韓国、“世界初”AIデジタル教科書導入も専門人材が圧倒的に足りない…「一人で4万台管理」の地方も

2024年10月24日 社会

韓国では2025年3月より、小学校・中学・高校の一部学年でAIデジタル教科書が世界で初めて導入される。

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AIデジタル教科書とは、AI技術を活用して生徒一人ひとりの学習レベルやパターンを診断し、それぞれに合った教育を行うことができる教科書だ。

これが来年度の1学期より、小学3・4年生、中学1年生、高校1年生を対象に、数学や英語などの教科で優先的に導入される。

ただ、同時に韓国国内でデジタル機器を維持・保守できる専門人材が圧倒的に不足していることがわかり、懸念が示されている。

10月23日、韓国国会の教育委員会で委員長を務める「共に民主党」キム・ヨンホ議員が全国17市道の教育庁から受け取った資料によると、韓国全国の小学校・中学・高校に普及しているデジタル機器は「397万7705台」だが、これらの機器を管理できる人材がわずか「823人」しかいないことがわかった。

「823人」のうち、コールセンターの人材67人を除けば、実際に機器を管理できる人材は「756人」のみだ。つまり、人材一人当たり「平均5262台」の機器を管理しなければならないわけだ。

特に、維持・補修を専門とする人材の数は地域別に偏りがある。

大田(テジョン)広域市の場合、維持・補修専門人材がわずか「4人」しかおらず、一人当たり「3万8893台」を管理しなければならない。

ほかにも、忠清南道(チュンチョンナムド)は一人当たり「2万2793台」、全羅北道(チョルラブクト)は一人当たり「2万2598台」を管理しなければならないことがわかっている。

こうしたデジタル機器の維持・補修専門人材の不足により、学校の現場ではコンピュータや情報の教師が、故障した機器の修理も行っていることが調査によってわかった。彼らは特別な教育を受けられないまま、自ら修理の業務について学び、機器を修理しているという。

キム議員は「学校にデジタル機器管理の専門人材が非常に不足している状況で、来年3月よりAIデジタル教科書が全面導入されれば、教師陣の業務負担とストレスが深刻に懸念される」とし、「かたくなとも言えるAIデジタル教科書導入に対し、さまざまな教育主体からの懸念があるだけに、現場の声により一層耳を傾けなければならない」と主張した。

韓国
(撮影=スポーツソウル日本版編集部)韓国。写真はイメージ

これに先立ち、ソウル市教育監のチョン・グンシク氏は10月22日の国政監査で、2025年度からのAIデジタル教科書全面導入に対して「ソウル市教育庁だけの問題ではなく、ほかの教育監とも意見を交わし、討論することが重要だ」とし、「11月中に全国市道教育監協議会が行われるため、慎重に議論し、より良い結論に導く」と答えた。

また、AIデジタル教科書による副作用に対しては「学生が実験対象になってはならない」とし、「AIデジタル教科書は“教科書”であるだけに、特定の学年を分けて適用することは難しい。教育部と教育監の立場を聞いて慎重に考える」と強調した。

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