ヒョンビンが語る 『ハルビン』で“一度断った”安重根を演じた理由「大きな光栄、チャンスだと…」【インタビュー】

「最初に提案が来たときは断りました。安重根(アン・ジュングン)将軍の持つ象徴性と重みがあまりに大きかったからです。私が表現できない範疇だと思いました」

【写真】ヒョンビン♡ソン・イェジンの日本旅行SHOT

俳優が実在の人物を演じることは大きな負担であり、プレッシャーとなる。1909年、日本の初代内閣総理大臣・伊藤博文を狙撃するまで多くの挫折の時間を経験した安重根のように、俳優ヒョンビンにとっても、『ハルビン』という作品はすべての時間が挑戦の連続だった。

12月19日、ソウル鍾路区(チョンノグ)のとあるカフェで取材に応じた新作映画『ハルビン』主演俳優のヒョンビンは、「ことあるごとに心を尽くすと話してきた。どの一つの部分も迷惑にならないようにした」とし、「私も当然、人生に追われて生きているので、自分の前途だけを見て生きてきました。今回の作品を通じて、感謝ということを再び考えるようになりました。個人的にも、このように何か本気でやってみたことがあったのだろうかと考えました」と作品の感想を語った。

ヒョンビン
(写真=CJ ENM)ヒョンビン

『ハルビン』は1909年を舞台に、一つの目的のためにハルビンへと向かう人々と、これを追う人々の息詰まる追跡を描いた作品だ。ヒョンビンは日本の初代内閣総理大臣・伊藤博文を殺害したことで、日本では「テロリスト」、韓国では「英雄」として知られる主人公・安重根役を演じる。なお、伊藤博文役を演じるのはリリー・フランキーだ。

そんな同作は、『インサイダーズ/内部者たち』『KCIA 南山の部長たち』などの映画で知られるウ・ミンホ監督の最新作だ。俳優なら誰もが出演を望むはずだが、ヒョンビンは躊躇した。ウ・ミンホ監督は是が非でも出演してもらおうと、何度も修正したシナリオを提案してヒョンビンを説得した。

「私もある瞬間、好奇心が湧いてきました。私が演技者として生きながら、安重根将軍を演じる日が再び来るだろうか、と。こんなに立派な人物を演じてみることも大きな光栄であり、チャンスではないかと思いました」

ヒョンビン
(写真=CJ ENM)『ハルビン』で安重根役を演じたヒョンビン

暗く、節制された演技が『ハルビン』における安重根の演技の核心だ。ヒョンビンは「(安重根が)重大な出来事をする場面やその後の姿は伝えられましたが、そこに至るまでの過程は伝えられてきませんでした」とし、「一寸先も分からない状況で恐怖を抱く安重根の姿、将軍の地位や位置、判断錯誤で同志が犠牲になったときに、申し訳ない気持ちと罪悪感がなかったかということを映画として表現しました。観客の方々が考える時間を持つことができれば良いと思いました」と語る。

「私たちの映画の目的は、爽快な一発がある映画ではありません。最初から意図していませんでした。独立軍の旅程とその道、その険しい状況が土台となります。終わったわけではありません。後世に残った人々が、私たちのように歩いて行かなければならないというメッセージを届けてくれます。あの出来事の35年後に独立を取り戻したのですから」

ヒョンビン
(写真=CJ ENM)ヒョンビン

映画では、安重根が伊藤博文を暗殺した後、真っ直ぐに絞首台に向かう場面が描かれた。法廷の場面は省かれた。ただ“人間・安重根”が死と向き合う時間だけにフォーカスを当てた。

ヒョンビンは「絞首台のセット場に入ったときは不思議な気持ちでした。犠牲になると決心しても、いざその瞬間になると、少し怖くなったのではないかと思います」とし、「頭巾を顔に被ったときはぐっときました。残された同志たちにすべての荷物を渡して去らなければならなかった安重根将軍の心情が想像され、私も一緒に申し訳ない気持ちになりました」と回想した。

「自分はこの険しい道のりから抜け出しますが、ほかの人々は光復のために努力し続けなければならない状況でしたから。震える息づかいまで表現しようと努力しました」

なお、『ハルビン』は韓国で本日(12月24日)より公開がスタートしている。

◇ヒョンビン プロフィール

1982年9月25日生まれ。本名キム・テピョン。2003年にドラマ『ボディガード』でデビューし、2005年の『私の名前はキム・サムスン』で大ブレイク。その後もドラマ『シークレット・ガーデン』『ジキルとハイドに恋した私』『アルハンブラ宮殿の思い出』、映画『コンフィデンシャル/共助』『ザ・ネゴシエーション』など、ジャンルを問わない多彩な作品で説得力のある演技を披露した。2019年に韓国で放送された主演ドラマ『愛の不時着』がNetflixで配信されると、日本をはじめとした世界各国で大ブームに。

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