韓国の配信者界隈にはもはや、モラルは存在しないのだろうか。
人気配信プラットフォーム「AfreecaTV」は、ネット上の“ルームサロン”(性サービスを伴う遊興店)に転落したと言っても過言ではない。
“エクセル放送”に集団麻薬・性行為などの暴露が出たにもかかわらず、運営は生温い態度だという声まで出ている。このような問題は長期化するだろうという話も出ていることから、AfreecaTVの対応に注目が集まっている。
“エクセル放送”とは、AfreecaTVで初めて使われ始めた言葉で、数人の女性BJ(ブロードキャスティング・ジョッキー、配信者のこと)を集めて競争させるというもの。
主に有名な男性BJが企画・進行し、複数の女性BJが出演して出演する。女性BJのサポートランキングをエクセル(Excel)文書のように整理していることから、“エクセル放送”という名がついた。
星風船(課金アイテム)を受け取った女性BJが前に出て踊るなどのリアクションをする。 しかも、金額が上がれば上がるほどリアクションも扇情的なものに変わるという。
司会進行の男性BJはカジュアルな装いである反面、女性BJたちは濃いメイクに露出が激しい衣装を着る。星風船がもらえない女性BJは、愛嬌でいわゆる客引き行為をする。
競争が激しくなればなるほど女性BJの性的アピールの水準も高くなる。社会問題に広がる可能性もあるが、運営は特別な制裁をしない。ただ、制裁の基準がないわけではないのだ。
AfreecaTV関係者は9月3日、本紙『スポーツソウル』の電話取材に対して、「24時間モニタリングしている。運営ポリシーに違反するBJ やコンテンツは制裁する。規定はあるが、細部の基準を正確に公開することは難しい」と言葉を慎んだ。
これは、同じく配信プラットフォームであるNAVERの「CHZZK」と比較されたりもする。CHZZKは今年1月に利用約款を改正し、犯罪歴がある者、扇動などの履歴があったり、その可能性があるストリーマーの活動を制限している。
そんななかで飛び出た、ある女性BJの暴露が注目を集めている。
彼女の名はカム・ドンラン。エクセル放送を中心とするBJが群れを成して権力を持った集団となり、麻薬や性売買などに変質しているという暴露だった。
カム・ドンランは、「AfreecaTVはイメージを良くしたいと名前まで変えながらもがくが、性売買斡旋や麻薬などの重犯罪に非常に寛大なことを見れば矛盾の極致」と告白。
続けて、「実際に刑を処せられたり騒動の種があっても問題なく復帰し、毎月数億ウォン(数千万円)の収入を上げる人がいる」として、「エクセル放送が登場してからは、個人配信で稼ぐことは、ますます難しくなった。BJたちはお金を稼ぐため、いわゆる“ある奴ら”同士が団結し、寄生しようとしている」と暴露した。
そして、「その群れに入って金を稼ぐためには、麻薬も性関係も一緒にしなければならない。しなければ集団に加わることも、星風船をもらうこともできない。ここはサイバー娼婦がいっぱいの動物の王国」と主張した。
このような深刻なレベルの暴露にも、AfreecaTVは「内部で知っていることはない。配信外の問題はプラットフォームで管理できない」と距離を置くばかりだ。
そのため、AfreecaTVの社会的・経済的影響が小さくないのに、“倫理意識”が影響力を後押しできないという指摘もある。
文化評論家のハ・ジェグン氏は、「以前は個人配信が小規模で運営され、影響力も制限されていたが、現在はメジャー文化の一軸として位置付けられた。これは、影響力が大きくなったことを意味する」として、「刺激的で問題視される事例も増加したが、効果的な規制方案が明確に用意されなかった」と話した。
続いて、「メインターゲットが若いだけに、価値観が形成されていない青少年たちが不適切なコンテンツや行為をロールモデルにする可能性が大きい。注意が必要だ」と強調した。
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