス)、オ・ジファン(33、LGツインズ)が非FA複数年契約を結び、FAを諦めた。
今シーズン終了後にFAになる選手では、キム・ジェユン(32、KTウィズ)、アン・チホン(32、ロッテ・ジャイアンツ)、ヤン・ソクファン(31、斗山ベアーズ)あたりが大物といえるが、特に目につく選手は不足している。
イ・ジョンフ(24、キウム・ヒーローズ)やコ・ウソク(24、LGツインズ)らS級の選手も、メジャーリーグ進出が確定もしくは有力な状況であるため、“FA狂風”を起こすほど売り物は多くない。
(記事提供=OSEN)
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