「『パラサイト』俳優の死は韓国社会の審判につながるか」米大手芸能メディアが鋭く問題点を分析

2024年01月04日 話題

「イ・ソンギュンの死が韓国社会の審判につながるか」

【注目】イ・ソンギュンさんの麻薬疑惑を通報した人物が判明

アメリカを代表する芸能メディア『ザ・ハリウッド・リポーター(The Hollywood Reporter)』が1月3日(現地時間)、報道を通じてイ・ソンギュンさんの死と関連して韓国社会に注目した。

「『パラサイト 半地下の家族』のスター、イ・ソンギュンの死が韓国社会の審判につながるか」というタイトルの記事は、昨年12月27日に突然この世を去ったイ・ソンギュンさんの悲報がエンタメ大国となった韓国に潜在的な影響を及ぼしたと伝えた。

「韓国に冷たい影響を及ぼしかねない」

記事は、2018年のドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』のイ・ソンギュンさんについて注目した後、「『パラサイト』を通じて全世界的に主流を成した韓国の最も人気のある俳優の一人であるイ・ソンギュンが、実際のスキャンダルに関与するということは、ほとんど想像できないことだった。彼は有名だった時代から(女優チョン・ヘジンと)結婚し、2人の息子と健全な評判を持っていたが、これは“韓国社会が芸能人に要求すること”と正確に一致した」と伝えた。

イ・ソンギュンさん
(写真提供=OSEN)イ・ソンギュンさん

続けて、イ・ソンギュンさんが昨年10月に薬物投薬の容疑で取り調べを受けているというニュースが伝えられてから2カ月間、事件のすべての詳細が息をのむように解剖され、3回も警察に出頭した過程を羅列し、「彼の死は韓国の現在の政治的、社会的な環境と絡み合って注目を集め、グローバルソフト超大国としての韓国の地位に潜在的な影響を及ぼしかねない」と指摘した。

また「4月に“麻薬との戦争”が宣言され、麻薬使用はすでに韓国文化で大きな烙印と見なされている。警察は2023年の麻薬関連犯罪で史上最大の1万7152人を立件したが(前年より38.5%増加)、自然に最も多くの関心を集めたのは被告人となった芸能人だった。警察は今回、8人を対象に調査を行ったが、イ・ソンギュンの名前がヘッドラインを飾った」と書いた。

イ・ソンギュンさんが警察署に召還されるたびにフォトラインに立ったことについても、「有名人がフォトラインに立つことは犯罪疑惑に対する未確認の事実を流出させ、先入観を持たせることと変わらない」とし、イ・ソンギュンさん側が3回目の召還当時、非公開を要請したが、警察が難しいと拒否したことについて触れた。

イ・ソンギュンさん
(写真提供=OSEN)イ・ソンギュンさん

さらに、「韓国での麻薬使用は潜在的な刑事処罰(6カ月~14年の懲役)のほか、職業的、社会的な結果をもたらす。芸能界では不適切な行為に対する非難だけでもK-POPアイドルがグループから脱退となり、彼らの存在が二度と認められない状況が起きている。イ・ソンギュンもスキャンダルのニュースが知らされるやいなや、撮影を始めたばかりのドラマから降板した」とし、大麻が合法であり、「ストーナー文化」の一部として扱われもする他の文化圏から見れば理解し難いかもしれないという意見を表わした。また芸能人のスキャンダルを軽く考える、文化の違いも説明した。

それと共に「しかし韓国は先進国のなかで自殺率が最も高く(10万人当り24.6人)、公的な人物も例外ではない」とし、元大統領だけでなく、多くのK-POPアーティストがうつ病やいじめ、強い圧迫感のなかで生き、公的・私的な争いの末に極端な選択をする事例を指摘した。

また「イ・ソンギュンの衝撃的な悲劇の特異な点は、彼の死を招いた多くの政治的、社会的要因に対して、特定の類型の清算を提起できるという点だ。韓国芸能界での彼の地位と韓国芸能界が国際舞台でますます大きくなっている地位を考慮すると、彼の運命は、韓国が羨ましがって事業できる文化、芸術のメッカという認識に冷たい影響を及ぼしかねない」と分析した。

イ・ソンギュンさん
(写真提供=OSEN)イ・ソンギュンさん

「Netflixが今後4年間、韓国コンテンツの制作に25億ドル(約3500億円)を支出する計画を明らかにし、ディズニー、アップル、アマゾンも韓国コンテンツに相当な投資をする現時点で、俳優が道徳的な事項を違反することによってプロジェクトが取り消され、それによる起訴が致命的な結果につながりかねないという考えは、ハリウッドスタジオが韓国とより多くの事業をすることを止めることにつながる可能性がある」とも強調した。

一方で、イ・ソンギュンさんの悲劇が一種の改革につながる可能性もあるとした。記事は「彼の死後、ニューヨーク・タイムズ、BBC、CNNなどの海外メディアは、韓国の厳格な麻薬政策はもちろん、法執行機関、メディア、大衆が有名人に接する方式に対する論評を掲載した。国内的には、韓国警察はイ・ソンギュンに対する処遇、特にイ・ソンギュンのプライバシー保護が不足したという批判に直面しなければならなかった」と話した。

そして歌手G-DRAGONも同じ時期に警察に立件され、数回の薬物検査と尋問、フォトラインに立ったことがあるが、警察が証拠不十分を理由に12月初めに彼の事件を終結させたことに触れ、「彼は薬物乱用撲滅および中毒治療を支援するための財団を設立するために3億ウォンを支出すると発表した。これはG-DRAGONの挑戦的な動きであり、社会的に重要な動きでもあり、薬物中毒を病気として再構成し、苦しむ人々を助けることに重点を置く方式だ」と強調した。

最後に、「もしこのような努力が成功すれば、韓国の社会的な慣習と文化的な野望を調和させることに役立ち、国際的な商業の展望のためのより安定的な地形を作ることができる。才能のある人材がイ・ソンギュンのような状況に置かれても、より良い結果に希望をかけることができる環境を作ることができるだろう」と締めくくった。

(記事提供=OSEN)

◇イ・ソンギュンさん プロフィール

1975年3月2日生まれ。2001年、MBCのシチュエーションコメディ『恋人たち』(原題)でデビュー。2007年のドラマ『白い巨塔』韓国版で正義感の強い“チェ・ドンヨン(日本の里見脩二)役”を演じてブレイクし、『コーヒープリンス1号店』『パスタ~恋が出来るまで~』『ゴールデンタイム』『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』と数多くの人気ドラマに出演した。映画『僕の妻のすべて』『最後まで行く』『パラサイト 半地下の家族』などでも高い演技力を発揮。プライベートでは2009年5月に女優チョン・ヘジンと結婚しており、同年11月に長男が、2011年8月に次男が産まれている。2023年12月27日、48歳でこの世を去った。

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