「速球に対処するためにはレッグキックを捨てなければならない」
これは現在メジャーリーグへの適応に苦しんでいるキム・ハソン(サンディエゴ・パドレス)に対する評価だ。
「スピードとパワーを兼ね備えた内野手」という前評判が名前負けするほど、彼がオープン戦で見せている姿は残念と言える。
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現在のオープン戦打率1割1分1厘は、キム・ハソンが昨年韓国プロ野球で記録した30本塁打、打率3割0分6厘という数字と比較するには、あまりにもお粗末な成績だ。
特に、メジャー入り当初から指摘されていたファストボールへの対処で苦戦している。現地メディアは、「150km以上の剛速球を投げる投手が並ぶMLBだが、キム・ハソンのバッティングフォームは速球の対処に難がある」とし、「“レッグキック”を捨てなければならない」と指摘している。
レッグキックというバッティングフォームは、足を高く上げて重心移動をすることでより大きな力を生み出し、打球をより遠くに飛ばすことができる。
このバッティングスタイルはメリット・デメリットがはっきりしている。バットで正確なボールコンタクトができれば、より強い打球を生み出すことが可能だが、予備動作が大きいためタイミングを取ることが難しい。メジャーで行っている選手もほとんどいないとされている。
キム・ハソンも地面にしっかりと足をつけて打撃を行えば、ボールを見る余裕もできるため、ヒットを量産できるはずだ。
事実、アジア人選手としてメジャーの舞台に活躍の場を移した際、レッグキックを捨てて成功した例も少なくない。代表的な選手がイチローだ。
イチローは2001年にシアトル・マリナーズへと入団したが、その際メジャーリーガーの速球に対処するためレッグキックを諦めている。レッグキックを捨てたあとの活躍はご存知の通りだろう。メジャー通算3089安打は伝説だ。
一方、キム・ハソンが打撃フォームを修正するに時期尚早だという意見も多い。同郷の先輩には、レッグキックを固守しながら成功した事例もあるからだ。
かつてピッツバーグ・パイレーツに在籍していたカン・ジョンホもメジャー挑戦初期、レッグキックの影響でタイミングを合わせられていないと方々から指摘されていた。
2015年にパイレーツへと入団したカン・ジョンホは、18回のオープン戦で45打数9安打、打率0.200という惨憺たる数字を残した。
しかも、前半の11試合における打率は、現在のキム・ハソンと同じ1割1分1厘まで急落していたという。しかし、アメリカのファストボールに慣れたあとは、持ち前の長打力が自慢の内野手に生まれ変わっている。
現在タンパベイ・レイズの主砲として活躍しているチェ・ジマンは、早期対処法として「反復練習」を挙げた。何事も一夜漬けでできるわけではないということだ。
チェ・ジマンにいたっては、「長時間、剛速球を見ているせいか、今となっては遅い球が打てない」と言っているほどだ。
キム・ハソンはアメリカに渡ってからまだ2カ月も経たない状況だ。レッグキックの維持、あるいは放棄という岐路に立っている現状だが、どの先陣を見習うのか、そのような方法を選択するのかに注目が集まっている。
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