「私はチェ・ドンフン監督の“世代交代カード”。今まで名だたるスターたちを起用してきた監督が、若手俳優を起用したのは大きな意味がある」
キム・テリは興奮していた。
7月20日に公開を控えたチェ・ドンフン監督の新作映画『宇宙+人』(原題)で演じた、雷を放つミステリアスな女性イアンとして観客と会う準備を終えた彼女は、「チェ・ドンフン監督のラブコールが私に入ってきたこと自体が幸せなことだ」と笑顔を見せた。
サーブル(フェンシングの剣)に続き、今度は銃を持ったキム・テリ。ガンアクションは2018年に初主演を果たしたドラマ『ミスター・サンシャイン』に続き2度目だが、アクションの激しさはより一層高まった。
キム・テリは「『ミスター・サンシャイン』の時は単純に銃を持って撃つだけだったが、今回は銃を持ったまま足を蹴ったり、一周して撃ったりと、華麗で高難易度のアクションが追加された。大変だったけど、新鮮で面白い経験だった」と感想を述べた。
アクションスクールで特訓したり、器械体操を学ぶなど、熱心に役作りに励んだキム・テリだったが「あまり役に立たなかった」と打ち明けている。
「スクールでは、さまざまな武器で練習したが、現場に行けば状況がまた変わってくる。リュ・ジュンヨルはスクールに来なかったけど、その事実をすでに知ってたみたい。器械体操もやはり(先に学んだ)リュ・ジュンヨルの方が上手だった」と言って笑う。
「私は怖いもの知らず。機会があれば『ワンダーウーマン』のような作品にも出演したい。剣も持って銃も持ったので、次は棒を持とうかな。今回の撮影ではワイヤーアクションに期待してた。面白かったけど思ったよりやる機会が少なくて残念だった。ハハ」と次回作のアクションに期待を寄せた。
活発にアクションを繰り広げるという部分で、イアン役はキム・テリの前作『スペース・スウィーパーズ』のチャン船長や、『二十五、二十一』のナ・ヒドを連想させる部分もある。しかしキム・テリは、「あえて前作のイメージを払拭しようとも、演技で差別化させようと努力した部分はない。異なる作品でキャラクターも違うので、当然、ほかの人物を演じることになる」と強調した。
『宇宙+人』の撮影現場は、キム・テリにとって癒しの空間だったという。キム・テリは「監督は友人のような存在」と説明し、「現場全体を幸せにする方。撮影現場での監督の姿を残しておきたくて、携帯で撮影しておいた」といたずらっぽく笑った。
また共演したリュ・ジュンヨル、キム・ウビン、ヨム・ジョンア、キム・ウィソンなど、同年代と先輩の俳優に対しても愛情と感謝を伝えている。
「キム・ウビンのクランクアップの時は、リュ・ジュンヨルを助手席に乗せて、太田(テジョン)の撮影現場まで向かって応援した。私のクランクアップの時はキム・ウィソン先輩が応援に来てくれた。皆、自分の撮影がなくても、たびたび現場を訪れ、お互いを応援して勇気を与えてくれた」と語った。『宇宙+人』の撮影現場とキャストへの愛は、前作『二十五、二十一』でも一層培われたようだ。
『二十五、二十一』の撮影は、『スペース・スウィーパーズ』『宇宙+人』の撮影のあとだった。ドラマは12.6%の最高視聴率を記録し、大きな話題の中で幕を閉じたが、キム・テリは当時のインタビューで涙を流したことがある。
「先輩たちは“週52時間制”(2010年に施行された韓国の勤労基準法)が導入され、以前より良くなったというが、それだけでドラマ現場の大変さを納得させるのは難しい。7カ月間休む暇もなく走っていたら、完全に自分を見失い、壊れた。理想と限界のギャップが広がった当時、耐えきれず涙が出たようだ」と告白した。
だが「でもやっぱり『二十五、二十一』は、私にとって大切な作品。一番大変だったけど、私が感じてこなかった感情を教えてくれた。『宇宙+人』は撮影過程が幸せな作品だった。私の理想に届かなかった部分もあるけど、幸せな気持ちで撮影できたという部分で大切。“難解だ”という意見もあるが、1回で理解する映画ではないからだ。 2回見て、3回見たら自然に謎が解ける」と2つの作品への愛情を語っている。
そんなキム・テリが出演する映画『宇宙+人』第1部は、韓国で本日(7月20日)公開だ。
◇キム・テリ プロフィール
1990年4月24日生まれ。アナウンサーを夢見て新聞放送学科に入学するも、大学の演劇サークルがきっかけで女優を志す。2016年の映画『お嬢さん』で正式なスクリーンデビューを果たし、一躍脚光を浴びた。その後、映画『ムニョン』『1987、ある闘いの真実』『リトル・フォレスト 春夏秋冬』などに出演。2018年、俳優イ・ビョンホン主演の『ミスター・サンシャイン』でドラマ初出演&初主演を果たす。
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