俳優ヒョンビンの“兵役”は何がすごかったのか。今も語り継がれる理由

2020年08月22日 話題 #兵役 #ヒョンビン
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韓国の男性芸能人にとって、兵役は無視できない問題だ。韓国人男性は満28歳までに約2年間の兵役に務める義務があり、それは有名スターであっても例外ではない。

今年もWINNERのJINU(ジヌ)、HOONY(フニ)、BTOBのユク・ソンジェ、イム・ヒョンシク、PENTAGONのJINHO(ジノ)が入隊した。またFTISLAND出身のソン・スンヒョン、EXOのスホ、歌手ロイ・キム、Block B出身のZICOなども入隊している。

来る8月31日には、俳優パク・ボゴムが海軍に入隊する予定だ。

今でこそ一定の年齢に達した芸能人がしっかりと兵役の義務を果たすことが当たり前になっているが、ほんの数年前までは、芸能人の兵役にまつわるトラブルが少なくなかった。

韓国芸能人の兵役トラブル

そもそも芸能人の兵役といえば、以前までは“芸能兵”として入隊することがポピュラーだった。「芸能兵制度」とは、韓国国防部のPR活動などに協力するという理由から、一部の芸能人が実戦部隊への配属が免除される制度のことだ。

1996年から始まった芸能兵制度は、イ・ジュンギ、コン・ユ、キム・ジェウク、キム・ジェウォン、ユン・ゲサン、チソンなど、多くの芸能人が歩んできた道。ただ「芸能人が優遇されている」との非難の声も多く、実際に芸能兵が酒を飲んだり、風俗店に出入りしたりと問題を起こすことも少なくなかったため、2013年7月に廃止された。

イ・ジュンギ(左)とコン・ユ

さらに芸能人の一部には、“兵役逃れ”を画策する者も少なくなかった。

代表格は2004年のソン・スンホン、チャン・ヒョク、ハン・ジェソクだ。彼らは個人病院で尿検査を受ける際、尿にタンパク質成分の薬物を混入させたり、尿道に注射で自分の血が混ざった液体を注入したりして、腎臓疾患などの診断を受けた。これによって彼らには“兵役免除”の判定が下ったが、のちに発覚。再検査が行われて直後に入隊した。

【写真】「えっ、そんな理由で?」兵役を免除された20人の韓国芸能人

「兵役は芸能人の墓場」とされた時代、芸能人にとって兵役は、できれば避けたい“2年間の空白”でしかなかったわけだ。

そんな兵役逃れや芸能兵制度といった問題があったなかで、2011年3月、あまりに潔く兵役についたスターがいる。ドラマ『愛の不時着』で日本でも大人気の俳優ヒョンビンだ。

「ヒョンビン、海兵隊に入隊」の衝撃

当時、人気絶頂を迎えた俳優が芸能兵ではなく、軍隊の中で最も訓練が厳しいとされる海兵隊に志願するということは、まさに前代未聞だった。

兵役逃れを画策し、芸能兵として兵役義務を果たそうとする芸能人がいたなかで、一般男性が果たす兵役以上に過酷な海兵隊にトップスターが入るというのだから、その衝撃は大きかった。社会的なイシューとなり、大きな決意をしたヒョンビンを応援する声であふれた。

ヒョンビン

当時の韓国メディアの報道を振り返ってみると、「ヒョンビン、3月に海兵隊志願入隊…やはり完璧男」「ヒョンビン、海兵隊行き“本当に社会指導層になる”…ネット民が大幅支持」「ヒョンビン、海兵隊入隊…見た目+お金+人格者、足らないところがない」といった見出しが並んでいたことがわかる。

ネット上でも「トップスターなのに大変な海兵隊に行くなんてすごい」「ただでさえ人気があるのに海兵隊まで入ったら、一生人気者でいられるだろう」などと、まさに称賛一色だった。

ヒョンビンは海兵隊志願者の上位5%の成績で見事に合格し、2011年3月7日に歴代最高齢となる満28歳で海兵隊に入隊。「男の中の男」と褒めたたえられた。

それにしても、なぜヒョンビンは過酷な海兵隊に入隊することを選んだのだろうか。彼は訓練所に入隊してから受けた特別インタビューで、こう話している。

「私にとって1年9カ月というのは、とても貴重な時間。自分の限界に挑んでみたくなって、海兵隊に入隊した。私がしている仕事は経験を積むことが大事なので、ここで過ごす経験が後でとても生きてくると思う」

非常に前向きな考え方であり、除隊後は周知の通り、たくましいイメージをプラスして俳優として大活躍を広げた。ヒョンビン自身も「キャリアのうえでプラスになった」と兵役の経験を語っている。

ヒョンビンは、これまで“空白の2年間”というマイナスにしか考えられてこなかった兵役を、自分の成長や社会的評価を押し上げるポジティブな要素に転換させた。芸能人の兵役にパラダイムシフトを起こす転換点となったのだ。

ヒョンビン以降、トップスターが現役兵として入隊

事実、ヒョンビンの兵役以降、芸能人の兵役は明らかに変化した。2013年7月に芸能兵制度が廃止されるなか、同年8月に入隊した俳優ソン・ジュンギは代表例だろう。

彼は一般部隊に配置された。特別扱いを受けることなく入隊したことで、世間の評判は上々だった。2014年6月にソン・ジュンギが所属する部隊で12人が死傷するというショッキングな銃乱射事件もあったが、彼が厳しい環境で義務を務めている証左にもなった。ソン・ジュンギの誠実な兵役服務は、除隊後に出演したドラマ『太陽の末裔』のヒットの遠因になったとの見方もあるほどだ。

その後も2015年7月には、東方神起ユンホが陸軍に入隊している。ユンホは入隊して1年が経った頃には射撃、体力、精神力、戦闘能力などすべての科目が優秀な兵士に与えられる「特級戦士」に選ばれ、話題になったりもした。除隊後の活躍はいうまでもないだろう。

ユンホ(左)とソン・ジュンギ

ドラマ『サイコでも大丈夫』で主演を務めたキム・スヒョンも、兵役でさらに評価を上げた1人だ。

2017年10月に現役入隊したのだが、そもそも彼は心臓に疾患があり、一度は「社会服務要員」(軍隊ではなく公的機関で働く代替服務)の判定を受けながらも、自ら手術を受けて「現役」判定を得たという。そして入隊後は5週間の基礎軍事訓練で優秀な成績を収め、危険度の高い最前方地域で任務を行う1師団捜索隊に志願し、軍生活を送った。自らを厳しい環境において鍛え、成長した姿でファンの前に帰ってきたわけだ。

(写真提供=キーイースト)キム・スヒョン

ヒョンビン以降、韓国芸能界ではトップスターがきちんと兵役を務める好循環が生まれたことがわかる。大げさにいえば、ヒョンビン以前と以後で芸能人の兵役が大きく変わったのだ。

だからこそヒョンビンの兵役は今でも語り草になり、それは今後も変わることはないだろう。

(文=呉 承鎬)

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