デビュー1周年を迎えたばかりのガールズグループFIFTY FIFTYだが、メンバーたちの明暗はくっきりと分かれた。
たった1人でグループに残ったキナは、米ビルボードの授賞式に参加する栄光の瞬間を味わったが、他のメンバー3人は専属契約を解除され、“元”所属事務所と終わらない紛争を予告している。
去る11月16日、FIFTY FIFTYのキナは授賞式「2023ビルボード・ミュージック・アワード」に参加するために、米ロサンゼルスへと向かった。FIFTY FIFTYが「トップデュオ/グループ」部門に、ヒット曲『Cupid』が「トップグローバルK-POPソング」部門にノミネートされたためだ。
空港に姿を現したキナは、リラックスした表情で取材陣とファンの前に立った。彼女は「とても光栄だ。いってきます」とし、「HUNNIES(FIFTY FIFTYファン)の方々に本当に会いたかった。頑張ってくる。すぐに会おう。愛している」と明るい笑顔で挨拶した。
FIFTY FIFTYは2022年11月、4人組でデビューした。その後、今年2月にリリースした『Cupid』が米ビルボードのメインシングルチャート「HOT100」で最高17位を記録し、さらに同チャートに25週連続でチャートインするなど、大ヒットを記録した。「HOT100」25週連続チャートインはK-POPガールズグループの最高記録だ。
大手芸能事務所所属のガールズグループではないため、彼女たちは“中小芸能事務所の奇跡”という賛辞を受けた。
しかし6月に突然、事務所との契約問題で葛藤が生じ、FIFTY FIFTYの歩みに大きな危機が迫った。
所属事務所ATTRAKTは、外注業者The Giversのアン・ソンイルPDがFIFTY FIFTYメンバーの専属契約解約を促したとし、外部介入の状況を公開。メンバーたちは「信頼が毀損された」として、ATTRAKTを相手に専属契約効力停止仮処分訴訟を提起した。
両者は激しい対立を続けたが、裁判所は8月に専属契約効力停止仮処分申請を棄却。事務所が精算資料の提供義務を違反したと断定することは難しく、健康管理や配慮の義務違反に対しても十分な疎明がなされていないと判断した。
FIFTY FIFTYメンバーたちは直ちに抗告したが、メンバーのキナは1人だけ抗告を取り下げ、ATTRAKTに復帰。続いてキナは、メディアとのインタビューを通じてアン・ソンイル側の“ガスライティング”(相手を精神的に支配・操作する精神的虐待の一種)を暴露した。そしてATTRAKTは、キナを除いたメンバー3人(セナ、シオ、アラン)に対する専属契約の解約を通知した。
紛争の過程でATTRAKT側に傾いた世論は、遅ればせながらも復帰を選んだキナの勇気にエールを送った。さらにキナが、仮処分申請が棄却される以前からメンバーたちを説得するために努力してきた事実が明らかとなり、彼女に向けた同情まで起きた。
そんななかでATTRAKT側は今後、キナを除いた新しいメンバーを追加して、FIFTY FIFTYを新たに再整備する計画を明らかにした。
特に11月9日には、FIFTY FIFTYが黒字転換され、メンバーに対する初の精算がなされるという知らせが伝えられて注目を集めた。ATTRAKTに戻ったキナは『Cupid』で成し遂げた成果に対する補償として、数千万ウォン(数百万円)規模の初精算を受けることになったのだ。
それだけでなくキナは、「2023ビルボード・ミュージック・アワード」に参加し、ノミネートの栄光を1人で満喫した。11月19日に公開された授賞式パーティーのインタビューでキナは「非現実的だ」とし、「ここにいるのが信じられないし、とても感謝している。候補に上がったことにとても感謝している」と胸いっぱいの感想を伝えた。
またFIFTY FIFTYの未来についての質問に対し、「戻るのに時間がかかりすぎた。私たちを愛してくださる皆さんのもとに帰りたい」と挨拶した。
ちょうどFIFTY FIFTYがデビュー1周年を迎え、キナは手書きの手紙を通じて「私の足りなかった行動のせいで大変な時間を過ごしたはずのHUNNIESに申し訳なく、約束のない時間のなかで私を信じて待ってくれたHUNNIESに感謝するという言葉を伝えたい」と謝った。
彼女は「この1年は私にとって多くのことを学び経験し、成長できた時間だった」とし、「今後はHUNNIES に報いる気持ちでFIFTY FIFTY・キナとして良いステージ、良い音楽で再び幸せな毎日を作れるようにする」と今後の活動に対する誓いを伝えた。
ビルボードの受賞は不発に終わったが、デビュー1年でノミネートされる可能性を証明しただけに、キナの活動“第2章”に向けた期待と応援が高まってる状況だ。
一方で外注プロデューサーであるアン・ソンイルは、ATTRAKTのチョン・ホンジュン代表を「虚偽事実摘示の名誉毀損疑惑」で告訴した。
しかしATTRAKTは「The Giversの『Cupid』著作権登録手続き上に違法性が非常に高い」とし、著作権持分無断登録およびキナの創作寄与分と関連した著作権持分無断縮小行為に対する本格的な争いを予告した。
所属事務所を離れたセナ、シオ、アランは当分、順調ではない歩みが続く見通しだ。
3人は、キナの復帰後もソーシャルアカウントを通じて、ATTRAKTに向けた文章を数回掲載した。しかしすでに世論がATTRAKTとキナに傾いた状況であるため、大衆の反応は冷淡だった。すでにATTRAKTは3人に専属契約解約を通知しており、今後に対する後続対応についても議論中という立場を明らかにした。
契約解除は3人の望むところであったが、決して彼女たちに肯定的な状況ではない。
ATTRAKTは専属契約解約の理由について「3人のメンバーが甚大な契約違反行為に対するいかなる是正と反省もないことに対して措置を取った」と説明。3人が契約違反行為をしたことを強調している。
もし損害賠償を請求するのであれば、3人は違約金をはじめ、少なくても大きくても今回の事態に対する責任を問わなければならない可能性が高い。
記念碑的なデビュー1周年を迎えたが、メンバーたちは“正反対”に歩む結果となってしまった。
(記事提供=OSEN)
◇FIFTY FIFTYとは?
キナ(2002年生まれ)、セナ(2004年生まれ)、シオ(2004年生まれ)、アラン(2004年生まれ)の4人で構成されたガールズグループ。全員が韓国出身。確率的に五分五分という意味を持つグループ名には、理想と現実、そしてそのなかに共存する存在になるという思いが込められた。2022年11月にアルバム『THE FIFTY』でデビュー。2023年2月に1stシングルアルバム『The Beginning: Cupid』をリリースし、そのタイトル曲『Cupid』が大ヒット。米ビルボードのメインシングルチャート「HOT100」に25週連続チャートイン(最高順位17位)し、BLACKPINKが持っていた歴代K-POPガールズグループの連続チャートイン記録(8週連続)を大幅に更新した。“中小芸能事務所の奇跡”と呼ばれた。
■「車も時計も売った」弱小事務所なのにBLACKPINK超えのFIFTY FIFTY、成功の秘訣とは
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