モンテネグロ代表FWステファン・ムゴシャ(30)のヴィッセル神戸移籍によって、来季ACL(アジア・チャンピオンズリーグ)出場を目指す仁川(インチョン)ユナイテッドが緊急事態に陥った。
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仁川を率いるチョ・ソンファン監督は6月26日、本紙『スポーツソウル』の電話取材に応じ、「私もKリーグで監督を務めて8年目になる。これまで似たようなことをたくさん経験してきた。私にもできることがあれば、できないこともある。できないのであれば別の方法があるし、ほかの選手にチャンスが生まれるという考え方もできる」と伝えた。
チョ監督は前日の25日、アウェーのソウルワールドカップ競技場で行われたKリーグ1(1部)第18節のFCソウル戦(1-1の引き分け)の試合後、ムゴシャの神戸移籍説に言及。
「(ムゴシャの神戸移籍は)正しい。1週間前に神戸からオファーが来た。ムゴシャ本人も肯定的に捉えている」としつつも、「メディカルチェックが残っており、まだサインしたわけではない」と残留の可能性に対する期待感も示した。
1992年2月26日生まれのムゴシャは現役モンテネグロ代表のストライカー。189cmの長身を活かしたポストプレーや空中戦、強烈なシュート力はもちろん、豊富な運動量や味方との連係にも優れ、あらゆるプレーをハイレベルにこなすオールラウンドなフォワードと評価されている。
ムゴシャはモンテネグロ国内でプロデビューした後、2014年夏にドイツ2部カイザースラウテルン(現3部)に移籍。以降、エルツゲビルゲ・アウエ、1860ミュンヘン、カールスルーエと渡り歩き、モルドバのシェリフを経て、2018年から仁川に加入した。
仁川では加入初年度からリーグ戦34試合19ゴール4アシストと活躍を披露すると、2年目の2019シーズンは32試合14ゴール4アシスト、3年目の2020シーズンは24試合12ゴール2アシスト、そして昨季は19試合9ゴールを記録。
今季は現在まで行われた全18試合に出場(先発16試合、途中2試合)し、14ゴール(うちPK4得点)をマーク。第5節から第10節までは6試合連続得点(計7ゴール)を挙げ、今月22日の江原(カンウォン)FC戦ではハットトリックを達成するなどし、得点ランキングで首位を独走している。
また、モンテネグロ代表でも最近、今月15日のUEFAネーションズリーグでハットトリックを決めるなど、2022シーズンはキャリアハイのパフォーマンスを続けている。
そんなムゴシャがシーズン途中で退団するとなった場合、仁川は攻撃面、特に決定面で大きな弱体化が避けられない。
得点ランク首位のムゴシャはチーム総得点(23ゴール)の60%を担っており、ほかの攻撃陣は元ファジアーノ岡山のFWイ・ヨンジェ(31)が1ゴール、FWソン・シウ(28)が2ゴール、元コスタリカ代表FWエリアス・アギラル(30)が無得点など、ムゴシャに依存する形となっている。
仁川はこれまで3-4-3のフォーメーションを採用し、ムゴシャが前線3枚のワントップを務めてきた。左ではMFキム・ドヒョク(30)、右ではアギラルやFWホン・シフ(21)などが出場。ムゴシャに代わるワントップにはイ・ヨンジェやソン・シウなどが挙げられるが、決定力ではムゴシャと比べ物にならない。それほど、ムゴシャは仁川の絶対的エースだった。
何より、仁川はリーグ戦第18節までを終えて7勝7分4敗(勝ち点28)の4位と、クラブ史上初となるACL出場も視野に入れている。それだけに、ムゴシャの退団は仁川にとって大きな痛手となるしかない。
前出のFCソウル戦では、アウェーに駆け付けた仁川のサポーターが「ムゴシャ、神戸に行っても愛してる」「僕たちのヒーロー、行かないで」「ムゴシャ、これまでお疲れ様。本当に愛してます」といったプラカードを掲げ、ムゴシャの退団を惜しんでいた。これらを見たムゴシャも涙を流し、ファンに最後の挨拶を告げていた。
チョ・ソンファン監督は「ムゴシャの移籍はKリーグファンの立場からしても大きな損失だ」とし、「彼の代役となる選手の候補はまだ決まっていない」と伝えた。
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