かつて大谷翔平(29、ロサンゼルス・エンゼルス)への「故意死球」発言で物議を醸した韓国代表投手コ・ウソク(25、LGツインズ)が、アジア大会優勝で歓喜の涙を流した。
コ・ウソクは去る10月7日に行われた台湾代表との杭州アジア大会・野球の決勝で、2-0とリードした9回裏に抑えとして登板し、1回無失点で韓国を優勝に導いた。
これで韓国野球はアジア大会4連覇の偉業を達成した。
厳しい試合だった。コ・ウソクは一死後に連続安打を許し、一死一、二塁の危機に直面した。長打一発で同点になりかねない危機的状況だった。
そんななか、台湾の中心打者・呉念庭(30、埼玉西武ライオンズ)との勝負を迎えた。コ・ウソクが投げたボールに、呉念庭も力強くバットを振った。
ゴロで打ち返された打球は二塁方向に向かい、コ・ウソクの視線も二塁に移った。二塁手キム・ヘソン(24、キウム・ヒーローズ)が走者をタッチアウトした後、一塁に素早く送球し、併殺を完成した。同時に韓国の金メダルも完成した。
刹那を見守ったコ・ウソクは優勝の瞬間、存分に歓呼した。仲間たちと抱き合って喜びを分かち合い、金メダルを首にかけて涙を流した。
授賞式が終わり、報道陣の取材に応じたコ・ウソクは「これまでの国際大会のことが浮かび上がり、複雑な思いで涙が出た」とし、「簡単ではない決定だったかもしれないが、最後まで自分を信じてくれたリュ・ジュンイル監督にとても感謝している。前任のキム・ギョンムン監督、イ・ガンチョル監督に申し訳ない気持ちにもなった」と本音を打ち明けた。
そして、「これまでの大会(東京五輪、WBC)でともに過ごした先輩たち、同僚たちが努力してくれたことを思い出した」とし、「今日の試合が報いにはならないと思うが、それでもより良い姿を見せようと努力した。今大会では韓国の選手たちが本当に良く頑張った。自分はただ美味しいところを持って行っただけだ」と謙遜した。
実際、コ・ウソクは過去に参加した国際大会で度々不運に見舞われてきた。
今年3月に行われた2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では大会直前の強化試合で右肩を負傷し、本大会で1試合も出場できなかった。
また、2021年東京五輪では日本戦で登板した際、2-2で迎えた8回の併殺の場面で守備ミスを犯し、以降制球が乱れた挙句敗戦を喫した。
今大会でも、グループステージの台湾戦で0-2の状況で迎えた8回裏に登板するも、二塁打と死球を許して二死二、三塁の危機に直面。最後は台湾に適時打を奪われ0-4で敗れた。
しかし、指揮官の信頼は変わらなかった。リュ・ジュンイル監督はどの試合よりも重要だった決勝の舞台、それも勝利を決める最後の瞬間、コ・ウソクを選択した。そして、その選択が間違っていなかったことを証明した。
すっきりとした涙だ。厳しい状況もあったが、目標としていた金メダルを達成することができた。
コ・ウソクは「(金メダルが)とても重い。本当に重いが、多くの意味があると思う」とし、「これから韓国に帰り、またシーズンが残っているので、上手く投げなければならないと思った。試合終了後、先輩たちから連絡が来ていた。試合を観てくれていたという。本当に感謝している。引き続き成長していきたい」と意気込み、インタビューを終えた。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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