「ソン・フンミンもオーバーエイジの候補だ」。
2020年東京五輪・男子サッカー本大会に挑戦するキム・ハクボム韓国五輪代表監督(61)が、最高の選手を集めた「ONEチーム」を作る意志を明らかに、「2012年ロンドン五輪で成し遂げた韓国サッカー五輪史上最高成績の銅メダル、それ以上を達成する」と声を高めた。
キム・ハクボム監督は4月28日、坡州(パジュ)NFCで記者会見を開き、3ヵ月後に迫った東京五輪に備えた青写真を明らかにした。
最大の関心事は戦力の核心的役割を担うことになるオーバーエイジ枠(25歳以上の選手·3枠)だ。監督は「11人の候補群を確定した」とし「ソン・フンミンも入っている」と仰天発言した。
「ただ、現在は具体化するのが難しい。昨年のAFC U-23チャンピオンシップ(五輪予選)優勝以後、我々はベストメンバーを召集したことがない。1年3カ月間、まともに選手をチェックできなかった」とし、「(五輪前の)6月の合宿と強化試合を通じて選手を再評価する。 そのときオーバーエイジの輪郭も出てくるだろう」と語った。
監督がソン・フンミンの名前を口にしたのは、五輪に出場する韓国の男子選手たちにとって最大の動機づけにもなる「兵役免除の恩恵」(3位以上入賞時)を、選手選考の際に優先要素にしないという意志を表明したものでもある。
ソン·フンミンは2018年ジャカルタ・アジア大会で金メダルを獲得。これまで五輪やアジア大会などを控えて、主要球技種目の選手選抜をする際、似たような技量の選手なら兵役免除の恩恵をまだ受けていない者を優先的に選んできた。
誰よりもモチベーションが違うだけに、大会期間の没入度が高いという意味からでもある。ただ、あらかじめ決められていたことからチーム内競争にゆるみをもたらす毒になるときもあった。
キム・ハクボム監督は「兵役恩恵」というニンジンを無視することはできないが、チームのまとまりの阻害になる資源は絶対選ばないと強調した。
「兵役の有無はまず考慮対象ではない。現在、A代表を行き来する(五輪年代の)選手も“自分は選ばれるだろうな”と思うかもしれないが、それもまた絶対に違う。 チームに合わなければ選ばない。五輪では個人間競争では成績が出せない。東京五輪出場国の大半が韓国より技量が優れている。ひとつになって、チームで戦わなければならない」
キム・ハクボム監督のこうした考えを知ってか、ソン・フンミンとファン・ウィジョ(ボルドー)はオーバーエイジに選ばれれば、「必ず行く」という意志を見せたという。
それもそのはず。ファン・ウィジョにとって、キム・ハクボム監督は「恩人」のような存在。
キム監督は3年前のアジア大会の際、ファン・ウィジョをオーバーエイジで選抜し、ソン・フンミンとの攻撃デュオを組ませた。メディアやファンの間では様々な批判が相次いだが、ファン・ウィジョは大会得点王(9ゴール)に輝き、韓国サッカー・アジア大会金メダルに大きく貢献した。ソン・フンミンとともにアジア大会・金メダルで兵役免除の恩恵を受けたファン・ウィジョはその後、夢見ていた欧州進出も成し遂げ、勢いに乗っている。
キム・ハクボム監督はファン・ウィジョが五輪参加の意志を示したことについて、「私にとってはとてもありがたいことだ」と笑いつつ、「実績があるからといって無条件抜擢はしない」はと釘を刺した。
「オーバーエイジは本当に必要な席に使う。他のポジションのほうで急ぎ必要な場合もあるので、どうなるか分からない」とし「フライブルクのクォン・チャンフンも同じだ。 彼も11人の候補群にいるが、海外でプレーしているという理由では選ばない。チームにどれだけプラスになるか総合的に判断する」と改めて強調した。
また、東京五輪は国際サッカー連盟(FIFA)義務選出大会ではないため、所属クラブの了解も必要となる。「そうした変数も十分考慮して、オーバーエイジドを含め、最終リスト18人をまとめる」と、キム・ハクボム監督は明かしている。
韓国は東京五輪でホンジュラス、ルーマニア、ニュージーランドと同じB組に入ったが、キム監督は「ホンジュラス、ルーマニアと三つ巴になる確率が高い」と予想する。
キム監督は6月30日に最終エントリーを提出する前に、国内で強豪との強化試合を希望している。強化試合の時は26人を招集して、最終的にメンバーを絞り込みたい」という考えだ。
ただ、新型コロナの韓国国内防疫指針もあって、計画通りに強化試合が進められるかどうかは未知数だ。キム監督は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領も五輪チームを最大限支援すると言っている。政府が支援してくれることを望む。 6月に強化試合ができなければ、7月では意味がない」と声を高めた。
なお、今大会は新型コロナのワクチン接種問題で50名の予備リストが大韓体育会に提出されている状態だ。50名には来月、ワクチン1次接種が行われるが、まだ具体的な日程は決まっていない。 海外組はそれぞれの現地ではワクチン接種が難しいため、一度帰国したあと、別途の日付を調整して接種するという。
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