JリーグがACLエリート準々決勝に臨む川崎フロンターレと横浜F・マリノスのため、チャーター機を手配したことが注目されている。同じように、韓国ではACLのために一選手の“兵役延期”がなされ、話題を集めている。
サウジアラビアで集中開催されるAFCチャンピオンズリーグ(ACLE)ファイナルステージに、韓国勢で唯一進出を決めた光州(クァンジュ)FC。
韓国で最も予算規模の小さいクラブかつACL初出場でありながら、リーグステージでは横浜FMを7-3、川崎Fを1-0で破るなどの快進撃を見せ、ラウンド16ではJ1リーグ2連覇中の王者・ヴィッセル神戸にホーム第2戦で2点差をひっくり返す大逆転勝利を果たした。
そんな光州で中心選手として活躍する一人がMFパク・テジュン(26)。彼は韓国で成人男子に義務付けられている「兵役」のため、本来は4月7日から軍隊チームの金泉尚武(キムチョン・サンム)に入隊予定だった。
ただ、チームのファイナルステージ進出を受けて入隊を6月に延期。準々決勝のアル・ヒラル戦へ全力を尽くす姿勢を見せている。
実際、光州がACL前最後に戦った19日のFCソウル戦でも、パク・テジュンは輝きを放った。後半18分、ペナルティエリア内で高く上がったボールを胸トラップすると、そのまま右足を振り抜いてゴールネットを揺らしたのだ。これが決勝点となり、光州は2-1で勝利した。光州のリーグ戦アウェイ勝利は実に8カ月ぶりだった。
昨季から光州でプレーするパク・テジュンは、ここまで今季リーグ戦全10試合に出場し1ゴール1アシスト。ボランチを本職とし、攻撃ではチームの“エンジン”となる役割を担う。FCソウル戦も、データサイト『FotMob』による採点でチーム内で最も高い「8.2点」を得ている。
前出の通り、当初パク・テジュンは今月中に入隊予定だったが、ACLEのため延期を決断した。韓国国防部傘下の兵務庁も、Kリーグ勢で唯一ACLを生き残った光州の挑戦を「国威宣揚」と捉え、パク・テジュンの入隊延期を承認した。
アル・ヒラルとの準々決勝へ向けて、パク・テジュンは並々ならぬ意欲を示す。
「先のことは考えていない。軍隊に行くのはまだ1カ月以上先だ。今はアル・ヒラルだけにフォーカスしている。相手には優れた選手が多いが、我々も“チーム”として戦えば十分にやれる。勝つことができれば良いが、例え負けるとしても後悔なく、彼らと自分たちの何が違うのかなどを学んで感じたい」
光州の選手たちはACLEを通じて、海外進出などより大きなビジョンを抱くようになった。
パク・テジュンも「最初は日本のクラブに韓国の選手が行くのは難しいと思っていた。彼ら(日本人選手)は細かいプレーを得意とし、中盤に優れた選手が多いからだ。ただ、実際に日本のチームと対戦しながら、“できる”という考えが浮かんだ」とし、アル・ヒラル戦でも自信を持ってプレーすることを誓った。
光州とアル・ヒラルの一戦は来る26日(日本時間)、キング・アブドゥッラー・スポーツシティ・スタジアムで行われる。
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