離婚も特別なことではなくなった現代。韓国では、「離婚はむしろ勇気」という専門弁護士もいるほどだ。ただ、あえて自慢することでもないだろう。
韓国では今、離婚を巡る風土が変わりつつある。有名人は離婚を公にするだけでは収まらず、その全過程をリアルタイムで世間に共有しているのだ。
その結果、離婚はまるでリアリティショーのように消費され始めた。リアルな映像、暴露、釈明がSNSを介して野次馬に届けられている。世間も当初はリアルタイムで追うことに興味津々で、スリリングなドラマや映画と同じ感覚で消費していった。
しかし、ドラマや映画がいくら面白くても、同じような場面が繰り返されると退屈になるもの。時間が経つにつれ世間の反応も変わり、疲労感しか残らなくなっている。
代表的なのが、女優ハム・ソウォン(48)と中国人タレント、ジンファの離婚騒動だ。2人は離婚の過程をSNSでリアルタイム実況してきた。
2人が夫婦となったのは2017年のこと。18もの年齢差、国籍の違い克服し、娘も授かった。家族3人の幸せそうな生活を夫婦観察バラエティ『妻の味』で公開してきたが、2021年に“ヤラセ”疑惑が発生したことで降板することとなった。
以降、ハム・ソウォンは2022年12月にジンファと離婚していたことをSNSで公表。離婚の主な原因としては性格の不一致と頻繁な喧嘩を挙げ、娘のために決めたと説明している。
ただ、同居はしていたという。それだけでなく、娘の状況によっては復縁の可能性もなくはないとしていた。
だが結局、20日に同居を解消したと報告したハム・ソウォン。併せて、シングルマザーとして一人で娘を育てることへの不安を吐露していたのだが、今後のことを考えると娘が心配であることは否めない。
続いて、“アナウンサー夫婦”のチェ・ドンソク、パク・チユン夫婦の離婚過程はかなり複雑だ。
2人は公共放送KBSの同期で、2009年に結婚して一男一女を授かった。しかし、2023年から結婚生活に対する溝が表面化したことで、離婚訴訟へと突入したのだった。
関係悪化の主な原因としては、妻パク・チユンの“オセロ症候群”主張、夫チェ・ドンソクの“情緒的浮気”主張が挙げられる。
チェ・ドンソクはパク・チユンが取引先の社員に会ったことを問題視し、情緒的な浮気だと主張したのだ。
これに対してパク・チユンは「事実ではない」と反論するとともに、チェ・ドンソクが他人に送っていた妻への誹謗中傷のメッセージを確認するなど、疑いを膨らませたと主張した。
そんな2人の問題は感情を越え、財産分与、子供の学費問題に発展。チェ・ドンソクはパク・チユン名義のマンションを仮差押えし、パク・チユンはチェ・ドンソクを相手に不倫訴訟を提起。チェ・ドンソクも反訴を進めるなど法廷争いになってしまった。
2人はこの過程で、SNSを報告や釈明の道具として使っていたのだ。一方が投稿すると、もう一方も反応する形式だ。このようなやり方が溝をより深いものとし、世間に不必要な疲労感を与えたと言える。
現在の離婚模様について文化評論家のキム・ソンス氏は、「公人がSNSをよく使う理由は、自身が主導的にメッセージを伝えるメディアが必要なためだ。特に離婚のような敏感な事案では、当事者たちはマスコミプレイの道具としてSNSを利用し、自身の考えを明らかにして統制しようとしている」と話した。
続いて、「SNSは、個人の利益をハンドリングするのに非常に適したプラットフォームになった。自分が望むメッセージを簡単に伝播できるツールとして位置づけられている」とし、「影響力のある人物がSNSを使えば、彼らの投稿は簡単に伝播する。そのため、私的な問題や敏感な情報が公に露出される危険が大きいので注意が必要だ」と説明している。
過激化する一方の離婚の切り売り。特に、チェ・ドンソク、パク・チユンの2人がどのような結末を迎えるのか注目が集まる。
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