パウロ・ベント監督率いるサッカー韓国代表は、2022カタールW杯アジア最終予選で安定した姿を見せている。指揮官が追求するショートパス主体の攻撃的なスタイルが、確実に定着してきたようだ。
【関連】W杯最終予選も折り返し…韓国代表に試練の“アウェー3連戦”
11月11日のUAE戦では完璧に近い姿で相手を圧倒。ボール支配率が60.1%対39.9%、チームのパス成功率は89.4%を記録していた。また相手陣内でのパス成功率も84.1%に達し、積極性の面でも大きな意味を持たせている。
2次予選までは、ボールを保有する時間は長くても相手の危険地帯での鋭さが不足していた。相手が密集した守備ブロックを構築すると、途端に精密さが消え失せる場面が多く見られた。そのため、ベント監督が指向するパスサッカーに対して懐疑的な声も少なくなかったが、最終予選5試合では、全体的に一貫性が見られた。
さらにアジア最強と選ばれるイランとのアウェー戦でも主導的に試合を進め、勝点1を獲得。大勝を収めることはできなかったが、安定感を手に入れたという評価もあるようだ。
ただ、なかなか改善されない決定力は、今後の最重要課題だ。UAE戦では90分間で22本ものシュートを試みたが、PKによる1点でかろうじて勝利を拾った形だ。
これはUAE戦に限ったことではない。韓国代表は最終予選5試合で5得点にとどまっており、得点力不足は喫緊の課題だと言える。
初戦のイラク戦では無得点にとどまり、続くレバノン戦は1-0の辛勝を収めた。そしてシリアには2-1で勝ったが、直近のイラン戦では1-1で1得点にとどまっている。このように、複数得点を決めた試合はシリア戦のみだ。
この得点力不足は、主力アタッカーの沈黙によるものだ。エースのソン・フンミン(29、トッテナム)は2ゴールを決めているが、ファン・ウィジョ(29、ジロンダン・ボルドー)は未だ無得点。今季プレミアで絶好調のファン・ヒチャン(25、ウルヴァー・ハンプトン)も、PKでの1得点にとどまっている。
いくらベント監督のパスサッカーが浸透してきたとはいえ、決定力が不足していては試合には勝てない。戦術、戦略は監督が提供することができるが、刹那の瞬間にゴールを決めることは選手個人の能力にかかっている。
アタッカーたちが、もう1ゴールだけ入れてくれれば、試合運びはより簡単となる。いくら先制しても、追加点を決められなければ引き分けとなり、逃した勝ち点2が命取りとなる可能性も少なくない。
ファン・ヒチャンも、「選手たちも、この前の試合からゴールが入らない部分を認識している。もっと話をしている。重要な部分です。1点入れたあと、2点目、3点目を入れれば素早く仕上げることができる。そんなプレイが大事だ。結果的に出ていないが、選手たちも努力している。今後、もっと入れようと努力する。さらに先に進む状況を作らなければならない」と決定力を上げると約束した。
■負傷欠場中のガンバ大阪DFキム・ヨングォンは韓国代表に招集されるのか。代わりとなる選手は?
前へ
次へ