かつてガンバ大阪で活躍した韓国代表FWファン・ウィジョ（29、ボルドー）の沈黙が長引いている。それも代表とクラブの両方だ。
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ややもすると長期的な低迷にもつながりかねず、W杯を控えた韓国代表にとっても悪材料となるのではないかと懸念する声も出ている。
ファン・ウィジョは4年前の2018年、ジャカルタ・アジア大会に出場したU-23韓国代表のオーバーエイジ枠に抜てきされると、9ゴールで大会得点王に輝く活躍を披露し、一気に韓国サッカー界のトップに登り詰めた。
以降、パウロ・ベント監督ひきいるA代表でも不動のストライカーに君臨し、現体制でこれまで最多得点（13ゴール）を記録している。
ところが、最近になってその勢いが大きく衰えている。韓国代表はカタールW杯アジア最終予選を順当に勝ち抜き、無事に本大会出場権を獲得したが、ファン・ウィジョは低調なパフォーマンスが続いた。最終予選には計8試合に出場したが、1ゴールも決めることができなかった。
ファン・ウィジョが最後にA代表で得点を決めたのは、昨年6月のアジア2次予選トルクメニスタン代表戦が最後だ。直後には東京五輪代表のオーバーエイジでゴールを決めたとはいえ、W杯を控えるA代表では約1年近くゴールから遠ざかっている。
さらなる問題は、所属チームでも沈黙が予想より長引いているということだ。
ファン・ウィジョは今年1月23日のリーグ・アン第22節ストラスブール戦でハットトリックを達成した。それまでリーグ戦17試合に出場して9ゴールと、チームの攻撃を担う活躍を見せていた。
しかし、以降の3カ月間は11試合に出場してわずか2ゴールにとどまっている。今年2月14日の第24節RCランス戦でシーズン10ゴール目を決め、その後4月10日の第31節メス戦で2カ月ぶりに得点を挙げた。これまでの苦労が大きかったのか、ファン・ウィジョは得点直後に涙を流していた。
久しぶりのゴールで再び調子を取り戻すことが期待されたが、それでも本来のパフォーマンスとは程遠い。
ボルドーが3-5で大敗した24日の第34節ナント戦は、ファン・ウィジョの感覚が以前より落ちていることを実感させる試合だった。ファン・ウィジョはこの日、完璧な得点チャンスを2度も外してしまったのだ。
特に後半4分、ファン・ウィジョは右サイドから送られたクロスに対し、ゴール前でフリーの状況を迎えたが、振り抜いた左足は空を切った。結局、後半28分に交代でベンチに下がったファン・ウィジョは、首を左右に振って自責をしていた。
単に得点力が落ちたことだけが憂慮される要素なのではない。ファン・ウィジョは得点面だけでなく、ゴールに背を向けてチームメイトのスペースを創出したり、サイドに広く動き回ったりと連係プレーにも長けた選手だった。ところが、最近では代表でもクラブでもこうした姿があまり見られなくなったと評価されている。
予想できなかったファン・ウィジョの長い不振は、12年前のFWイ・グノ（37、大邱FC）を想起させる。
かつてジュビロ磐田、ガンバ大阪にも在籍したイ・グノは当時、南アフリカW杯出場を目指すホ・ジョンム監督体制の韓国代表で攻撃陣の中核を握っていた。その活躍から“皇太子”という別名も付けられていたほどだ。
しかし、W杯本大会までの1年間で長い沈黙が続き、所属チームでもパフォーマンスが落ちた結果、最終的に南アフリカW杯のメンバーから落選した。
イ・グノの代わりに、ベテランのFWイ・ドングッ（42）、FWアン・ジョンファン（46）のほか、元ガンバ大阪のFWイ・スンリョル（33）が好調ぶりを評価されて南アフリカ行きの飛行機に乗っていた。
ファン・ウィジョはFWソン・フンミン（29、トッテナム）、FWファン・ヒチャン（26、ウォルヴァーハンプトン）とともに攻撃陣を率いている。しかし、不振がさらに長期化するのであれば、ベント監督の悩みも大きくならざるを得ない。
また、最近ではファン・ウィジョに似たプレースタイルを持つ若手FWチョ・ギュソン（24、金泉尚武）の台頭も目立つ。チョ・ギュソンは今季Kリーグ1（1部）で9試合7ゴールと、得点ランキングで首位を走る活躍を見せており、ファン・ウィジョの立場も危うい。
もっとも、ファン・ウィジョが巻き返せる機会は十分にある。というのも、今回のW杯は夏季ではなく、11月に“冬のW杯”として開催されるからだ。
これまでW杯出場経験のないファン・ウィジョは、本大会までに得点感覚を取り戻し、自身初となるW杯の舞台に立つことができるのか。残り試合も少ないリーグ・アンでの奮闘ぶりを見守りたいところだ。
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