韓国の人気歌手を父、ハロプロ出身の日本人歌手を母に持つU-17日本代表FW谷大地(16)をめぐって、韓国の一部ネットユーザーの間で“不毛な論争”が起こっているようだ。
現在行われているサッカーU-17アジアカップに出場中のU-17日本代表には、サガン鳥栖U-18所属の谷大地が選ばれている。
谷大地は父に韓国の人気歌手キム・ジョンミンさん、母にかつて「三佳千夏(みよし・ちなつ)」の芸名で「モーニング娘。&平家みちよ妹分オーディション」にも出場した歌手の谷ルミコさんを持つ。自身は「谷大地」のほか「キム・ドユン」という韓国名も持っている。
両親の国籍が異なる場合、子どもは二重国籍を持つことができる。そのため、谷大地が日本代表としてプレーすることはまったく問題がない。
実際、谷大地は中学時代まで韓国でFCソウルの下部組織に所属していたが、現在は日本で鳥栖U-18に所属しており、U-17日本代表にも選ばれている。
なお、1歳年上の兄・泰養(たいよう)も同じ鳥栖U-18に所属しているが、彼も「キム・テヤン」の韓国名を持ち、過去に光州(クァンジュ)FC下部組織でプレーしている。
キム・ジョンミンさんと谷ルミコさんは昨年4月、韓国で放送されたチャンネルAの番組『親友ドキュメンタリー 4人用食卓』(原題)に夫婦で出演した際、「長男(谷泰養)と次男(谷大地)がサッカー留学をしている」と、谷大地らについて語ったことがある。
これによると、谷ルミコさんは谷大地ら子どもたちと日本で生活しており、キム・ジョンミンさんは韓国に残っているという。
韓国では「子どもを母親同伴で海外留学させ、自身は韓国に残り生活する父親」のことを“キロギアッパ(雁の父)”と呼ぶ。
息子たちが日本でサッカーに励む一方、“キロギアッパ”になったキム・ジョンミンさんは子どもたちと離れ離れになったことで「寂しかった。皆を(日本に)送り出した後、次の日からものすごく落ち込んだ」という。あまりの落ち込み具合に病院で検査を受けたほどだが、身体は至って健康であり、現在は家族がいない寂しさを克服するために自身も運動に励んでいるとのことだ。
一方、息子たちとともに日本で暮らす谷ルミコさんは、「離れて生活しながら、オッパ(兄さん=キム・ジョンミンさん)のありがたさをたくさん感じる」と本音を吐露。
「“家長”の役割がどんなものかわからなかった。(韓国では)私はカードだけ使えばよかった。保険料や生活費など、生きることすべてがお金だが、自分は知らなかった。(日本で)区役所に行ってやることも多すぎる」と日本での苦労を明かすと、キム・ジョンミンさんも「ありがたいと伝えられると、認められているようだ。一緒に暮らしながら褒められたことがあまりなかったが、離れているからこそ、褒めてくれてとても嬉しい」と愛情を示していた。
ただ、谷大地がU-17日本代表でプレーしていることに対し、韓国の一部ネットユーザーの間では相反する反応があるようだ。
ネット上では「本人の選択を尊重しなければならない」「アイデンティティに基づいた選択だと思う」といった反応がある一方、「軍の問題だからかな」「韓国で支援を受けておいて?それなら(受けた恩を)返して行かないと」「法的には問題なくても、道義的には問題があるように見える」「失望した。韓国のチームには絶対に来ないように」という反応も挙がっているという。
もっとも、谷大地が韓国で育ち、Kリーグの下部組織に所属経験があるからといって、それを何も知らない部外者が「軍の問題」だの「韓国で支援を受けておいて」だの「道義的に問題」だのと言うのはお門違いにもほどがある。
まずは谷大地がU-17日本代表の一員として活躍し、今後いちサッカー選手として飛躍を遂げることを願うばかりだ。
(記事提供=OSEN)
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