『未成年裁判』キム・ヘス、37年目の大女優が「どの作品よりも責任を感じた」理由【インタビュー】

2022年03月21日 話題 #キム・ヘス

韓国映画界において女優キム・ヘスは象徴的な存在となった。

【写真】キム・ヘスの“色気ダダ漏れ”ドレス姿

そんな彼女にとっても『未成年裁判』が投げかけたテーマは、重くて鋭く、キム・ヘスは「一瞬もシム・ウンソクを離れられなかった」と話すほど深い責任を感じた。

去る2月25日にNetflixで公開された『未成年裁判」は、少年犯を嫌悪する判事シム・ウンソクが地方裁判所少年部に赴任しながら向き合うことになる少年犯罪と、事件を担当する判事たちの物語を描いた。キム・ヘスは、成人ではない少年も罪を犯したのであれば妥当な罰を受けるべきという信念を持った判事シム・ウンソクを演じた。

「被害者と加害者」の先に

女優としてデビューして37年目のキム・ヘスの言葉は、落ち着いて静的だったが、そのなかで奇妙な震えや温もりを感じることもできた。

(写真提供=Netflix)キム・ヘス

一瞬も軽々に演じなかったという彼女は、「今回の作品は主題が持つ重みがすごかった。どんな作品よりも責任を感じたのは事実だ。セリフから感じられる重さやメッセージが相当だった」と打ち明けた。

それと共に「実際に裁判官たちに会い、少年法廷を参観しながら、さらに大きく感じた。劇中、判事がする話は実際の話だ。脚本家がこの作品をどれほど長い取材の末に、責任感とバランスを持って鋭敏に気をつけて客観的な視線で接近したのかを感じた」と話した。

『未成年裁判』は殺人、集団性暴行、性売買、窃盗などの少年犯罪を扱う。これまでニュースでもよく見かけたそれらの事件・事故は、一般的に青少年の逸脱としてとらえられるが、『未成年裁判』はそこで終わらない。単に「被害者と加害者」と区別せず、犯罪の根にある大人から放置された青少年たちと家庭暴力、社会システムの脆弱性を鋭く掘り下げる。

キム・ヘスもこの点が胸の奥深くに触れ、出演を決定した。「私たち全員が関心を持って悩まなければならない問題」と感じたというキム・ヘスは、「劇的な楽しみのために少年犯罪をテーマにしたのではなく、多角的な理解を助け、みんなで一度悩んでみようと、どちらにも偏らないようにする脚本家の意志がたくさん感じられた」と話した。

だからキム・ヘスは作品のメッセージに真っ直ぐに集中し、判事シム・ウンソクの信念と態度に最善と真心を尽くした。「シム・ウンソクもただ強いキャラクターではなく、裁判官として、そして大人として持っている信念と、その信念を通して少年犯や被害者家族、そして加害者家族に接する態度まで、すべてが重要だった」。

(写真提供=Netflix)『未成年裁判』

新人の活躍も「励みに」

キム・ヘスが演じたシム・ウンソクは、笑顔もなく終始一貫した冷静さを維持し、少年犯と少年犯罪に冷徹に接近する人物だ。日頃は笑いと涙が多いことで有名なキム・ヘスは、感情の維持が大変だったと打ち明けた。

「寝る直前もシム・ウンソクが離れなかった。大変な瞬間もあった。シム・ウンソクとして冷静な態度を外的に維持することは容易ではなかった。(被害者の事例を見たとき) あまりにも胸が痛く、特にヨム・ヘランさんと演技するときは、涙を本当にたくさん堪えた。俳優としてセリフを通じて表わす感情が、胸に触れた。とても良い経験だと思った」

若手の熱演も目立った。特にペク・ソンウ役を演じたイ・ヨンは、性別さえ超えた演技で話題になった。キム・ヘスも彼らに対する賞賛を惜しまなかった。インタビュー中、落ち着いた雰囲気だったキム・ヘスは、彼らの話が出ると目をキラキラさせた。

彼女は「キャスティングに驚いた。監督が途方もない時間を割いてオーディションを行った。メディアにあまり露出されていない俳優たちでも実力が十分だった。まるで本当の裁判のような感じをできるだけ生かそうと、大衆が見知らぬ顔の俳優たちをキャストしたと言っていた」とし、「台本を見ながらペク・ソンウを頭の中に具体的に描けなかったが、イ・ヨンを見た瞬間、ペク・ソンウがそのままそこに立っている印象だった。瞬間、心臓がどきどきした。そんな後輩を紹介することができて、励みになった」と話した。

(写真提供=Netflix)キム・ヘス

キム・ヘスも俳優である前に、“大人”として今回の作品を通じて気づいた点が多い。

彼女は「私の友人は親である人が多く、実際に私たちの作品で扱う加害者、被害者の親の年齢が多い。だから『未成年裁判』を見て、友人たちが自分の子供がこうなることもあり得ると考え、怖くもあり、なおさらいろんな考えをするようになったと話していた」とし、「少年犯罪においては誰も自由になれない。誰かの問題ではなく、私たち全員の問題だ」と強調した。

◇キム・ヘス プロフィール

1970年9月5日生まれ。韓国・釜山出身。中学3年生のときにCMモデルをはじめ、1986年に映画デビュー。以降、映画やドラマで数々の賞を受賞。1999年に主演したドラマ『グッキ』は、2006年に日本のNHK-BS2でも放映されたことも。主な出演作にドラマ『オフィスの女王』『シグナル』、映画『10人の泥棒たち』『コインロッカーの女』『修羅の華』『国家が破産する日』など。2020年のドラマ『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』では俳優のチュ・ジフンと共演した。

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