尊厳死は殺人なのか。女優イ・ボヨンが単なる演技を超え、社会的な議論を広く提示している。
現在韓国で放送中のドラマ『メリー・キルズ・ピープル』(原題)で、尊厳死を手助けする救急医師ウ・ソジョンを演じているイ・ボヨン。同作は、尊厳死という衝撃的なテーマを正面から扱った初の地上波ドラマだ。重い題材を扱うことから19歳以上視聴可の判定を受けたが、イ・ボヨンは毎話、視聴者に「尊厳死とは何か」という深い問いを投げかけている。
彼女は劇中、尊厳死を実行する立場にあるが、患者の苦痛を和らげたい一心で葛藤を重ねる。その選択の過程を追うと、生と死に対する根源的な人間の悩みに直面することになる。特に、無実の人々を守るために自ら人質になる場面など、イ・ボヨンは緻密な演技力で、温かさと強さを併せ持つウ・ソジョン像を描き出している。
イ・ボヨンが医師役を演じるのは今回が初めて。今作で現代社会が長らく目を背けてきたテーマを公共の場に引き上げ、大きな反響を呼んでいる。制作発表会でも「私たちの社会も、このような話を語り始めるべき時が来たと思いました」と語り、また一つ勇気ある選択をした。
これまで弁護士、広告クリエイター、研究員など、専門職のキャラクターを数多く演じてきたイ・ボヨンは、“専門職のスペシャリスト女優”“ジャンル物クイーン”と称されてきた。また、児童虐待問題を描いた『マザー~無償の愛~』、広告会社で女性初の役員となる主人公を演じた『大行社』(原題)など、社会的議論を呼ぶ作品に多数出演し、意義あるキャリアを築いてきた。
このように韓国ドラマ界で確固たる存在感を示してきたイ・ボヨンは、『メリー・キルズ・ピープル』を通じて人間の尊厳という根源的テーマを語り、単なる演技を超えた深い余韻を届けている。誰も容易には扱わなかった題材に正面から挑み、俳優としての信頼をあらためて確立したと評価されている。
(記事提供=OSEN)
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