大谷翔平(29)がロサンゼルス・ドジャースでのオープン戦デビュー戦で本塁打を放った裏で、“韓国のイチロー”も新天地デビューを飾った。
サンフランシスコ・ジャイアンツのイ・ジョンフ(25)は2月28日、米アリゾナ州スコッツデールで行われたシアトル・マリナーズとのオープン戦で「1番・中堅手」として先発出場。
1回裏の1打席目、マリナーズ先発ジョージ・カービー(26)から右前安打を記録し、ジャイアンツ入団後初のオープン戦最初の打席から出塁に成功した。
出塁後も印象的だった。イ・ジョンフは後続タイロ・エストラーダ(28)の打席で積極的に盗塁を狙った。2ボール2ストライクから二塁盗塁を試みるもファウルとなり、3ボール2ストライクのフルカウントで再び盗塁を狙った。
エストラーダは遊ゴロを放ったが、マリナーズ遊撃手ライアン・ブリス(24)のエラーもあり、一死二塁の情況が無死一、二塁となった。その後、イ・ジョンフは3番打者ラモント・ウェード(30)の中前安打で二塁からホームに帰還した。
ただ、2回裏の2打席目は一ゴロ、4回裏の3打席目は空振り三振で出塁できず。結局、5回表の前に交代となり、同日の試合を終えた。
試合後、イ・ジョンフは事実上“7カ月ぶり”となる実戦が持つ意味を語った。
記録上では、イ・ジョンフが昨年最後に出場した試合は10月10日のサムスン・ライオンズ戦だ。ただ、この日はコンディションが万全ではなく、キウムファンにMLB進出前最後の挨拶を伝えるための出場だった。実際、イ・ジョンフは1打席のみ消化して交代されている。
そのため、実質的な2023年最後の試合は7月22日のロッテ・ジャイアンツ戦と見なければならない。同日の試合中、イ・ジョンフは守備時に左足首を負傷した。
「個人的に7カ月ぶりの実戦だった。そういうことを考えると、今日の試合は悪くなかったと思う」と振り返ったイ・ジョンフは、「かといって、最初の打席から緊張感を感じることはなかった。良い投手と対戦したし、2ストライクと追い込まれたが、ただ軽く打つという考えでコンタクトしたことで良い結果が出た」と、久しぶりの実戦で初打席から安打が出たことへの感想を明かした。
また、積極的な走塁プレーについては「ボールカウント2-2とフルカウントの状況で、ともにグリーンライトだった」とし、「監督の指示もあれば、自分も多く走ってみたいと思っている。その欲もあって、オープン戦から多く走塁プレーを試みる計画だ。もちろん、レギュラーシーズン中にもそのような姿をたくさん見せたい」と、走者としても価値あるプレーを見せることを約束した。
守備では中堅手として外野を守ったイ・ジョンフ。同日の試合では自身の方向に打球が飛んでくることはなかったが、それでも昼の試合においては、韓国よりも強い日差しと向き合わなければならない。
「視野は明らかに少し違う。以前、アリゾナでキャンプしたときもその部分が少し大変だった。ボールが高く浮いた後、落ちてくるときの距離感覚が韓国と違う」としながらも、「これも自分が乗り越えなければならない部分だ。アメリカでは昼の試合も多いので、適応しなければならない部分だと思う」と述べた。
最後に、イ・ジョンフは「今上手くやっていることも重要だが、適応を最優先に置いている。投手と対戦してみると、ストレートはやはり速く、変化球もスピードがある。それでも緊張はしていない。自分がやることだけを考えてしっかり準備する」と改めて覚悟を決めた。
◇イ・ジョンフ プロフィール
1998年8月20日生まれ。日本・愛知県名古屋市出身。身長185cm。韓国のプロ野球選手。サンフランシスコ・ジャイアンツ所属。父親は1998~2001年に中日ドラゴンズに在籍したイ・ジョンボム(李鍾範)。高校卒業後の2017年にネクセン・ヒーローズ(現キウム・ヒーローズ)でプロデビューし、同年の新人王を受賞。ゴールデングラブ賞(NPBのベストナインに相当)に2018~2022年の5年連続で選ばれており、2022年はシーズンMVPと打撃5冠(首位打者、最多安打、最多打点、最高長打率、最高出塁率)に輝いた。2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場した。2023年12月13日、米メジャーリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツと6年総額1億1300万ドルで契約した。愛称は「韓国のイチロー」。
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