オ・ジェソクは今のJリーグと日本代表をどう見ているのか。古巣同僚、同郷の後輩との縁も明かす【一問一答】

昨季開幕前に名古屋グランパスから仁川(インチョン)ユナイテッドに移籍し、9年ぶり母国復帰を果たしたオ・ジェソク。

【前回】オ・ジェソク、9年ぶり復帰Kリーグでの近況語る

第2回目の前回はKリーグでの戦いぶりや結婚生活など、韓国での近況について聞いたが、復帰後の現在もJリーグや日本代表の試合はチェックしているという。

それだけでなく、古巣でプレーする韓国人選手の後輩、さらには元チームメイトとも連絡を取り合っていることを明かしてくれた。

全5回でお届けするオ・ジェソクとの単独インタビュー一問一答も第3回目。今回は「オ・ジェソクが見る今の日本代表とJリーグ」、そして「古巣同僚、韓国人選手の後輩との縁」についてお送りする。

「今の日本代表のサッカーは…」

―オ・ジェソク選手が水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスでプロデビューした2010年当時と比較して、Kリーグ全体でサッカーのスタイルが変わったと感じたことはありますか。

「蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)のように、後方からボールをつなぐチームが増えましたよね。韓国は元々結果中心のサッカーで、サイドからのクロスを多用して、とにかく走るというスタイルが多い。もちろん、今もその名残はありますが、それでももっとテクニカルに、もっと面白いサッカーをしようとするチームが出てきています。そのような点が、以前と比べて変わったと思います」

―現在の韓国代表を率いるパウロ・ベント監督も、「後方からのビルドアップ」を目指すサッカーとして掲げているように、韓国サッカー界全体の潮流が変化しつつあるように感じます。

「相手よりも多く走り、スピーディーに、ボール奪取も激しいというのが、これまでの韓国サッカーの特徴でした。そんななかで、代表監督が正確な哲学を持っているというのは良いことだと思います。実際、今の代表でプレーする選手たちも満足しているみたいですしね。

それに、ビルドアップといえば日本サッカーの特徴だと思いますが、今の日本代表を率いる森保一監督のサッカーは、前線から素早くプレスを仕掛け、そこからスピードのあるカウンターで得点を狙う、というスタイルですよね。その一方で、韓国代表はビルドアップをするようになった。日本と韓国の両方で、お互いのサッカーの長所がよく混ざっているのではないかと思います。昨年3月の日韓戦では韓国が0-3で敗れましたが、今お互いにベストメンバーの状態で試合をしたら、どんな結果になるのかは気になりますね」

(写真=姜亨起/ピッチコミュニケーションズ)インタビュー中のオ・ジェソク

―森保監督の名前を出されましたが、現在の日本代表の試合はチェックしているのでしょうか。

「チェックしていますよ!(6月2日の)パラグアイ戦を見ましたが、日本らしく技術的な上手さはありましたし、攻撃的なサッカーを上手く展開していたと思います。ただ、以前と比べて、守備が少し弱いという感じはしました。

日本の選手は欧州や南米と比べて身体が小さいですが、代わりに豊富な運動量を活かしたプレスやショートカウンターが効いていて、それが日本サッカーの新しい特徴になったんだなと感じています。パスは元々上手ですから、そういうところも日本代表の変わった点だと思っています」

―では、現在の日本代表で印象深い選手はいますか?

「全員印象深いですが、守備陣だと川崎フロンターレのキャプテンの谷口彰悟ですかね。前線はどの選手も素晴らしいですが、そのなかで特に印象深かったのは三笘薫です。三笘のプレーは日本で一度経験してみたかったのですが、あいにく一度もマッチアップできませんでした。三笘は東京五輪のとき、ケガもあってあまり出られずにいましたが、それでも終盤に良いプレーを見せていたので印象深かったです」

「プロスポーツはファンがいなければ意味をなさない」

―韓国では今年4月から、Kリーグやプロ野球などで声出し応援が解禁となりました。それから約2カ月が経ちますが、コロナ禍以前の日常に戻りつつあると感じますか?

「感じますね。ただ、今はもうコロナとともに生きていかなければならない時代に変わったと思っています。韓国も防疫のために最後まで最善を尽くしましたが、完璧にコロナ禍以前の時代に戻ることはほぼ不可能となってしまったので、韓国では早期に感染対策が緩和されました。日本でも無観客試合を経験したことがありますが、早く以前のようなJリーグに戻って、素晴らしい雰囲気で試合をしてもらいたいという願いがあります」

―Jリーグでも声出し応援の検証試合を実施するなど、段階的に声出し解禁に向けて動き始めています。Jよりも早く声出し応援が可能となったKリーグのスタジアムの雰囲気はいかがでしょうか。

「“プロスポーツはファンがいなければ意味をなさない”というのを強く感じました。声援がなければ雰囲気も生まれないですし、ファンの声援を聞くことで、改めてプロ選手としての自負心が芽生えます。それに、スタジアム全体の盛り上がりや観戦の面白さにもつながるので、選手やファン、関係者などサッカーに携わるすべての方のためにも、声出し応援は解禁されてほしいですね。日本も一日も早く以前の日常が戻ってきてほしいです」

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)熱い声援を送る仁川ユナイテッドのサポーター

―そのKリーグですが、デビュー当時と比較して、興行面や環境面での変化は感じますか。

「感じますね。以前よりもファンが多くなったと思います。何より、これまではどのチームも守備に重点を置くカウンターメインのサッカーをしていましたが、今はスタイルも変化し、環境もたくさん変わりました。昔は韓国サッカー特有の強圧的で硬い雰囲気がありましたのですが、今はメディアもそうですし、選手たちも積極的に意見を表現するようになりましたね。

それに、僕が最初にKリーグにいた当時は日本人選手がほとんどおらず、(水原三星でチームメイトだった)高原直泰さんや、(江原FCでチームメイトだった)島田裕介さん、大橋正博さんといった選手ぐらいでしたが、今ではたくさんの日本人選手がプレーするようになって、良い変化だと思います」

―ガンバ大阪、FC東京、名古屋グランパスに在籍したJリーグでも、2013年から2020年までプレーした8年間で変化した点はありましたか?

「2013~2014年頃までのJリーグは、いつも強いチームが勝つという雰囲気がありました。ただ、Jリーグが面白いのは、優勝するチームが毎年どこになるかがわからないところ。近年は川崎の優勝が目立ちましたが、今季は以前のようなJリーグの良さが出ていると思っています。それは観戦する楽しさにもつながりますよね」

―というと、Kリーグに復帰した後も、韓国でJリーグを見ているんですね。

「そうですね。特によく見るのは名古屋の試合です。名古屋もそうですが、ガンバも、今は下位にいますが、本来はもっと高い順位にいなければならないチームだと思っています。FC東京も含めて、今も古巣は応援しています」

―名古屋と言えば、オ・ジェソク選手がJリーグ時代に指導を受けた長谷川健太監督が、今季からチームを率いています。

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