韓国社会を震撼させた衝撃の事件だった。小学校教師が1年生の児童を校内で刺殺した事件のことだ。
犯人は、事件の舞台となった学校に勤務していたベテラン教員だった。
韓国SBSの報道ドキュメンタリー番組『それが知りたい』最新では、この未曾有の事件の全貌と、加害者であるミョン・ジェワン教諭の素顔に迫る。
事件が発生したのは、2025年2月10日の夕方だった。児童の送り迎えを担当していた美術塾の運転手が、いつものように小学校の玄関前でインターホンを鳴らした。迎えに来たのは、放課後の学童保育で過ごしていた小学1年生のキム・ハヌルさん。しかし、この日、彼女はなかなか姿を見せなかった。
10分後、再びインターホンを鳴らすと、担当の教師は「すでに教室を出た」と答えたが、ハヌルさんはどこにもいなかった。
連絡を受けて駆けつけた両親は、警察とともに学校内外の捜索を開始。万一の事態に備えて、ハヌルさんのスマートフォンには周囲の音を遠隔で聞き取れるアプリがインストールされていたという。そこから聞こえてきたのは、成人女性の不自然な荒い息づかいだった。嫌な予感が的中するまで、そう長くはかからなかった。
その後、校内の視聴覚室で、胸や腹などを複数箇所刺されたハヌルさんが発見された。そばには自らも傷を負い、横たわっていた中年女性の姿。病院に搬送されたのち、身元が確認された。
加害者は、なんと同校に25年も勤務していたベテランの現役教師ミョン・ジェワンだった。
犯行のわずか10分前まで友人と過ごしていたハヌルさん。ミョン・ジェワンは事前に凶器を用意し、それを視聴覚室に隠したうえで、放課後に最後に教室を出たハヌルさんを呼び寄せ、計画的に実行したとされている。
学校は子どもにとって最も安全であるべき場所のはずだ。にもかかわらず、なぜこんなにも凄惨な事件が起きたのか。なぜ、信頼されていたベテラン教員が児童に手をかけたのか。
ミョン・ジェワンを知る元生徒や保護者は、彼女を「優しく、情のある先生だった」と語る。だが、彼女は昨年後期から“うつ病”治療のために休職しており、続けて6カ月の長期休職も申請していた。
しかし、療養中にもかかわらず、わずか21日で急遽復職を申し出て、今年2月の新学期から勤務を再開。そのわずか1週間後に事件を起こしたことになる。
果たして、うつ病が原因だったのか。なぜ彼女は回復しないまま復職を急いだのか。そして、学校側はなぜ復帰を認めたのか。数々の疑問が残るなか、番組は事件の前にも異常な言動が見られたという証言にも着目。誰かが異変に気づき、未然に防ぐことはできなかったなどの可能性も探る。
『それが知りたい』は3月29日23時10分より韓国で放送。
■男子高校生44人が1人の女子中学生を“1年間犯し続けた”韓国の事件とは
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