新型コロナウイルス感染症の拡散が、韓国サッカー協会(KFA)に前例のない課題をもたらしている。ただちに食べて生きることに関係していることから、悩みも大きい。
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新型コロナによって、KFAは上半期の主要な日程がすべて白紙となる危機に陥っている。
3月にホームで予定されていた2022年カタールW杯アジア2次予選のトルクメニスタン戦は中止となり、東京五輪への準備を進めていたU-23韓国代表の親善試合も無くなった。
女子サッカー韓国代表のオリンピック最終予選プレーオフも、6月に延期となった。
これに伴う財政的な損失は大きい。去る2018年のジャカルタ・アジア大会で金メダルを獲得して以降、代表戦は連日のように満員の観客を記録。大衆的に人気のあるコンテンツへと成長を遂げていた。
過去2年間、KFAがホーム開催のAマッチ1試合で得る純収益は約10億ウォン(日本円=約1億円)にのぼる。入場収益や放映権などすべて合わせて発生する収益だ。
6月に予定されている北朝鮮、レバノンとのAマッチも中止となった場合、代表戦だけで30億ウォン(約3億円)程度の損害を受けることになる。
オリンピックの1年延期も大きな打撃だ。
U-23韓国代表の3月の試合で、3億ウォン(約3000万円)程度の収益が見込まれていた。6月にも2試合行う予定であり、オリンピックムードに乗ってさらなる収益をあげる計画だった。しかし、2021年夏に延期が決まり、計画はすべて霧散された。
女子サッカー韓国代表の場合、純収益は大きくないため損害は小さいとみられているが、A代表やU-23代表の試合を通じて確保が期待されていた40~50億ウォン(約4~5億円)が上半期に入ってこない可能性がある。KFAにとっては致命的な損害になりかねない。
そのため、KFAは役職員や指導者の給料を削減せざるを得ない事態になっている。
役員は20%の給料を年末までに返納し、職員は4カ月間10%削減となる。A代表率いるパウロ・ベント監督やU-23代表率いるキム・ハクボム監督など、57人の指導者とスタッフ陣も削減に同意した。
職員からすれば、10~20%程度の削減も大きな額だ。生計に直結する事案であり、返納に応じることが難しいのは事実だろう。しかし、KFAが直面している現状も理解しているだけに、大半が削減に同意したといわれている。
とはいえ、給料を削減したとしても、厳しい財政難を突破するまでには至らないことが最大の問題だ。いくら人件費を削ったとて、予想される損害の半分も埋められないのが現実である。
KFAは業務推進費を削減、あらゆる分野でコストカットを行う計画だが、新型コロナの事態が収まらずに下半期の日程に影響を及ぼすようになれば、答えはさらに見いだせなくなる。
Aマッチの場合、自国だけでなく相手国の状況も考慮しなければならない。周辺国の情勢を注視する必要がある。
万が一、Aマッチを行えない期間が長く続くようになれば、KFAはさらなるピンチを迎える可能性が大きい。
KFA広報室長のイ・ジョンソプ氏は以下のように語った。
「いったん、上半期まではコストカット等を通じて状況の打開をせねばならないが、下半期までAマッチが中止するようであれば、もっと大きな困難に直面すると見なければならない。それなりに対策を講じる必要はあるが、想像もしたくないシナリオだ」
新型コロナによって重大な課題に直面している韓国サッカー界は、現状を乗り越えることができるだろうか。
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