麻薬投薬の疑いで捜査を受けるなかで死去した俳優イ・ソンギュンさんの捜査情報を流出させた元警察官に、執行猶予付き懲役刑が言い渡された。
12月17日、仁川(インチョン)地裁刑事11単独(キム・セッビョル判事)は宣告公判で、公務上秘密漏洩などの罪に問われた30代の元警衛(日本の警部補相当)A氏に対し、懲役1年2カ月、執行猶予2年を言い渡し、社会奉仕80時間を命じた。
また、A氏から捜査対象者の実名など個人情報を受け取り、これを別の記者に提供したとして起訴された30代の記者B氏には、罰金500万ウォン(約50万円)が言い渡された。
裁判所は「A氏は捜査に関する個人情報を2回にわたり漏洩し、B氏は提供された情報をさらに別の記者に漏らすなど、国民の信頼を侵害する犯罪に該当し、罪責は軽くない」と判断した。
一方で「被告らはいずれも過ちを認めており、犯行が捜査に実質的な支障を来したわけではない」としたうえで、「A氏は警察公務員として10年間誠実に勤務してきたが、本件により免職処分を受けた点、B氏も職場で懲戒処分を受けた点、さらに知人らが寛大な処分を求めて嘆願している点などを考慮した」と量刑理由を説明した。
検察はA氏に懲役3年、B氏に懲役6カ月を求刑していた。
A氏は2023年10月、イ・ソンギュンさんの麻薬疑惑事件に関する捜査進行報告書を写真撮影して送信するなどの方法で、B氏を含む記者2人に情報を流出させたとして起訴され、その後免職となった。
資料をB氏から受け取ったある芸能メディアは、イ・ソンギュンさんの死亡から2日後に、当該報告書の編集された写真と内容を報道した。
イ・ソンギュンさんは2023年に立件され、3回にわたり警察の召喚調査を受けた後、同年12月26日に遺体で発見された。享年48歳。故人は、麻薬投薬の有無を判断する簡易試薬検査はもちろん、国立科学捜査研究院による精密鑑定でも、いずれも「陰性」判定を受けていた。
◇イ・ソンギュンさん プロフィール
1975年3月2日生まれ。2001年、MBCのシチュエーションコメディ『恋人たち』(原題)でデビュー。2007年のドラマ『白い巨塔』韓国版で正義感の強い“チェ・ドンヨン(日本の里見脩二)役”を演じてブレイクし、『コーヒープリンス1号店』『パスタ~恋が出来るまで~』『ゴールデンタイム』『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』と数多くの人気ドラマに出演した。映画『僕の妻のすべて』『最後まで行く』『パラサイト 半地下の家族』などでも高い演技力を発揮。プライベートでは2009年5月に女優チョン・ヘジンと結婚しており、同年11月に長男が、2011年8月に次男が産まれている。2023年12月27日、48歳で死去。
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