もっとも、試合展開的にイ・ガンインの存在が必要なわけではなかった。
コスタリカはDFラインを下げ、堅い守備からカウンターを駆使する戦術を敷いた。
韓国はFWソン・フンミン(30、トッテナム)、FWファン・ヒチャン(26、ウォルヴァーハンプトン)、MFファン・インボム(26、オリンピアコス)、MFクォン・チャンフン(28、金泉尚武)ら前線にDFキム・ジンス(30、全北現代モータース)、DFユン・ジョンギュ(24、FCソウル)の両サイドバックも攻撃参加し、特有のパスプレーで敵陣に攻め込んだ。
守備面での集中力低下で2失点を喫したものの、内容だけ見れば全体的にベント監督が意図したとおりに試合が進んだ。
とはいえ、今回の強化試合が来る11月のカタールW杯を控えた最後のテストマッチという意味でも、イ・ガンインの欠場は残念だった。
現在の代表チームにイ・ガンインのようなタイプはいない。彼は創造的なプレーに鋭いキック、独特なテクニックを持ち合わせ、“無”から“有”を生み出す選手だ。
それだけに、イ・ガンインが既存の選手たちとどのような融合を見せるかが最大の見どころだった。ベント監督もイ・ガンインの活用を予告していただけに、コスタリカ戦で出場機会が与えられなかった点は意外な選択だった。
これに対しベント監督は、試合後に「すべての選手が出場することはできない」と言うにとどめていた。
韓国は本日(27日)、ソウルワールドカップ競技場でカメルーン代表と対戦する。この試合がW杯前の精鋭メンバーとして戦う最後の実戦となる見通しだ。
また、カメルーン戦はイ・ガンインを主体とした新たなテストが行われる可能性が高い。実際、ベント監督は「(コスタリカ戦とカメルーン戦の)2試合は別々に準備する計画だ」と話している。
コスタリカ戦はチームプレーを完成させることに集中していたのであれば、カメルーン戦ではW杯本番で活用できる戦術、システム、作戦を打ち出すものとみられる。
それだけに、ベント監督の采配が最も重要視されるが、サッカーファンの間ではイ・ガンインが国際Aマッチでプレーする姿を期待する声が多い。
独特なプレースタイルを持つイ・ガンインは監督によっては起用の難しい選手ではあるが、類まれなるポテンシャルを持つ選手であることは明らかだ。3年前のU-20W杯では、当時18歳のイ・ガンインが2歳年上の選手の間で圧巻のパフォーマンスを見せ、大会最優秀選手(ゴールデンボール)に選ばれた。
イ・ガンインが代表チームの助けになる選手であることは間違いない。先発ではなくても、途中出場から試合の流れを変えられる新オプションとしてプラスになり得るカードだ。
そのような意味でも、カメルーン戦はイ・ガンインをW杯本大会でどのように活用するかをチェックする絶好の機会だ。既存のチームスタイルを維持して完成度を高めることも重要だが、プランBの輪郭をつかむことも求められる。
はたしてイ・ガンインはカメルーン戦で出場機会を与えられるのか、ベント監督の采配に注目したい。