仮面ライダーWが歩んだ12年、塚田Pが語った『AtoZ』の制作秘話とは【東京国際映画祭】

2021年11月05日 映画

今年、生誕50周年を迎えた特撮作品『仮面ライダー』は、日本はもちろん韓国でも注目を浴びている。5月には医療とゲームを掛け合わせた人気作『仮面ライダーエグゼイド』が韓国で放送され、庵野秀明監督が手がける『シン・仮面ライダー』制作のニュースも話題となった。

11月4日、第34回東京国際映画祭の「ジャパニーズ・アニメーション部門」として、『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』がTOHOシネマズシャンテで上映され、本作を手がけた東映の塚田英明プロデューサーのトークイベントが行われた。

本作は、今や日本を代表する俳優の1人である菅田将暉のデビュー作『仮面ライダーW(ダブル)』の劇場作品として、2010年に公開されたものだ。

2009年にテレビ放送された仮面ライダーW(ダブル)は、左翔太朗(演者:桐山漣)とフィリップ(演者:菅田将暉)による2人で1人の仮面ライダーだ。当時、その奇抜な設定とツートーンカラーというインパクト抜群なビジュアルに注目が集まったが、“探偵もの”をベースにコメディ要素も取り込むことでストーリー性も評価され、現在も語り継がれる作品となっている。

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塚田英明プロデューサー

「サイクロンジョーカー」を模したツートーンカラーネクタイを着用して登場した塚田プロデューサーは、本作について、「Wを作ってきた中で集大成のような映画を目指していて、盛り込めるものはすべて盛り込もうと思った」とし、「テレビではガイアメモリ(敵味方共通の変身アイテム)のアルファベット一つをサブタイトルで象徴的につけていたんですけど、(映画は)AtoZということでガイアメモリが全部出てきて、争奪戦をしながら風都(作品の舞台となった架空の都市)最大の事件みたいなことをやりたいと(思いました)。漠然としたものはあったんですけど、それをどのように形にするのかというのを、(脚本家の)三条さんと色々話して難航した記憶があります」と語った。

続いて、「この映画の特色の1つとして、“ビギンズナイト”(『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』)という冬の映画があって、これは夏の集大成みたいな形で作りました。ビギンズナイトは翔太郎の話で、今回はフィリップの話にしようと。今でこそ菅田将暉さんはすごいスターですが、あの頃は史上最年少ライダーとして桐山君と主役で、その菅田君の方をメインで今回は描くと決めた。やっぱり菅田君も緊張していたようで、台本を読んだかと聞いたら“読みました。がんばります”と言っていた。そこが撮影においてはやっぱり撮影において印象的に思い出されるとこですかね」と当時を振り返った。

現在は「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で、マンガ『風都探偵』として連載されている仮面ライダーW。そして来年夏には仮面ライダー史上初のアニメ化も控えている点にも触れ、「マンガの『風都探偵』というのは、小学館の編集さんからやりたいと言ってきたので実現しました。仮面ライダーWを映像で見ているときの見心地と同じ読み心地でとか、いろんなことを意識して作っていて、1つ新しい試みで面白いことだなぁと思っています」とし、「それで今度は映像に戻っていく。マンガをアニメと言う別の形で映像化するということで、チャレンジかなと思って、今ちょうどいろいろやっています。今はまだ喋りづらいんですけども、面白いものが出来ているので楽しみにしていてください」と今後についての期待をのぞかせた。

塚田英明プロデューサー

また、2009年のテレビ放送から、現在まで長く親しまれていることについては、「キャラクターが生き生きと育って動いている点と、探偵ものとして基本をブレないように作ろうとしました。仮面ライダーでありながらも、ちゃんと探偵ものであるということを意識したところを踏襲してマンガでもでもやっています。依頼人が来て、事件が起きて、どのように解決していくのか、その楽しみの部分がキャラクターと相まって、毎回新鮮に楽しんでいただけているのではないかと思っています」と語った。

最後に「仮面ライダーWを応援して頂いて、本当にありがとございます。今は『風都探偵』という続編をやらせてもらいながらアニメを作っていて、また新しい出会いだったり、皆さんにとっての発見だったりがあればいいなと思っております。これからもよろしくお願いします」と締め括った。

(取材・文・写真=高 潤哲)

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