日韓の共同オーディション『Nizi Project』(通称:虹プロ)から誕生したガールズグループNiziU(ニジュー)に注目が集まる中、ソニーミュージックと共に同プロジェクトを運営した韓国の芸能プロダクション、JYPエンターテインメントにも大きな関心が集まっている。
【写真】“アイドルの父”J.Y.Park、元所属アイドルとのほっこりエピソード
JYPエンターテインメントといえば、韓国のアイドルブームの火付け役となったWonder Girlsを筆頭に、missA、TWICEといった有名ガールズグループを数多く輩出した超大手プロダクションだ。2PMやGOT7、Stray kidsなどボーイズグループの活躍も目覚ましく、最近は俳優として演技の道に進む者も多い。
今やK-POPアイドルを目指す者なら誰もが憧れるといっても過言ではないJYPエンターテインメントだが、韓国では確かな実績はもちろん、代表を務めるJ.Y.Park氏独自の人材育成方針に対する関心も熱い。
というのも、JYPエンターテインメントは自社の所属アーティストを指導するうえで何よりも“人柄”を重要視する。芸能人という職業が世間の人々に与える影響の大きさを重んじ、現在に至るまで「どんなに才能があっても、人間性が伴わなければJYPに相応しくない」という姿勢を貫いている。
練習生の教育は新人開発チームが、アーティストの管理・監督は該当アーティストの本部が担当するなど細分化された運営を行い、品性や性教育、歴史、常識、タレントとしての姿勢とマインドなどを独自のカリキュラムで教育することでも有名だ。
現に、JYPエンターテインメントに所属するアーティストに関しては問題行為によるスキャンダルがほとんどない。徹底した品性教育は所属アーティストのプロ意識を高め、仕事に対する誠実な姿勢だけでなく、レベルの高い安定したパフォーマンスも実現しているようだ。
かといって、問題児がまったくいないわけではない。ときには自社所属のアーティストや練習生がスキャンダルを巻き起こすこともあるが、JYPエンターテインメントは問題が発覚した時点で即座に契約を解除している。
どんなに実力者であっても躊躇なく契約関係を解消するため、一時は方針に関するバッシングもあった。さらに言えば、そういった経緯でJYPエンターテインメントから離れた練習生が別のプロダクションからデビューしてブレイクすることも。ファンからはそのたびに「J.Y.Parkは馬鹿なのか?」「あんなに良い人材を手放すなんて」と経営方針を疑問視する声が上がったという。
しかし、ここ数年だけでも「#Me Too」「素行不良スキャンダル」「SNSの炎上」といった数々の問題が世間を騒がせているのが韓国芸能界の現状。業界では徐々に「時代にマッチしているのはJYPの育成法」という雰囲気ができあがりつつある。
JYPエンターテインメントが徹底しているのは、所属アーティストの育成だけではない。
職員たちもまた“クリーンな仕事”を徹底するよう厳しく言い渡されており、J.Y.Park氏は過去に出演したドキュメンタリー番組を通じてこう話している。
「JYPの全職員は、女性ホステスがいるお店には出入禁止となっている。(接待禁止によって)会社が潰れるとしても、“女性ホステスが出てくる店に足を踏み入れた瞬間クビになる覚悟をしろ”と厳重に注意している」
昨年には韓国Mnetの有名オーディション番組『PRODUCE』シリーズと関連した投票捏造やプロダクションの接待疑惑などが絶えず物議となったが、そういった騒動もJYPエンターテインメントの社風が支持される要因となった。
K-POPファンで知らない者のいない大型プロダクションとして確かな地位を築き上げただけでなく、前述の『Nizi Project』をはじめとしたグローバルな活躍で勢いがとどまることを知らないJYPエンターテインメント。来る6月30日にはNiziUのプレデビューミニアルバム『Make you happy』の配信が日韓でスタートし、今後のプロモーション活動への期待はさらに高まる見通しだ。
(文=姜 由奈)
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