昨年に2部クラブとして史上初めてFAカップを優勝した韓国Kリーグの全南(チョンナム)ドラゴンズが、新シーズンのスケジュールをめぐって頭を悩ませている。
【関連】Jクラブとの対戦経験も。全南ドラゴンズはどんなクラブ?
全南はFAカップ優勝チームの資格で、2022シーズンのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)にグループステージから出場する。
去る1月17日に行われた組み合わせ抽選会の結果、BGパトゥム・ユナイテッド(タイ)、ユナイテッド・シティ(フィリピン)、メルボルン・シティ(オーストラリア)と同じグループGに入った。
今季もACLは新型コロナウイルス感染症の影響で集中開催され、グループステージは4月15日から5月1日まで行われる。
そこで浮上した問題が、Kリーグ2において全南だけがACLと日程が重なり、他チームと試合数を合わせることが困難になる点だ。
ACLでは集中開催地の選定にあたり東アジア各国の誘致を受け付けているが、オミクロン株の感染拡大が続く日本や韓国、中国では開催が難しい状況にある。このため、昨季と同じようにタイなどが積極的な誘致に乗り出すとみられる。
Kリーグを管轄する韓国プロサッカー連盟は当初、Kリーグ2第13節が予定されている5月3~4日に全南のホームゲームを組み込む予定だった。
すなわち、全南が国外でACLグループステージをこなして帰国した場合、まともな体力回復もできないままKリーグ2第13節を戦わなければならなくなる。
政府の保健当局の協力で、韓国では今季もACL出場チームに限り隔離が免除される可能性が高い。ただ、免除される場合でも、帰国後のPCR検査で全員に陰性判定が出るまでは別途機関で待機しなければならない。
全南は以前からこの状況を韓国プロサッカー連盟に説明しており、連盟側もこれを認知している。ただ、今季は11月にカタールW杯が開催されることを考慮し、Kリーグ1・2部とも2月に早期開幕し、10月までに全日程を終えることを目標としている。例年と比べて予備日は少ない。
Kリーグ2からACLに出場するのは当然、全南のみ。このため、ほかのチームが同等の条件で日程を調整することは不可能だ。調整には相手チームの協力が先行されなければならない。
結局、韓国プロサッカー連盟は第13節で全南と対戦するソウルイーランドFCに協力を要請し、試合日を国際Aマッチ期間の6月8日に移すことで決定した。
このほか、ACLグループステージ直前の4月11日には第10節の光州(クァンジュ)FC戦が予定されていたが、韓国プロサッカー連盟に要請、光州FCの同意を経て、1日繰り上げた4月10日に行われることになった。
全南の状況次第では、Kリーグ2の日程調整が再び行われる可能性もある。
全南がACLでグループステージを突破すれば、8月18~25日に1回戦から準決勝まで集中開催される決勝トーナメントに進出する。同期間にはKリーグ2の第33~34節が予定されている。
韓国プロサッカー連盟の関係者は、「全南がACLグループステージを通過すれば、8月の日程も相手チームの協力を求め、国際Aマッチ期間の休息期などを最大限活用して日程を移すしかない」と話している。
新シーズンのKリーグ2は、金浦(キムポ)FCが新たに参入したことで11チーム体制となり、リーグ戦も全40試合と例年以上に厳しい日程となる。ここに全南のACL出場による変数もあるわけだ。
他チームの関係者からは、「一部の試合をW杯後に延期しよう」「1ラウンドを減らして日程に余裕を持たせよう」といった声も出ている。
ただ、韓国プロサッカー連盟側は「W杯後に2~3試合を戦うため、複数のチームが選手を維持することには否定的な声がある。現実的な困難も伴うだろう。それに、試合数を減らすことは(チームによって)利害関係が異なる。すでに(理事会を経て)決められた事案だ」と述べている。
前へ
次へ