よく戦ったが、惜しくも引き分けに終わった。ほぼ手中に収めたはずの東京行のチケットがするりと抜け落ちた。
コリン・ベル監督が率いる女子サッカー韓国代表は、4月13日にアウェーの蘇州(スージョウ)オリンピックスポーツセンターで行われた中国代表との東京五輪アジア最終予選プレーオフ第2戦を2-2のドローで終えた。
ホームでの第1戦を1-2で落としていた韓国は、2戦合計スコアで3-4と敗れ、オリンピック本大会出場に失敗した。
この日、韓国は女子サッカー強国の中国相手に善戦した。
序盤から試合の主導権を握って攻勢を展開し、前半31分に先制点を生み出した。MFチョ・ソヒョン(32、トッテナム)が左サイドから上げたクロスをFWカン・チェリム(23、仁川現代製鉄)が左足ボレーでたたき、ゴールネットを揺らした。第1戦でも0-1とリードされた展開で同点弾を決めたカン・チェリムが、2試合連続ゴールに成功した。
先制後も韓国は勢いを止めず、前半終盤には追加点も挙げた。コーナーキックでの混戦でこぼれたボールをカン・チェリムが拾うと、中央に向かって強力なクロスを試みる。すると、ボールは中国の選手に当たり、そのままゴールネットに吸い込まれた。韓国が2-0でリードし、2戦合計スコアでも有利な立場を確保した瞬間だった。
前半で見事な戦いぶりを見せた韓国だが、後半から中国の反撃に遭った。中国は強力なフィジカルを活かした攻撃で、後半24分にセットプレーからゴールに成功。この時点で2戦合計スコアがイーブンに並び、試合は延長戦にもつれ込んだ。
延長戦でゴールを決めたのも中国だった。延長前半13分、中国FWワン・シュアンがペナルティエリア手前でボールを奪うと、強力な左足シュートでゴールに成功した。
失点していよいよ後がない韓国は猛攻に出た。しかし、有利なスコアになった中国は意図的に試合を遅延し、韓国の勢いを止めた。理由もなく倒れたり、スローインやゴールキックもゆっくり行ったりし、最大限時間を稼いでいた。これらの遅延行為にイエローカードが出ることもほとんどなかった。
中国は最後まで時間稼ぎに徹し、これに巻き込まれた韓国は流れを活かすことができなかった。結局、試合は2-2の引き分けに終わった。
悔しさの残る敗北だ。韓国女子サッカーはこれまで一度もオリンピック本大会の舞台に立ったことがない。女子ワールドカップではベスト16入りの経験があるとはいえ、オリンピックとは縁がなかった。
出場枠がワールドカップよりも少なく、オーストラリアや中国、日本、北朝鮮など強豪国が集うアジア地域で、韓国は予選を突破できずにいた。
ただ、今回は絶好のチャンスだった。日本が開催国枠として本大会に自動進出したことに加え、韓国代表内での競争力も強化されたのだ。
FWチ・ソヨン(30、チェルシーFCウィメン)やチョ・ソヒョン、DFシム・ソヨン(31、仁川現代製鉄)ら“黄金世代”に加え、FWイ・グムミン(27、ブライトン)やDFチャン・スルギ(26、仁川現代製鉄)など20代後半の選手が主軸を固めた。カン・チェリムやFWチュ・ヒョージュ(20、水原UDC)など20代前半の若手も大きく成長した。
ベル監督は彼女らを上手く組み合わせ、第1戦と第2戦のいずれも良いプレーを披露させた。第2戦では勝利を目前とし、東京行きのチケットをほぼ手中に収めたようなものだった。飛行機に乗る直前までいったが、最終的に東京行きに挫折した。
次回のオリンピックまで今の戦力を維持することは不可能だ。チ・ソヨンら黄金世代は30代中盤から後半に入るが、彼女らに代わる新戦力が一挙に出てくる可能性はそう高くない。
今後、韓国女子サッカーが初めてオリンピックの舞台に立つ機会がいつ訪れるかはわからない。約束の無い挑戦だからこそ、今回の敗北が苦々しいばかりだ。
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