韓国大統領候補のテレビ討論会で女性を性的に傷つけるかのような“問題発言”が飛び出し、政界や市民団体から批判が続出している。
6月3日に大統領選を控える韓国では、5月27日に中央選挙管理委員会の主管でテレビ討論会が行われた。
この場で、保守系野党「改革新党」の李俊錫(イ・ジュンソク)大統領候補(40)が、革新系最大野党「共に民主党」李在明(イ・ジェミョン)候補(61)の息子にまつわる過去の騒動に言及。革新系野党「民主労働党」権英国(クォン・ヨングク)候補(61)に問いかけた発言が、韓国で大きく物議を醸している。
「民主労働党の基準では、ある人が女性について話すとき、“女性の××やこういったところに箸を刺したい”と言ったのであれば、それは女性嫌悪に該当しますか?」
これに権英国候補が「こんなことを聞く趣旨がわからない。答えない」と回答を拒否すると、李俊錫候補は「民主労働党には、こうした性暴力的な発言に対する基準がないのか」とさらに質問をぶつけた。結局、権英国候補は「性的虐待に対しては誰よりも厳格な基準を定めている」と答え、李在明候補は「時間と質問を守って質問しなさい」と述べた。
李俊錫候補の質問意図がどうであれ、視聴者にとっては「箸を刺す」という露骨な表現が生放送で流れたこと自体が衝撃だった。何より、子どもたちも視聴するようなテレビ討論会なだけに、その波紋はより大きく広がっている。
「共に民主党」は翌28日に開いたブリーフィングを通じて、「李俊錫候補は生放送で低劣な言語暴力を行使した。口にするのも憚られる表現で国民を衝撃に陥れた」と強く非難した。
また、「政治をするお母さんたち」などの市民団体も「嫌悪の再現自体が二次加害だ」とし、李俊錫候補を警察に告発する意向を示した。
「民主労働党」も即刻の謝罪と候補辞退を求め、「避けることのできない公共の場で恐ろしい性的暴力が再現された。これは暴力の扇動であり、無責任な政治行為だ」と厳しく批判している。
一方、李在明候補は討論中、自身の過去発言について「至らなかった部分に対して何度も謝罪してきたが、今回も改めて謝罪申し上げる」と頭を下げた。
そのうえで、問題となった“重要部位に関する発言”には「家族史と関連したものだ」と再度説明。「その発言は私が言ったものではなく、兄が母に対して言ったものだ。そのようなことをなぜ止めなかったのかと言い、過度に表現したものだ」と、自身の発言ではないという立場を強く示した。
そんな李在明候補は討論終了後、改めて“統合”を強調。「討論とは自分の長所をアピールし、相手の足りない部分を指摘する場であるから、李俊錫候補や金文洙(キム・ムンス)候補の立場としては(李在明候補らを攻撃することを)十分に理解できる」としつつも、「我々が異なる立場であること、支持する候補が違うということは当然の前提で、互いに認め合わなければならない。選択がなされ、結論が出たときには、差を越えてい互いに認め、ともにできる道を探し、全員がより良い世の中を生きられるように力を合わせなければならない」と呼び掛けていた。
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