まさに東アジア王者の座をかけた“ビッグバン”だ。Kリーグ1(1部)2連覇中の王者・蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)と、Jリーグ伝統の強豪である横浜F・マリノスによる“ACL日韓対決”を繰り広げられることになった。
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)は3月13日までに決勝トーナメント準々決勝第2戦が行われ、東地区では蔚山と横浜FMが準決勝進出を果たした。
蔚山は12日、本拠地・蔚山文殊サッカー競技場で全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースと対戦。因縁の“現代家ダービー”となった韓国勢対決を1-0で制し、2戦合計2-1で2021年シーズン以来のベスト4入りに成功した。
横浜FMも翌13日、本拠地・日産スタジアムで山東泰山(中国)を迎え撃ち、ブラジル人FWアンデルソン・ロペス(30)のゴールで1-0と辛勝。アウェイ第1戦を2-1で制していた横浜FMは、2戦合計3-1で準決勝に駒を進めた。
なお、西地区ではアル・ヒラル(サウジアラビア)とアル・アイン(UAE)が準決勝に進出した。
ACLはベスト4まで東西分かれて行われるため、準決勝が各地域の“事実上の決勝”のようなものだ。
前回優勝した2020年シーズン以来、4年ぶり3度目のACL制覇を狙う蔚山だが、彼らにはアジア制覇を目指すための“動機付け”がもう一つある。それが、2025年に開催されるFIFAクラブW杯出場権の獲得だ。
同大会でAFCに割り当てられた出場枠は4枠。このうち2枠は、2021年と2022年のACL王者であるアル・ヒラルと浦和レッズで確定した。
そして、残りの2枠は、現在行われている2023-2024シーズンのACL王者と、直近4年間の大会成績によって定められたAFCクラブランキングの最上位チームだ。
現在、ランキング1位がアル・ヒラルであるため、2位チームに繰り上げで出場権が与えられる。2位は80ポイントで全北だが、蔚山が78ポイントですぐ後ろに位置している。あと1試合だけ勝てば勝利ポイント「3」を獲得し、ランキング2位に浮上できる。
クラブW杯出場をかけた戦いにも注目だが、蔚山と横浜FMをめぐっては興味深いストーリーも満載だ。
2021年に蔚山でプレーするも、翌2022年にライバルチームの全北に加入して大きな話題を集めた元日本代表MF天野純(32)は、2年間のレンタルでの韓国生活を終え、今年から所属元の横浜FMに復帰した。天野としては、“愛憎のチーム”となった蔚山と対戦相手として相まみえることになった。
また、蔚山ユース出身であり、フランスを経てカタールで成功的なキャリアを積み上げた元韓国代表MFナム・テヒ(32)も、昨夏から横浜FMでプレーしている。そのほか、2016年から2020年まで蔚山に在籍した津越智雄フィジカルコーチも古巣との再会となる。
対する蔚山にも、元韓国代表FWユン・イルロク(32)や池田誠剛フィジカルコーチなど、過去に横浜FMに在籍した人物がいる。
はたして、ホン・ミョンボ監督体制でKリーグを“征服”した蔚山が、今度は悲願のアジア王座奪還にも成功できるのか。まずは東地区王者をかけた横浜FMとの激闘を見守りたい。
蔚山対横浜FMのACL準決勝は、来る4月17日に蔚山ホームで第1戦、24日に横浜FMホームで第2戦が行われる予定だ。
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