韓国名門・水原が史上初「2部降格」危機…奇跡の残留へ“現役レジェンド”を監督代行に任命したワケ

2023年09月27日 サッカー #Kリーグ

解任、そしてまた解任だ。韓国Kリーグの名門・水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスが凋落の一途をたどっている。

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水原三星は9月26日、「キム・ビョンス監督を解任し、ヨム・ギフン監督代行体制で今季を終える」と発表した。

それとともに、「絶体絶命の危機を打開し、希望の火種を蘇らせるためには、特段の措置が避けられなかった」と解任の理由を説明した。

水原三星は今季Kリーグ1(1部)第31節終了時点で、5勝7分19敗の勝ち点22とし、12チーム中最下位に沈んでいる。11位の江原(カンウォン)FC(勝ち点25)とは3ポイント差、10位の水原(スウォン)FC(勝ち点29)とは7ポイント差だ。

最下位でシーズンを終えた場合、水原三星は入れ替え戦も戦うことなく自動で2部降格となる。10~11位の場合は入れ替え戦に進む。

クラブ史上初の2部降格を避けるべく、何度も「危機脱出」を叫んできた水原三星だが、またしても“監督解任”という決断を下した。

キム・ビョンス監督
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)キム・ビョンス監督

「過ぎ去ったことは忘れて、前だけを…」

水原三星は今シーズン、2度も監督を交代するという前例のない事態を招いている。明確な代案もなく、「ひとまず解任してみる」というような業務処理を再び繰り返したわけだ。

「まさか」とは思ったが、「やはり」だった。今回も成績不振の全責任を負わされたのは監督だけだ。GM(ゼネラルマネージャー)は「今は生き残ることに集中する」とし、シーズン終了まで責任を回避できる時間を稼いだ。

2023年シーズン序盤の4月に成績不振を理由にイ・ビョングン監督(2分8敗)を解任し、5月にキム・ビョンス監督を後任に据えた水原三星だが、わずか5カ月足らずで指揮官の首を切った。もはや“習慣性解任”と言っても良い。

すでに底まで落ちた水原三星をキム・ビョンス監督が生き返らせるには高すぎる目標だった。

チェ・ソンヨン監督代行(1勝3敗)からバトンを受け継いだキム・ビョンス監督は、5月の就任以降に戦った20試合でわずか4勝(5分11敗)にとどまった。

その間、チームは11位に浮上したこともあるが、すぐに最下位に転落した。

結局、ファイナルラウンド含め残り7試合とした現段階で、キム・ビョンス監督は解任の通知を受けることになった。

水原三星
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)

もっとも、キム・ビョンス監督就任の時点から水原三星には雑音があった。

イ・ビョングン監督解任後、チェ・ソンヨン監督代行体制にあった水原三星だが、新たに迎え入れる監督への礼儀をわきまえるつもりがまったくなさそうだった。

GMはKリーグ1上位チームの監督の実名を言及し、「彼らと似た力量の人物を望んでいる」というインタビューまでした。見込みのない発言により、まだ不確定だった次期監督にプレッシャーだけを与えた。

何より、現実問題で敗北だけは免れなければならない“火消し役”の監督を探した状況で、ただの高い理想だけを掲げたオーナーの発言によって、実質的な代案がないのではないかという懸念を生み出した。

本来、クラブは成績が良くなければ監督解任のシナリオを何度も振り返り、その後のことも見通したりするものだ。

Kリーグ1のとあるクラブ関係者は、「常に最悪の状況まで考慮しなければならないのがクラブの宿命だ」と話した。

万が一、監督交代に踏み切らなければならないのであれば、新監督候補群の輪郭をある程度作ってから解任を発表すべきだ。ただ、水原三星はそれもできていないようだ。

クラブには“2部降格”という大きな危機が現実に迫っている。絶体絶命の状況を打破しなければならないこのタイミングで、水原三星は予想外の決断を下した。

クラブの“生きる伝説”であり、選手兼任でコーチを務めていた元韓国代表MFヨム・ギフン(40)を監督代行に任命したのだ。

今も現役中のヨム・ギフンは当然、過去に監督経験はまったくない。今季もリーグ戦3試合に出場している。

選手兼コーチがシーズン途中、それも残留争い真っただ中の終盤に監督代行を任せられるのは前例のない出来事だ。

P級ライセンス(韓国サッカー指導者資格の最上位ライセンス)を持つ指導者がそれほど多いわけではなく、フリーの監督が気軽に指揮を執らない可能性があるにしても、水原三星は奈落に落ちる一歩手前で、一度も進んだことのない道を選んだ。

水原三星のフロントの無能さを指摘する非難が伴う理由だ。

ヨム・ギフン
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)監督代行に就任したヨム・ギフン(左)

昨季Kリーグ1で10位にとどまった水原三星は、クラブ史上初めて入れ替え戦に進むという苦難を経験した。当時は韓国代表FWオ・ヒョンギュ(22、現セルティック)の大活躍によって辛うじて残留を果たしたが、今季は自動降格というさらに大きな危機に直面している。

かつてはKリーグ屈指の名門としてアジアでも存在感を発揮し、リーグ通算4度、カップ戦通算5度の優勝歴を誇った水原三星が、凄惨に崩壊しつつある。

急きょ指揮を任されることになったヨム・ギフン監督代行は、過去を振り返らず、目の前だけを見て戦うという覚悟だ。発表当日の26日に全選手でミーティングを実施した後、新体制初の練習に突入した。

ヨム・ギフン監督代行は「長い間水原とともにしながら、何をすればチームが良くなるのかよく知っている。降格危機から脱出するために、最後まで諦めず渾身の力を尽くす」とし、「選手たちには“一人では成し遂げられない。全員でお互いを助け合い、一つの目標だけに向かって戦おう”と伝えた。過ぎ去ったことは忘れて、今日から前に走ることだけを考える」と覚悟を明かした。

なお、水原三星は来る9月30日に行われるKリーグ1第32節で、アウェイの仁川(インチョン)サッカー専用競技場で仁川ユナイテッドと対戦する予定だ。

(記事提供=OSEN)

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