最近、韓国のエンタメ界ではBL(Boys' Love)が新たなブルー・オーシャンになっている。
【画像】『スタートアップ』『プデュ』出演者が勢揃いのBL作品とは?
大ヒットしたWatchaオリジナルシリーズ『セマンティックエラー』やウェブドラマ『To My Star』の背中を追って次々と新作BLドラマの制作が発表されており、劇場版『セマンティックエラー:ザ・ムービー』も前売り販売開始と同時にスピード完売を記録。動画配信サービスwavveでは同性愛者カップルが出演する『メリー・クィア』(原題)や男同士の恋愛バラエティ番組『男の恋愛』が配信されている。
特に『セマンティックエラー』は、まさに破竹の勢いだ。去る2月16日に配信開始されたドラマは8週連続でWatchaのTOP10ランキング1位を占め、7月の今もTOP10の上位にランクインされている。「第26回富川国際ファンタスティック映画祭」で初上映された劇場版はチケット販売開始1分で売り切れ、台本集は販売開始とともにベストセラーとなった。
その『セマンティックエラー』の成功に支えられ、BLドラマの“メジャー化”にも拍車がかかった。今年の下半期には『俺は恋愛なんか求めてない!』『Oh MY アシさん』『ハッピーメリーエンディング』『新入社員』『Bon Appetit』(すべて原題)といったBLドラマが続々と配信される予定だ。
このような動きは、バラエティ番組でも見られる。7月8日からは同性愛者カップルの日常をリアルに映す番組『メリー・クィア』がスタートされ、15日からは韓国初となる男同士の恋愛バラエティ番組『男の恋愛』も公開された。
バラエティ番組であろうと性的マイノリティは「痛みを持つ存在」として描かれた昔と違って、この2つの番組は彼らの恋愛も特別なことではないことを示している。性的マイノリティへの見方がガラッと変わったのだ。
このような動きについて、一部ではコンテンツの飽和状態で生き残るための“変化球”と解釈する。ただ、“ロングヒット”のためには世間の受け入れを前提しなければならない。世間受けが悪いコンテンツを、一時のブームに頼っていく戦略は失敗する可能性が高いからだ。性的マイノリティを登場させるコンテンツの制作が活発化している理由は他にある。
とあるテレビ関係者は本誌『スポーツソウル』の取材に対して、次のように語った。
「話題作りのために刺激的な素材を用いたというより、性的マイノリティに対する見方の変化によって、テレビ業界もその流れに沿った素材を選んだと見たほうがいい。『セマンティックエラー』『To My Star』などの成功事例が増えたことで、視聴者の間でも、業界内でもBLに対する偏見がずいぶんと薄れた。
しかも、最近のトレンドでまず言及されるのが多様性だ。消費者中心のテレビ番組がそのトレンドに従うのは当たり前だ。今まで恋愛をテーマとするドラマやバラエティ番組は山ほど作られてきた。そんななか、LGBTQは新鮮な面白さと社会的意味の二兎を追えるテーマだ。制作者の立場では断る理由がない。ただ、それをどのように描いてみせるかが、今後のカギになるはずだ」
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