K-POPガールズグループFIFTY FIFTYの騒動をめぐる偏向報道問題で物議を醸す韓国地上波SBSの時事番組『それが知りたい』(原題)が、現在も沈黙を貫いている。
【写真】髪は金から黒に…FIFTY FIFTY残されたメンバーのイマ
初めて放送してから3カ月が経過したにもかかわらず、「続編を準備している」という発言を繰り返すだけで、具体的な放送計画については“無回答”を一貫している。
問題となった放送は、今年8月19日に韓国で放送された『それが知りたい』の第1365回「ビルボードとガールグループ-誰が翼を折ったのか?」だ。
FIFTY FIFTYがグローバルな人気を得た後、グループ内のメンバーが別の企画会社と契約を結ぶタンパリング(現会社との契約が終了する前に他社と密かに接触する行為)事件が要旨だ。
当時の放送では、論争の当事者であるFIFTY FIFTYの所属事務所ATTRAKTのチョン・ホンジュン代表と外注業者The Giversのアン・ソンイルPDの立場もなく、メンバーのダイエット問題、所属会社のCCTV(監視カメラ)設置による精神的被害など、同情を得るような内容を盛り込み、論室を曇らせたという評価を受けた。
その後も、ATTRAKT所属関係者を代役として使用した点が明らかになった。弱り目に祟り目で、当該人物はATTRAKTと紛争中のThe Giversの職員であることが確認された。
「アン・ソンイルPDが月末評価に出てこなかった」という発言は事実ではなかったにもかかわらず、反論権すら与えられなかった。
K-POP業界が最も深刻に捉えている部分がタンパリングだ。
長い時間と費用、エネルギーをかけて育て上げたメンバー一人ひとりは、企画会社の主要資産に挙げられている。そんな大事な人材を引き抜こうとした事態に、多くの業界関係者が憤りを示した。
何より、FIFTY FIFTYは契約期間中に他社が接近した事案だった。
業界で最も敏感な事案であるにもかかわらず、『それが知りたい』はタンパリングを試みた当事者を擁護し、事態を悪化させた。
また、タンパリングを扱う方式も偏向しているという声が高い。所属事務所とアーティストを単純に甲と乙で区分し、すでにスーパースターとなって所属事務所に必要以上に要求をするアーティストを被害者であるかのように描写したという指摘だ。
韓国芸能制作者協会の関係者は、「『それが知りたい』は取材があまりにも足りなかった。当該事案を認知していようがそうでなかろうが、中立性を失った。むしろ油を注ぐ役割を果たした」とし、「テレビ局も道徳的な責任を負わなければならない。そのような偏向があるせいで、知らない人たちは過ちを犯しても良いと思っている」と一喝した。
続けて、「FIFTY FIFTYの問題は、再契約時に起きるタンパリングとは次元が異なる。せっかく練習生時代を経てローンチしたにもかかわらず、契約期間中に盗みを働いた」とし、「従事者たちは、以前からタンパリングに加担した人間とパートナーシップを結ぶことはできないということを強力に主張してきた。企画会社が絶対に甲ではないということがいくらでもわかった。『それが知りたい』の取材態度には失望せざるを得ない」と話した。
『それが知りたい』は、探査報道番組として長い間韓国国民の信頼を得てきた。どんな権力の前でも顔色を窺わず、伝えるべきことを伝える番組として位置づけられてきた。
だが、FIFTY FIFTYの問題については盲点を指摘できなかった。代役や虚偽発言など、議論になる要素も多かった。
何より、事態の深刻さと比較して謝罪も十分ではなかった。当該番組によって、数十年に渡って積み上げてきた名声を一瞬にして失うことになった。各種オンラインコミュニティでは、「それまで『それが知りたい』が指摘した事案も再びチェックしなければならない」という声も高まっている。
『それが知りたい』の内部事情に詳しいテレビ業界のとある関係者は、「企画意図以外に特別な意図を持って取材に臨む集団ではない。傍から見たとき、業界の動向を正確に認知していないようだ。予め答えを決めておいて出発した感じが見受けられる」と伝えた。
続けて、「答えを求めにくい意見と主張が衝突するとき、弱者の肩を持つことを常識と見る。しかし、K-POP業界は権力構図が状況によって変わる可能性がある。制作者が“甲”のときもあるが、個人が“甲”になるときもある。このような現象を十分に理解していないようだ」と付け加えた。
K-POP業界をはじめ、K-POPファンや一般大衆の間で批判の声が高まったにもかかわらず、『それが知りたい』は謝罪文を発表した以外に特別な動きを見せていない。続編がいつ放送されるかも不明だ。
このことからも、大衆文化界を軽視しているとの指摘もあり、このような歩みを続けるのではないかという批判も出ている。
大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は、「『それが知りたい』を見ると、大衆文化を扱う態度や視線が、時事事件を扱うときと比べて真剣ではないように感じられる。制作者とメンバー間の契約をそれほど重要に考えていないため、このような問題が発生した」とし、「事態の深刻さを見れば、後続報道と謝罪放送を徹底してしなければならないのに、それさえもない。結果的に信頼度が大幅に低下した」と診断した。
◇FIFTY FIFTYとは?
キナ(2002年生まれ)、セナ(2004年生まれ)、シオ(2004年生まれ)、アラン(2004年生まれ)の4人で構成されたガールズグループ。全員が韓国出身。確率的に五分五分という意味を持つグループ名には、理想と現実、そしてそのなかに共存する存在になるという思いが込められた。2022年11月にアルバム『THE FIFTY』でデビュー。2023年2月に1stシングルアルバム『The Beginning: Cupid』をリリースし、そのタイトル曲『Cupid』が大ヒット。米ビルボードのメインシングルチャート「HOT100」に25週連続チャートイン(最高順位17位)し、BLACKPINKが持っていた歴代K-POPガールズグループの連続チャートイン記録(8週連続)を大幅に更新した。“中小芸能事務所の奇跡”と呼ばれた。
■ついに所属事務所からも見放され…“強制引退”の秒読みに入ったFIFTY FIFTYの末路
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