韓国代表DFキム・ヨングォン(31)を獲得した蔚山現代が、アル・ヒラルの今季アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)優勝をけん引した元同代表DFチャン・ヒョンス(30)も狙っている。
【関連】チャン・ヒョンスが代表資格を剥奪された「2つの理由」
本紙『スポーツソウル』の取材によると、蔚山現代とチャン・ヒョンス側は大きな枠組みで対話を交わしている。これまでFC東京、広州富力(現・広州城足球倶楽部)と海外でキャリアを積み上げてきただけに、初挑戦となるKリーグ行きは慎重に検討しているという。
だが、チャン・ヒョンスと蔚山現代を取り巻く状況を見ると、移籍の実現は容易ではない。
チャン・ヒョンスはアル・ヒラルとの契約期間を来年夏までとしている。アル・ヒラルとしては、選手が全盛期であるうちに契約延長を進めたい意志をもっている。仮に選手が残留を拒否して移籍する場合、アル・ヒラルは一定程度の移籍金を要求するものとみられる。
一方、蔚山現代はチャン・ヒョンスがアル・ヒラルとの協議を通じてフリーエージェント(FA)となることを望んでいる。
ただ、アル・ヒラルがアジアの舞台においてライバルとなる蔚山現代に主力を差し出すかは不透明だ。加えて、仮にFAとなってもチャン・ヒョンスの高額年俸がネックとなる。本人が年俸削減に応じた場合でも、蔚山現代はキム・ヨングォンにKリーグ最高水準の年俸を支給しており、“オーバーペイ”が避けられない状態にある。
蔚山現代が無理にでもチャン・ヒョンスの獲得に乗り出すのは、ホン・ミョンボ監督が指摘する守備陣の弱点のためだ。
かつて韓国の世代別代表やA代表で指揮を執っていた頃から、ホン・ミョンボ監督は守備の組織力を最優先に考えている。自身も現役時代に“アジア最高のリベロ”と呼ばれたホン・ミョンボ監督は、ただ守備力だけに長けたDFではなく、試合全体をコントロールし、チームをけん引できるDFを好む。
今年限りで蔚山現代を退団したオランダ人DFデイブ・ブルタイス(31)が、ホン・ミョンボ監督から100%の信頼を得られなかったのもこのような理由にある。
ブルタイスは対人能力に強さを見せる反面、試合コントロールの能力で劣る。加えて血の気が多く、パフォーマンスの起伏も激しい。DFキム・ギヒ(32)も代表クラスの実力を備えているものの、時々決定的なミスを犯すという不安要素がある。
蔚山現代は直近3年間、全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースと常に優勝争いを繰り広げた。勝ち点や総得点数では対等に競っていたが、失点数が毎年多かった。優勝を争う位置にいながら常に守備が不安要素だったという意味だ。
ホン・ミョンボ監督は就任2年目となる来シーズンを控え、守備の組織を最大限完成させる意思を持っている。ただ、開幕前は代表招集で複数選手の離脱も予想され、まともに冬季キャンプを組むことも難しい。
そのため、代表時代に自ら指導したキム・ヨングォン、チャン・ヒョンスを守備陣に据えることで、守備組織の構築に要する時間の短縮を図ろうとしている。チャン・ヒョンスはセンターバック以外に守備的MFでも起用できるだけに、キム・ヨングォンとともにチームの力となりそうだ。
チャン・ヒョンスは2014年仁川アジア大会金メダルで兵役特例の恩恵を受けるも、その後、兵役義務のボランティア活動の書類を捏造した事実が明らかとなり、2018年11月に韓国代表資格の永久剥奪処分を受けた。
チャン・ヒョンスとしては、自身のパフォーマンスが全盛期のうちに韓国国内で優れたプレーを見せ、母国のサッカーファンに謝罪したい思いがある。
■【関連】横浜FM天野純、韓国1部の蔚山現代に移籍か…背景に日本人コーチの強い推薦
前へ
次へ