韓国Kリーグ1(1部)の各クラブが、Kリーグ独自のルールによって選手起用方法に頭を悩ませている。
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韓国プロサッカー連盟は国際サッカー評議会(IFAB)の決定に基づき、2021シーズンでKリーグ1に限り、1試合で使用できる交代枠を3人から5人に増やした。ハーフタイムでの交代を除き、交代回数は最大3回までとなる。
ただ、交代枠拡大によってとあるルールが複雑化した。それが、Kリーグだけのローカルルールである「U-22選手義務出場規定」だ。
Kリーグは、去る2013年に登録メンバー18人に23歳以下の選手を1人以上含める義務を設けた。2019年からは規定を変更し、22歳以下の選手の義務出場(先発1人、控え1人)を推進している。そして今回、交代枠の拡大で義務出場規定にも変化が加えられた。
交代枠5人が適用されるケースは2通りだ。1つ目は、U-22選手が2人以上先発出場した場合。2つ目は、U-22選手が1人先発出場し、もう1人が途中出場すれば、最大5人まで交代ができる。
ただし、U-22選手を1人先発出場させながら、控えにいるもう1人のU-22選手を途中出場させなかった場合、交代枠は従来の3人のまま。また、同様のケースで控えにU-22選手を含めなかった場合、メンバーを17人までしか登録できない。
交代枠が“2人”までに制限されるケースもある。まず、先発にU-22選手を含めず2人以上をベンチスタートさせた場合、登録メンバーは18人のままだが、交代枠は2人までとなる。
U-22選手を1人しかベンチに置かなかった場合、登録メンバーは17人に制限。U-22選手を1人もベンチに置かなければ、登録メンバーは16人とさらに制限されてしまう。
このU-22選手義務出場規定による影響が開幕戦からさっそく現れた。
ポジティブな面では、開幕戦で9人のU-22選手がKリーグ・デビューを飾ったことだ。
GKキム・ジョンフン(19、全北現代モータース)を皮切りに、MFオム・ジソン(18、光州FC)、MFカン・ユング(18、蔚山現代)、FWキム・ミンジュン(21、蔚山現代)、MFパク・チャンファン(19、仁川ユナイテッド)、FWチョ・サンジュン(21、水原FC)、MFイ・ギヒョク(20、水原FC)、FWイ・ホジェ(20、浦項スティーラース)、FWホン・ヒョンスン(21、城南FC)が機会を得た。
開幕節でのデビュー人数は2019シーズン(5人)や2020シーズン(4人)より増加した形となった。
ただ、交代枠を最大限活かすためにU-22選手が思わぬ方法で起用されている点は、今後の検討事項だろう。
まず、Kリーグ1のファーストゲームとなった全北現代対FCソウルでのことだ。全北現代は後半32分、GKソン・ボムグン(23)に代えてキム・ジョンフンを投入した。
GKの途中交代は通常みられない光景ではあるが、すでに交代枠3枚を使い切った状況でMFハン・ギョウォン(30)が負傷したため、苦肉の策としてソン・ボムグンに代えてキム・ジョンフンを出さざるを得なかったのだ。
また、先発起用したU-22選手を前半早々に交代させるケースもあった。
水原FCはチョ・サンジュンとイ・ギヒョクを先発出場させるも、前半16分にMFジョン・チュングン(26)、FWキム・スンジュン(26)と交代させた。
仁川ユナイテッドもDFキム・チェウン(20)とパク・チャンファンを前半21分に下げたほか、済州ユナイテッドはDFイ・ギュヒョク(21)を前半22分で下げ、FWイ・ドンリュル(20)を投入していた。
開幕戦で交代枠を3枚以下で終えたのは3チーム(江原FC、水原三星ブルーウィングス、城南FC)のみ。U-22選手で前半45分をフル出場したのはカン・ユングのみだった。
このため、一部ではU-22の実効性や趣旨に合わない運営に問題があるという指摘も出ている。
江原FCのキム・ビョンス監督は、公の場で「U-22ルールが複雑なのに、なぜこのようにするのかわからない。果たして若い選手を育てることに符合しているのか」と声を高めた。
最上の競技力を備えるべきプロチームが若い選手を育成目的で先発起用せざるを得ず、試合の質を落とすことに問題があるという脈絡の発言だった。
城南FCのキム・ナミル監督も「U-22カードは薬にも毒にもなる。変化を大きく与えると、組織力の面で難しくなる」とし、規定によってチームの組織力を整えることが容易ではないという考えを示した。
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