「第1戦、第2戦が非常に重要だ」
キム・サンシク監督率いる全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースは去る4月12日、仁川(インチョン)国際空港を通じてベトナム・ホーチミンへと出国した。
昨シーズンにKリーグ1(1部)で前人未到の5連覇を達成した全北現代は、今季アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で横浜F・マリノス(日本)、シドニーFC(オーストラリア)、ホアンアイン・ザライFC(ベトナム)と同じグループHに入った。
そんな全北現代は今、厳しい状況に置かれている。というのも、キャプテンのDFホン・ジョンホ(32)をはじめ、ブラジル人FWグスタヴォ(28)、DFキム・ムンファン(26)、DFイ・ヨン(35)の右サイドバック2選手、正守護神のGKソン・ボムグン(24)、センターバックのDFク・ジャリョン(30)といった主力6人が、出国前の新型コロナウイルス検査で陽性が発覚し、ベトナムに向かうことができなかったからだ。
上記6人は新型コロナ感染から回復次第、順次チームに合流する予定だが、来る16日に行われる初戦のシドニーFC戦、さらには19日の第2節横浜F・マリノス戦での欠場は避けられない。
12日の出国前、仁川国際空港で本紙『スポーツソウル』の取材に応じたキム監督は、「円滑な選手構成は難しい。最初の2試合を上手く戦ってこそ、選手たちの体力配分が可能となり、ローテーションも活用することができる」とし、「侮ることのできないグループだ。シドニーFC、横浜FMは常にACLに出場するチームであり、ホアンアイン・ザライにはホームの利点がある」と、厳しいグループステージになることを見通した。
もっとも、ここ最近のチーム状況は決して悪くない。開幕戦勝利後から5試合未勝利(2分3敗)と低迷し、一時は12チーム中11位まで沈んだ全北現代は、直近3試合で連勝を飾り、順位も4位にまで引き上げた。キム監督は復調の要因を次のように語る。
「5試合未勝利に陥ったとき、選手たちに“4つのことを変えよう”と伝えた。“戦術、技術、体力、そして精神的な面のすべてを変えよう。5年連続優勝中のチームとは誰も認めない。周囲は我々が滅びていると批判しているのだから、過去のことは忘れよう。過去は過去であるだけだから、自分たちの自尊心を守ろう”と。それから選手たちの目つきは変わった。戦術的にも結果が付いてきた。ピンチは常に訪れるものだが、決して他人のせいにすることなく、自ら変えようとする姿を見せた」
何より、フォーメーションを4バックから3バックに変化させる采配が見事に的中した。「ひとまず臨時的な方法であるとはいえ、選手たちがよくついてきてくれた。Kリーグには3バックを用いるチームが多い。我々も3バックを試して守備を強化しようしたが、それが上手くハマったようだ。今後は4バックと3バックを併用することができるだろう。戦術の幅はさらに広がった」とキム監督は述べた。
グスタヴォがグループステージ序盤2試合を欠場するなか、ロシア人FWスタニスラフ・イリュチェンコ(31)がACL前ラストゲームで途中出場から10分足らずで2ゴールを決め、調子を取り戻した点もポジティブな要素だ。
イリュチェンコは今季序盤に極度の不振に陥り、ノーゴールの沈黙が続いていたが、ようやく自信を取り戻した。キム監督も「イリュチェンコのことはずっと心配していた。グスタヴォとの競争で焦りがあったようだが、自信を得たはずだ。グスタヴォがいない状況ではあるが、イリュチェンコが直近の試合の感覚を維持できていれば、十分に多くのゴールを決めてくれるだろう」と期待を示した。
全北現代は昨シーズン、ACL決勝トーナメント準々決勝でライバルの蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)と延長にもつれる激戦を繰り広げた末、2-3と惜しくも敗れた。2006年、2016年とACLを制している全北現代にとって、アジア王者の座は国内Kリーグよりも切実だ。
「今はACLに集中する時間だ。グループステージさえうまく突破できれば、トーナメントでは十分戦えると思っている。今年は昨年よりもさらに高い場所を目指したい」と、キム監督はACL制覇へ全力を尽くすことを誓った。
シーズン序盤の不振でファンから多くの批判を受け、解任論も叫ばれたキム監督。ここ最近でようやくピンチを乗り越えたが、リーグ戦6連覇、ACL優勝に向けた戦いはまだ始まったばかりだ。
キム監督は最後に、「ファンの皆さんには“待ってほしい”と伝えたい。それと同時に“申し訳ない”とも伝えたい。一時11位に沈んだのは監督、選手、ファンの全員が容認することができない。私としてもこの14年間でなかったことなので、戸惑ったこともあった。それでも、信じて待っていただければ、全員で力を合わせて良いサッカーを披露し、結果で恩返しすることを誓いたい」と並々ならぬ覚悟を伝えた。
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