『地獄が呼んでいる』(以下、『地獄』)のヨン・サンホ監督が、Netflix世界1位獲得の感想や、シーズン2にまつわる様々なストーリーを披露した。
Netflixオリジナルシリーズ『地獄』を演出したヨン・サンホ監督のインタビューが、11月25日午前に行われた。
本作は、市民が突如地獄行きを予告され、地獄の使者たちに滅多打ちにされ地獄へと葬られるという理解不能な現象が起き始める。この混乱に乗じて支持を得た宗教団体「新真理会」と、事件の実体を明らかにしようとする人たちが絡んで起こる話が描かれている。
同名の原作ウェブトゥーンも描いたヨン・サンホ監督は、映像化に際して演出を担当し、独自の世界観を確固たるものにした。
「地獄行きの告知」という新鮮な設定で、生と死、罪と罰、正義など、普遍的なテーマに対する強烈な質問を投げかけ、全世界の視聴者に衝撃と戦慄を与えた。ここにユ・アイン、キム・ヒョンジュ、パク・ジョンミン、ウォン・ジナ、ヤン・イクジュンなど、“信頼できる俳優”たちが出演し、物語に厚みをもたらした。
動画配信プラットフォームのランキングサイト「フリックス・パトロール」によると、『地獄』は公開直後、NetflixグローバルTOP10 TV(英語以外)部門でトップに立ったという。これは1週間(11月19~21)の視聴時間を集計したもので、『地獄』は公開からわずか3日間で4348万の視聴時間を記録し、韓国はもちろんシンガポール、香港、インドネシア、フィリピン、タイ、ジャマイカ、ナイジェリアなど計12カ国のTOP10で1位となった。それだけでなく、インド、アメリカ、フランス、ドイツなど、59カ国余りでTOP10に名を連ね、好調な滑り出しを見せている。
ヨン・サンホ監督はNetflix世界1位と知人の反応について、「少し戸惑った。どうしたらいいのかわからない状態だ」とし、「『地獄』が公開され、寝て起きたらそうなっていたので戸惑った。実際、周囲から多くの知人の連絡を受けた。“この方からも?”と思うほど、多くの方が連絡をくださって感謝している」と感想を述べた。
『地獄』は世界的な人気を博しているが、一部では多少難解な世界観を含め、容易ではない内容など、好き嫌いも分かれている。
ヨン・サンホ監督は「最初、Netflixと『地獄』という作品を構想する時は、この作品を非常に普遍的な大衆は満足させるというよりは、こういうジャンルが好きな方々がディープに見るだろうと思った。そう思って作ったと思う」とし、「でも意外に多くの方がこの作品を見てくださり、多くの方がこの作品についての話をしてくれるのが不思議だ。『地獄』は耳慣れない世界観を受け入れて作り上げるものなので、その世界観にハマるのに一定の時間がかかるだろう」と述べた。
何より好き嫌いが分かれる“矢じり”について「矢じりの存在はスピーカーに対する視覚的実体と視覚的存在、自分の顔をメイクで隠してスピーカーとして忠実に人を引き付けるために声が重要だった」と答えた。
「矢じりのリーダーを演じた俳優キム・ドユンが多くの研究をしたようだ。様々な放送を見ながら、“こう表現した方がリアルだろう”と思い、たくさん研究してくれた」とし、「キム・ドユンはいつも声をかすれた状態で演技したいと話した。とてもリアルに表現しようと努力していた。不快だという反応も、スピーカーの姿が実体化しているため、自然に出た反応だと思う」と自分の考えを告白した。
劇中では、地獄行きの日時を告知する設定が非常に印象的だが、これは監督の前作『新感染ファイナル・エクスプレス』にも似た設定が登場する。
ヨン・サンホ監督は「『新感染』を作る時も同じような考えをしたが、人間という存在は“死”という終着地が決まっていると思う。終着地は誰もが知っている地点なので、どんな選択をするかが重要なポイント」とし、「(『新感染』では)釜山という終着地が人間の人生に似ていると思った。今回の作品は、予期せぬ告知に会った時、それを人間が受け入れることができるのか、そんな想像から作品を構想した。似ているように見えるが、違うやり方の微妙な設定で、平凡な人生と非常に劇的な人生に大きな差が生じる。これらは微妙だが、独特な設定が異なるストーリーを作るのに重要な役割を果たしたと思う」と説明した。
また『地獄』の衝撃的な結末については「構想の時からチェ・ギュソク作家と、とある状況について起こりうる様々な話を考えた。1つのストーリーを作るというよりは、起こりうる様々な話を念頭に置いた」と明らかに。
そして気になるシーズン2について尋ねると「(Netflixの)シーズン2よりは、その後に続く話についてチェ・ギュソク作家と昨年夏から新しい物語を作っていた。最近チェ・ギュソク作家とその後の話を漫画で語ることに決めた。来年下半期ごろには漫画を掲載できそうだ。しかし、映像化については具体的な議論がない。その映像化作業は、今後も話し合われる必要がある」と少なからず期待を抱かせてくれている。
続いて、「今回のシリーズはウェブトゥーン制作時から結末を話し、Netflixでの結末は漫画が完全に連載終了する前に決定した」とし、「最後の場面をどう公開するかについて、シリーズを制作するチームと話し合った。漫画の最後のシーンに構想されてなくて、入れなかった訳じゃない。これに対してマンガに入れず、シリーズに入れるのは戦略的に選んだ。マンガと映像を作ったが同じで、同時に戦略的に使える方法が何か相談できた。公開時期に対する戦略的な選択」と答えた。
ヨン・サンホ監督は『地獄』の原作IP(知的財産)を、自身とチェ・ギュソク作家が持っていると述べたが、映像化に対する権利はNetflixあるとしている。
「ストーリー原作者なので、原作の著作権は自然に持っている」とし、「Netflixはこの作品の映像化に対する権利を持っている。映像化の権利も、私が知る限りではファーストオプションなので、もしNetflixがシーズン2を作らないとすれば、ほかのところで行うこともできる」と伝えた。
映画『新感染 ファイナル・エクスプレス/ファイナル・ステージ』『地獄』が大ヒットし、一躍有名クリエイターとなったヨン・サンホ監督は、「アメリカ映画の演出について『新幹線 ファイナル・エクスプレス』以降、多くの話をしているが、韓国とシステムが違うので少し時間がかかっている。クリエイターとしてやりたい気持ちは当然の欲求だと思う」と述べ、ハリウッド進出の可能性を示している。
また、『地獄』が“第2の『イカゲーム』”という海外メディアの好評についても、「韓国の映画とドラマが、15年前から全世界に少しずつ積み重ねてきた信頼のようなものが最近爆発していると思う。実は以前からも韓国には素晴らしい映画やドラマが存在し、それらを見抜く世界中の人たちが少しずつ増えていた。好きな単語の1つが“決壊”なのだが、少しずつヒビが入っていく現象だ。韓国コンテンツが世界的に愛されるのは、10年前から世界市場でゆっくりと反応が出始め、そのような亀裂が集まって堤防が崩壊するように溢れ出ていると思う」と笑顔を見せた。
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